ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

着られない留袖

2007-01-17 20:12:57 | 着物・古布

古い留袖です。昔のものなので前は左右対称です。
以前にも書きましたが、前の模様が左右対称なのは、
おはしょりをあとから作っていた着物の着方の名残り。
お引きずりで着るときの立ち座りで、前を左右に広げたときに、
どちらも同じ柄になるように模様づけされています。
ひろげて突合せにするとこんな柄です。


             


「檜扇」と、下は「几帳」です。
付き合わせると、ロールシャッハテストでしたっけ?
あれみたいでおもしろいですね。なんかカオにも見えたりします。
こういうタイプの留袖は「共八掛」で、中も同じ柄ですから、
こんなです。


          


当然ですが、表側、特に左身頃が一番傷みや汚れが多く、
逆に中はたいがい、とてもきれいです。
この留袖は、もう全体に色の褪せやらシミやらいろいろあって、
留袖としては着られません。解いて、何かに繰り回し…です。
一部だけ切り取って洋服にはめ込む、などはよく見ますね。
左右対称で取れますから、クッションカバーにするとか…。
もう一枚あります。こちら。


          


またまたおもしろい絵になっていますが、上の角のようなのは「船」、
その下に「橋」があって「御簾」、ですね。御簾の下にもう一艘船があります。
裏側は一部ですがこちら。


          


柄全体の色合いは、こちらの方があざやかできれいなのですが、
刺繍糸がぶつぶつ切れていますし、黒地の色褪せもあります。
もともと柄取りするために仕入れているものなのですが、
このテの留袖がいろいろあります。

切ってしまうのがもったいない…ともいえるんですけどね。
こちらはきれいな振袖を、切らずに見事に繰り回した例です。





身頃は前後を逆にして、袖は長い振袖をを半分にし「無双」にしています。
きれいなのに、と見えるのですが、実はもうすっかり模様の色が褪せ、
すその方にはとくに「跳ねしみ」やヨゴレがあります。
布もかなり薄くなっているところがあります。
それでも、こうやって着れば、また和服として着られるわけですね。
昔の人の知恵とものを大切にする思いには、いつも脱帽です。
今日は、半日「留袖」ばかりいじってました。







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2 コメント

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Unknown (とんぼ)
2007-01-18 23:55:12
陽花 様
ほんとに華やかですね。
柄が大きくても、全体にジミ目の色だったりで、
かなり年代的にも幅広くきたようですね。
どうやって何にするか、考えるのは楽しいですが…、
自分でやってる時間がないんですー。

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Unknown (陽花)
2007-01-17 22:01:17
昔の留袖って本当に豪華ですね。
切るのには勇気がいりますよね。でも、何かに
生まれ変わるのならそれもまた、素敵な事ですね。
何に変わるか楽しみです。
返信する

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