「五枚朱子」の付け下げ、実は、仮仕立てになっていて、柄はありませんが共八掛だったので、
てっきり訪問着だと思っていたのですが…仮仕立てを解いてみたら…付け下げの染でした。
ほんとに最近はわかりにくいですわ。
トップ写真は、これをご紹介したときのものです。
反物の端には「五枚朱子」と入っています。伊と幸ですね。
で、「五枚朱子」ですが、これは「きものばなし 織るということ その1」で、織り方も出しています。
朱子は「繻子」とも書きます。こちらの方がなじんでいますので、繻子と書かせていただきます。
繻子織りは表に出る(渡る)糸の分量が多いので、光沢のある布になります。
平織りのように、経、緯が一本ずつかっちり組まれていませんので、しなやかでしゅるしゅるします。
摩擦に弱いのが難点ですが、昔の昼夜帯の裏はこの繻子の黒が好まれました。
さて、この五枚繻子の付け下げですが、仮仕立てのままでしたのでとにかく一度洗ってもらうことにしました。
で、戻ってきたら「これ…着物にはならないよ」といわれてしまいました。
あらら~こんな色だったので目立たなかったのですが、ヤケがひどかったんです。
光沢があるうえ、小さめの紗綾型地紋で、光り方を変化させるものですから、見ていてもほとんどわかりませんでした。
まぁ肩の辺りはうっすらあるかも…と思っていたのですが、解いてみたら解き跡も汚くなっていました。
写真だとわかりにくいですが、実物はもっとはーっきり違います。
よく見ると、確かに「こことここでは色目が違う」…が、何箇所かありました。
もったいないですが、これをつけ下げに仕立ててもねぇ…。
というわけで、たいへんゼータクですが、じゅばんにするのがよかろう…と思います。
なんたって下に着るなら見えませんから。穴や傷があるわけではないので、その点は問題なし。
元々、いい縮緬や綸子の着物は、色あせやシミなどで着物として着られなくなれば、次はじゅばん…
というのが定番でした。そのあとはまた小さくなって子供のじゅばんになったり、端縫いの半天やちゃんちゃんこ…。
要するに、捨てることはなかったわけですね。着物はそれができるのがすばらしいのです。
今、ここへ来て節約、節電についてのニュースやリポートが毎日のように取り上げられています。
私の親の代にはあたりまえだったことを、改めて言われると、なんで今までやってこなかったんだろ、
そんな風に思います。何事も起きないと、人間は怠惰になるのでしょうね。
こまめに、とか、ひと手間かけて、とか、そんな言葉を毎日聞いていると、
昔は手間をかけないことは、恥ずかしいことだったのに…と思ったりします。
それでも、節電も節約も、「ムリをすること」ではなく「ムダ」をしないことです。
特に電気はためて置けないのですから、お年寄りの方たち、熱中症予防のためにも、
クーラーは使わないのではなく「上手に使って」ください。
どうやら関東の梅雨明けも近いようですから。
でも、着ないで置いておくより着るものに
仕立てる方がいいですものね。
しゅるしゅると肌触りのいいお襦袢になり
ますね。
染め替えても…と思ったのですが、
金がジャマしてます。もったいないですね。
ゼータクじゅばんにしても、着るのがもったいなかったりして?
ビンボー性には、こまった一枚です。