ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

浮かれ旅始末記 その3(出会い編)

2006-04-30 14:41:04 | つれづれ

写真は、ゲットしたハギレ、紋綸子のたぶん振袖の片方。
手鞠がなんともかわいいです。普通手鞠とほかにいろいろと
もようが入っているほうが多いのですが、これはシンプルに手鞠だけ。
けっこうすっきりして気にいってます。たーいへんお買い得でした!

と書いたのですが、実は「鈴」ですよねぇ。
旅の前に手に入れた「手鞠」柄と混同しちゃってました。すみません!

さて、今回、私の道中着は、何かと人目を引いたようで、
途中外国からの旅行客にも「シャシーン、シャシーン、OK?」なんぞと
声をかけられ「OK」と答えたら、後ろ姿とらせろと・・、
どーせね、前はね、いーんだいーんだ、フンッ・・
それでも国際こーりゅーに貢献したぞっ?!



「虫」の襦袢を買ったところでは、私がお店の人と交渉しているうしろで
「ええなぁ、面白い柄やんか」「ほんまやなぁ」とかしましい、
そんなにいいもんがそっちにあるのかと振り向いたら、私の背中の柄のことだった
「これあつらえですかぁ?」「いえ、男物長じゅばんの古着です」
「あれまぁ、そうかそういう使い方もあるねんや」「ええやんかぁ」
「ちょっとぉ・・この人なぁ・・」(おばちゃん、仲間呼ばんでもええて・・)
それでも、お客さんよんでくれたし・・とお店の人は5000円も
まけてくれました。

さて、いよいよ古着探しも終わりに近づきました。
おさいふはもう底が見えていても「みるだけ」ならタダだもんね。
着物からちょっとはなれて「アジアン雑貨」をのぞいたり、
古いレコード、伊万里のお皿・・・そうそう、今回は、もし中皿くらいの
いいのがあったら・・ということは思っていったのですが、
なにしろ・・高い、です。瀬戸物はそれこそよくわかりません。
とてもいい小皿の五枚そろえがあったのですが、瀬戸物重いし・・。
結局、横目で眺めてやめました。

さてさて怒涛のごとく歩き回った市を離れ、これからとんぼは西陣へ。
ブログにおいでくださってる「てっちゃん様」のお店を目指すのです。
途中に秀吉の立ち寄ったエピソードのあるお寺があります。
「湯だく山茶くれん寺」、ホントの名前は「浄土院」ですが、
かつて北野大茶会のおり、秀吉が帰り道「名水」で有名なこの浄土院に立ち寄り
「茶」を所望致しました。ところが、突然の来訪、住職は自らの茶の未熟を思い
「白湯」を差し出しました。秀吉が「茶」がほしいと所望するとまた湯が出る。
そこで「白湯はもうよい、ここは茶が出ない、湯だくさん茶くれん寺じゃのう」
と、のたまわれた・・。これはお寺の名前というものが「山号寺号」という
つけ方をする・・たとえば、有名な浅草の浅草寺は「金龍山浅草寺」です。
これをいじって「湯だく山 茶くれん寺」といったわけですね。
浄土院入り口には、しっかり「湯沢山ちゃくれん寺」の石碑が建っとります。

とんぼはしっかり地図を見ていったので、だいじょーぶ・・なはずでしたが、
ありゃりゃ、ここんとこから信号いくつめだったっけ。
こういうときは聞くに限る!信号待ちの間に本屋さんに飛び込み、
お尋ねすると、私が覚えてきたよりわかりやすい道を教えてくれました。
ついでに今後のこともあり、ちっちゃな「京都の都市図」を一冊購入。
外へ出てわっせわっせと山に向かって歩きました。ちょっと冷たい風が気持いい!
碁盤の目ですから、どこをどういってもわかるのですが、大きな通りより、
脇に入った路地のほうがずっと風情があります。
軒の低い町家を眺め、古そうな表札や、まだ使えるのかと思うような木戸、
キョロキョロと風情を楽しみながら、いよいよ覚えてきた住所に入りました。
このあたりでお電話、ここでまたドジ、立っている場所の向かいのお店の名を
言ってしまった・・「そこをまっすぐ」といわれ、歩き始めたとたんに
違う!と直感、振り向いて戻ろうとしたときに、角から女性が・・。
お会いするのは初めてなのに、なぜかすぐに「ああ!」とわかりました。
お店はすぐそこでした。お店・・とうかがっていたのに、
うちの玄関の2倍はあろうかという、りっぱな格子戸!
ガラスのドアやショーウィンドーを想像していた私は思わず、
「あのお店のほうで・・」とボソボソ・・・「ここが店ですねん、
自宅は、またそっちのほうに・・」てっちゃん様のご自宅の格子戸は、
きっとうちの玄関の3倍くらいあるに違いない!!

事務所用のお座敷のそのまた奥座敷、りっぱな座卓の前でようやく
「はじめまして・・」てっちゃん様は目鼻立ちのくっきりした京美人、
部屋に詰まれた沢山の帯や、私の「戦利品」から、
話は自然と「呉服」に関わることへ・・・。
てっちゃん様は、戦後の日本人の着物離れについて「呉服業界も悪いんです」と、
そうおっしゃいました。今の着物離れは、先日も書きましたように
私や親の代で、それを伝えなかったことが原因のひとつだと思っています。
ぶりねぇ様や、蜆子様も書いておいででしたが、ある日を境に価値観も、
暮らし方も何もかもがひっくり返り、いままで大事にしてきたものを否定され、
何を大事と考えればいいのか、はっきりとわからないまま
とにかく「焼け野原」を町にせねばならぬ、国を立て直さねばならぬ・・と
ひたすら猛進してきたわけです。責任といっても責められるものでは
ありませんが、そういう中で、消費者には消費者の、呉服界には呉服界の
なにかしら見過ごしたもの、があったのだと思います。
てっちゃん様は、そのことをおっしゃったわけで、先のことはわからないが、
せめて今、いいものを少しでも安価で・・とお考えです。
おしゃべりの途中でも、お客様からの電話が入り、そのたびにテッちゃん様は
テキパキとこなしていかれました。呉服屋のおかみとしての貫禄は十分!!
帯もいろいろ見せていただきましたが、とにかく「関東」ではみられない
なんというのか、やはり本場だな・・と思わせる色柄・・。
いくらお安いとはいえ、そこは呉服、到底手の出るようなものはなかったのですが
最後に見せてくださったのは、なんとかなるか・・のお値段!
日ごろ数字にはめっぽう弱く、電話番号も番地も覚えられないとんぼですが、
このときばかりは家の「とーちゃんの近寄らない場所」に隠してある
へそくりの額が一円単位まで、はっきりくっきり浮かびました。(ヨッシャッ!)
というわけで、とてもシャレた帯が、私のところへお嫁入り!キャッホゥ!

お忙しいのにお相手をしていただいて、ありがとうございました。
シャキシャキ元気女将のてっちゃん様の笑顔に送られ、
大きな格子戸をまた空けて、私は西陣の町を再び歩き始めました。
少し肌寒い風でしたが、お天気には恵まれました。
知らない町や通りを歩くのは、ほんとにワクワクドキドキします。
小さな公園で、枝が折れるかと思うほどの花をつけた八重桜に出会い、
瓦屋根に向けて盛んにシャッターを押している異国の人に出会い、
突然立派な門構えにびつくりすると、小さなお寺だったり・・。
過去と現在が、一軒ずつ入り混じったようなフシギな空間、
有名な神社仏閣もいいけれど、こんな風情も捨てがたい。
京都は何回きても、どこを歩いても、私という人間にしっくりくる町です。

さて、この日の夕食は「麺類」大好きな私、伊勢丹の上のレストラン街で
「おうどん」をいただきました。だってホテルじゃものすごく高いんだもん!
ちょっと早い目の夕食だったので、夜食分に地下でおにぎりを買いました。
「竹の皮」に包んであるぅ!さっすが京都、あとはペットボトルのお茶と
なんか甘いもの・・いや、やめとこ、今日いっしょけんめ歩いて、
ちょっとだけでもやせたかしれんし・・(んなこたぁぜっーたいないっ!)

というわけで、本日はここまで。
いよいよ明日は、もう一人のブログのお仲間「陽花 様」とのご対面でーす。










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7 コメント

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楽しい旅のお話、佳境に~♪ (ぶり)
2006-04-30 16:21:39
それにしても、スケッチがうまいので、面白くて楽しい。

文章と絵があるので、あとは、出版するだけ。(違う?)

ここのブログのお話をまとめたら本になると常々思っているのですが。
返信する
Unknown (陽花)
2006-04-30 16:27:18
とんぼ様



てっちゃん様のところで帯を購入されたそうで

さすがとんぼ様、だんな様の知らない所に

へそくりをしているなんて・・・

でも呉服って手間隙かかるんでしょうが、もう少し

手ごろなお値段で買えると着物離れもましになるのではと思うのですが・・・私なんか何度か清水の舞台から飛び降りたからもう身が持ちませんが・・・というよりお金がありません。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-04-30 16:49:21
ぶりねぇ様

なりますかねぇ、本に・・印税で稼げたら

いいのになぁ・・と、思わずユメを追ってしまうー。

だめですよ、おだてちゃ・・。



陽花様

とりあえず、もうちょびーっとしか残ってましぇーん

ほんとに呉服モノは高いですよね。

そのたびに清水の舞台から、体に爆弾つけて

飛び降りてる気分です。

私は母がくれるので、まだいいほうだと思います。

ただ、どういうわけか「襦袢」をくれないのです。

襦袢だって、そこそこしますもんね。

次にたまったへそくりは「襦袢」です。いつかなー。
返信する
誉めすぎやー (てっちゃん)
2006-04-30 16:55:09
本当にその節はごゆるりともして頂く事が出来ませず、申し訳ございませんでした。

(京美人)・・・なんてめっそうもない、私の顔はブログでバレバレでございます

(期待して見てくださる方ゴメンナサイ)

次回は食事でもしながら、ゆっくり過しましょうね♪
返信する
出版 (うまこ)
2006-04-30 21:21:51
本にできますよ、きっと・・・

などと言っても責任は取れないんですが・・・

挿絵も本当にうまい。

私もいつも感心しています。
返信する
 (蜆子)
2006-04-30 21:42:25
知り合いの人、趣味で謡曲の舞台を歩き、写真とり、謡曲の解説を、二巻まで自費出版で値段ついてなかったけど、今年出されたものは値段がついてました。

取材に協力したというわけで、私の名前もちびっと出ています。

とんぼさん、声がかかるかも~



清水を飛び降り骨折、されどもその痛みを忘れ、またしても飛び降り、

茶道具で何度骨折したかわかりません。でも手にいれ、これをあの道具と、組み合わせ、時期は・・・・こんなこと思ってるのは至福、

なんど骨折しても懲りない私、

とんぼさんは何度も骨折を経験?
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-04-30 21:52:17
てっちゃん様

私のほうこそ、お忙しい時期にすみませんでした。

とてもいい旅になりました。

ありがとうごさいました。



うまこ様

お褒めにあずかり恐縮です。

写真がないときの苦肉の策なんですが・・。

本、いいひびきだなぁ・・・。



蜆子様

飛び降りすぎて、どう飛ぶとどう骨折するか

わかっちゃってたりして・・・。

できるだけ借金しないようにと、

へそくってますが、着物関係は一度でどーんと

なくなりますからねぇ。それでもやめられない・・。



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