ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

浮かれ旅始末記 その2

2006-04-29 14:08:57 | つれづれ

ようやく京都に着きまして、いざ「北野天満宮」天神市へ!
東寺の「弘法市」もそうですが、お天気よければ、市は早朝から立ちます。
逆に終わりは、天候や客足、売れ具合で、早いお店は3時ごろから
店じまいの準備を始めてしまいます。
なにしろたった一日の「市」のために、福岡からくる古着屋さんもいますから。
いつもならとんぼは朝一番の新幹線で京都入りするのですが、
今回は都合で出発はのんびり、ついたのはすでに午後1時をまわっていました。
とりあえずホテルに荷物を預け、一目散にタクシー乗り場へせかせかと・・。

渋滞の時間帯ではバスより「抜け道・裏道」得意なタクシーのほうが確かです。
アタマの中で(塩小路を左へ行って堀川で北へ・・)と勝手にコースどり・・
「はいどーぞー」とドアのあいたタクシーに飛び込んだとたんに言っちゃった、
「抜け道お願いします!」運転手さん「で、どちらへの抜け道?」
「きっ、きたのて・てんまんぐう・・」またしても「一人やじきた」状態。
とりあえず走り出しました。ひとしきり今年の天候がどうのこうの話したあと、
運転手さんが「桜はもうしまいやけど、ちかごろは『アメリカ綿帽子』いうのが
よう咲いてますわ、なんや街路樹にえ~とかで、このごろ増えてますねん」
「そーですかぁ」(あめりかわたぼーしってどんな花やねん)
「あれは花おっきいし、桜とはまたちごて、え~花ですなぁ」
「そーですねー(だから知らんて・・)」
「赤は、なんやシブいけど、白いほうは、ぱぁーっとめだってよろしいなぁ」
「そーですねー(知らんがな・・話題かえよ・・、おっ花咲いてる)」
ちょうど赤信号でストップ「あらこの花もきれいに咲いてますねぇ、春ですねぇ」
「ああ、ほんまやねぇ、ここのはおおきいですなぁ、あめりかわたぼーし・・」
「花水木じゃん!」・・帰宅後調べましたら「わたぼうし」ではなく「山法師」、
あの運転手さん、綿帽子でお嫁に行く年頃の娘さんがいたのかもしれませんね。
ちなみに「アメリカ山法師」という名前は、花水木がアメリカから渡ってきたとき
日本の「山法師」に似ていたので、とりあえずついた名前だそうです。
ついでにアメリカ名「ダグ(ドッグ)ウッド」は、この木の皮を煎じたものが
「犬のノミ取り」に使われたからだそうです。
もひとつついでに「椿と花水木」という津山 陽氏の小説は
「ジョン万次郎」の一代記ですが、「椿と花水木」、カーミラとダグウッドは
自分の子供が生まれて女の子だったら、男の子だったら・・と
遠く離れて暮らしていた奥さんに伝えた名前、日本の花とアメリカの花ですね。
それにしても、いわれてみればあちこち「花水木」が植わってました。
そうそう、桜のあと急に気温がさがったので、
それでなくともあと咲きの「八重桜」が、まだまだたっぷり咲いていました。

さて、街路樹ばかりに見とれているうち、やがて天神様に到着。
「市」では、古いお店は毎回同じ場所にでます。鳥居をくぐってまっすぐ、
それから大きな門の前で右へ・・そこからたくさん古着やさんがいるのです。
たこ焼きの匂いを振り切り、3足500円の靴下を横目でにらみ、
ひたすら人並みを抜けてさきへさきへ・・・。毎度のコトながら、
一度ゆっくり「市」そのものを楽しんでみたいものです・・。
さてお目当ての「古着屋さん」は何軒かずつかたまっていることが多いのですが
だからといって「ここが古着屋さんコーナー」というわけではないので
同じ道を行きつ戻りつしなければなりません。
それがまた楽しいんですけどね。

一口に古い着物といっても、さまざまです。
私のように「材料」として使いたい、昔の錦紗とか鬼ちりなどのものは
ほとんどもう「着られない」モノばかり。それでも価格は高いのです。
古くても着られるもの、これはものによりけり・・は当たり前ですが、
ほんとに古いもの「銘仙」などのきれいなものは高く、古着でも「新古モノ」と
呼ばれる、ここ30年くらいのものは比較的安価です。
遅れましたがトップの写真は古いですが「新品未使用」の献上博多本物、
特上ではありませんが、そこそこいい絹鳴りがします。めっけもん。
半幅帯より細く、かといって角帯より太い、長さは3メートルちょっと、
子供用??でしょうか。私はかるさんをはくとき「角帯」を使いますので、
これをちょっと細めに直そうと思って買いました。4000円の値札つき、
「マケてって言ったら怒る?」と聞いたらおばちゃんが3500円でええよ、と。
向こうはちゃんとそれも見越して値段つけてるんだけど、
それでもうれしいものです。これを売っていたお店は帯が多く
古い丸帯が何本もありました。
次の写真は、とんぼお得意の「わんちゃん柄」の羽裏。



2匹の子犬がジャレあっています。後ろはどうも「破れがさ」を
デフォルメしたもののよう、犬が遊ぶ図柄には、籠とか干してある傘などが
とりあわされることが多いようです。
こっち向いてるワンちゃんは、なんか「ネコ」ッぽいカオですね。
モノは古いですが、着られたようすはあまりありません。
お次はこちら、胴抜きの長じゅばんです。
色が華やかなのは「胴」部分ですが、実は、もうよれよれのうすーい羽二重で、
あちこちツギもあり、裏あても大きいし、脇あたりなどボロボロ、
裏には木綿がついていますが、激しく変色していて使えません。
では何が目的かというと、袖と腰下部分の薄茶色っぽいところ。



実際の色は薄茶ではなく、もう少し明るい「黄土色」です。
それにしてもあまり面白みのなさそーな柄・・・に見えますが、アップをどーぞ!



思わず「ヤダーッ!」と思ったかたもいらっしゃるでしょうね。
私も小物作りには面白いと思って買いましたが、もしこれを着たら・・と
考えたら、ちょっとあちこちムズがゆいかなぁ・・・。
蟷螂、興梠、鍬形、飛蝗、鈴虫・・・いくつ読めましたか?
かまきり、こおろぎ、くわがた、ばった、すずむし・・ですね。
写ってませんが、もちろん!「蜻蛉」、とんぼもいますよ。
それにしてもおもしろい柄を考えたものですね。小紋の着物だったのでしょう、
けっこうしっかりした「しののめちりめん」です。

4点目は「黒の紗の着物」、これは十分着られます。
最初、手触りがいいので「ブラウス」などにいいなぁ・・と
手に取ったのですが、そのお店は「着られるもの中心」で、
これも切ってしまうのは惜しい・・。で、ちょっと近寄ってみると、
写真では格子柄なのですが、この格子が「並んだとんぼ」に見えるのです。
アップでもうまくとんぼに見えなくてすみません。





さらっと着るにはいいかな・・と思い、購入しました。こちらは6000円。
ここは、近くに店舗や工房を持つ「若向き」のお店の出店で、
売り子さんも「派遣」されてきた店員さん、きれいな着物に角だしに帯を結んで
自店の品物のよさをアピール、一緒にいる若いおにいさん売り子さんも
今風のアートなおにいちゃん、こういうところは価格は変えられません。
「市」というのは、値切る交渉も楽しみのひとつなのですが、
最近こういう出店も増えていて、ちょっと寂しいです。

今回は、この4点のほか「はぎれ」など購入しました。(半分自分のもんやん)
ほしいと思った「色留袖」があったのですが予算はるかにオーバー、
買ったら、帰りほんとに五十三次を歩いて帰るハメになるので、あきらめました。

さて本日は、ようやく買い物を・・・というところでオシマイです。
まだ一日目の途中!まだまだ続きまっせ!
お楽しみに!


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6 コメント

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何になるのかな・・・ (陽花)
2006-04-29 19:53:36
とんぼ様



虫の柄ていっておられたのこの事ですか。

珍しい柄ですが、せめて蝶々か蜻蛉だったら

着ますが、この虫達はほんとむずがゆくなりそう

ですね。これがどんな小物になるのか興味津々です。

そうそう、色んなお店で蜻蛉柄の物ありましたね。

返信する
ちょっとご相談、 (蜆子)
2006-04-29 20:58:00
とんぼさん、今回は道行というか道中着をきていらしたんですよね。

私も今日は茶会、小紋でかけたのですが、さて今日はとっても天気が良く暖かかったのです。でもまだ四月、道行をきたのですが、なにかもっさりと見えるのですね。

とんぼさん、絽の道行きを持ってらしたとありました、袷に絽の道行き?これって毎年どうなんだろうと悩んでいる問題なのです。

単にならまだしも、袷に絽、もしくは紗、

五月はまだ袷、長襦袢や下着で調節せざるを得ませんが、いっつも絽の道行き、紗の雨コート、持ってるのですが、どこから着たもんだかと悩んでいます。

きっちり約束事からいうと、袷の上に透けるものはいかがなものか?

そうかといって五月はやはり暖かいといっても、袷がお約束、

単はいつから着ます?

そして薄物のコートの扱い、どんな風になさっていらっしゃいます?
返信する
明日あたり? (てっちゃん)
2006-04-29 21:01:13
まるで、連続ドラマを見るがごとき、続きが・・・いよいよ明日あたりに私が登場ってか?
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Unknown (とんぼ)
2006-04-29 21:42:44
陽花 様

これですー、着るにはちょっと抵抗ありますよね。

小物だと、かわいらしいカッコの巾着とか

大人物なら、ちょっと固い感じの酒布と合わせるとか

とりあえずイメージだけはできてるんですが、

さて、いつ作品になりますか・・がんばりまっす!



蜆子様

私の場合、気楽なお出かけばかりですので、道行は持っているのですがまず着たことがありません。ほとんど道中着です。道中着は道行よりもラフですからラクなんです。私はどちらかというと季節はきっちりですから6月1日から、とかそれは守るほうです。でも、元々が暦が太陽暦にかわったときから、昔の着方とはひとつきズレがあるのです。実際に私たちが「今日から単」といってる時期は、昔ならまだ5月です。そういう状況ですから少しのズレは本人の意識がゆるせばいいのでは?というのが私の見解です。なお、絽の道中着の場合は私は今の時期で暑ければ、袷の上にも着ます。羽織もいいのではないかと思いますよ。ただ、思うだけで、基本的には袷にはあわせ・・というものでしょう。あと、羽織については桜の終わりが羽織の終わり、ということを聞きます。これ、陽花様も似たようなことをおっしゃってました。もちろん地域にもよるでしょうが、何月だから・・というよりも、4月下旬で今日は暑いかな、と思ったら帯つきでもいいんじゃないですか?少し大きめのショールなどするとか・・。



てっちゃん様

はい、予告編していただいてありがとうございます。

明日、いよいよよんぼ西陣へ行く・・

ってなとこでしょうか、お楽しみに。
返信する
虫の小紋に、 (ぶり)
2006-04-29 22:04:20
ススキの帯を締めたら、面白そー♪



友禅の作家さんとのお話で、「男物まで含めたら、およそ、この世の事物で図柄になってないものはない」と仰ってらしたので、「蚤や虱はないのんと違う?」と問うたら、「さすがに見たことはないけど、男物の襦袢でありそう」とのことでした。

ありきたりの着物や帯、どーでもいいから、オモロイの、ケッタイなん、欲しい!





返信する
着物なら・・ (とんぼ)
2006-04-29 23:07:14
ぶりねぇ様

ほんとにススキの帯、イケてますねぇ。あと「籠尽くし」とか・・。

和モノの柄というのはほんとに「無限」ですね。シャレとか判じ物とか、日本人は得意ですから、思わぬものが、柄になっていたりしますね。そういうものをみつけるのも、ネットや骨董市を歩く楽しみです。何かかわったものを見つけましたらお知らせしましょ。見るだけで楽しいですし!
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