ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

久しぶりに「バサマ」のこと

2008-06-22 14:38:20 | つれづれ
久しぶりに「バサマ」のお話…。
写真はたぶん82~3歳のころと思います。
一番お気に入りの帽子です。

おかげさまで腰はすっかりよくなりまして、元気にしております。
まぁ年齢的にいって、完治ということはむずかしそうで、
まだ姿勢によっては少し腰痛があるようですが、とりあえず歩けます。
しかし、相変わらずの食の細さと極端な偏食で、
体重も戻らず、体力にはかなりモンダイがありますが…。

そのバサマが突然「京都に行きたい」と言い出しまして…。
毎年絶対的に季節のいい、春と秋しかいかないというのに、
そのアタリはもう判断力も鈍っているようで、腰も治ったし、と…。
本人は腰と一緒に、全部の状況が治っているつもりですから厄介です。
でも、ジサマは「いけるうちに連れて行ってやりたい」と申しまして、
何かあったら地元の○○病院に連れて行く、というような打ち合わせもしまして、
先週行ってきたのです。車ですから、ゆっくり休み休み…。
とりあえず無事で往復してきましたし、旅の疲れも取れたようです。

で、話はさかのぼりますが、出発前に荷物のチェックに行きました。
もう症状がでてから、荷物もちゃんと作れませんので毎度これをやってます。
ジサマと隣の部屋でボソボソやっておりましたらバサマの一発目
「行きもせんおまえが、なんで人の荷物見てんねんな」
「いやーほらね季節的に温度差あるやん、ちーと心配して」
「人の心配なんぞいらん、アタマハゲるでおまえ」…二発目、話題変えねば!
「ほたるの里も行くねんてなぁ、ぎょーさん見られるとええなぁ」
「いてるに決まったるやん、そやさかい行くねんから」…三発目。
「せやな、ま、久しぶりに行くねんから、Kさん(幼馴染)にもあえたらええな」
「ありゃ病気や、そんなことわかるかいな」えーと何発目だ?
そしてとどめ「ほんまはいきとないねん、行くのやめよか思って」
始まったぞー毎度おなじみ「バサマ直前の行きたくない宣言」

実はですねぇ、この日の朝、すでに一度「行かない」と言い出し、
ジサマはいつものことなので「まぁ明日まで考えたら?」と
かわしたわけですが、突然「電話する」と言い出したそうで。
いつも泊めてもらう親戚に電話をして、一番お気に入りの甥っこさんに、
「そこの近くに『養老院』あったやろ、予約しといて。そこ入るさかい」
ばーちゃん、健康ランド一日ご優待じゃねーだから…。
言われた方もびっくりしたそうですが、まぁバサマの様子は
わかっていますから「ああいうところは急には入れないから」と、
なんとかごまかしたそうで、次にバサマがいったのは
「そんならしゃーない娘に頼むわ」、いやアタシでもムリだってば。
とりあえず、ジサマは電話の後「まず朝ごはん食べよ」と…。
きけばその電話をしたのが朝の6時半だったそーで。
食後、早く起きたから少し寝たら、というわけで、ひと寝入りしたあとは、
バサマそのことはすっかり忘れてくれましたとさ。

まぁその日の午後の「行きたくない宣言」です。
要するに、昔かたぎの母は人に迷惑かけたくないという思いが強く、
行っても何もできないことが気がかりなのです。
「どうせ行ったかて、もう何の役にも立たへん、迷惑かけるばっかしや」
毎度これを繰り返します。
ただし毎日のようにワガママ大王で、ジサマと私のこうむる迷惑については、
バサマの心の中では「このふたりには別にかまわない」という図式のようですが。

ダレも80過ぎて足腰弱った年寄りに、何かしてもらおうなどとは
思わないわけで、バサマもただもう「おおきに、世話かけるなぁ」と
いっていればいいものを、それがどうしても自分で納得できないわけです。
これは性分ですからしかたないのですが、本人、つらいと思います。
行きたい思いと、すまないと思う気持ちとで揺れ動く、でも行きたい…。
叱るわけにもいかないので、ばーちゃんお茶入れて、とかなんとか話をごまかし、
ジサマと日程など話していると、今度は仲間はずれ気分でおもしろくない!
お茶いれながら突然「ウチはアンタの、なんや」と聞くのです。
おいおい自分の娘がわからなくなったか、とギクッとして「おかーちゃんやんか」
というと「そやろ、そのアンタになんで『ばーさん』と言われなあかんねん、
ウチはアンタのばーさんになった覚えはないで!」…ハイハイ、すまんこって。
最後の「八つ当たりパーンチ」これで本日のタッグマッチしゅうりょー。
とんぼさん、ノックアウト負けぇ。
まぁ、憎まれ口が出ている間はまだまだ大丈夫です。

ところで、バサマがそのときもって行くバッグを見せてくれたのですが、
バッグだけで6個くらいあるんです。そのへんももう思考がズレていて、
パッと見て「あっこれ使おう」と思ったものを片っ端から
ダンボールにいれるわけで、使い勝手とか服装に合わせてとかはまるでナシ。
ジサマは「車だから好きなだけもっていかせる」と、無制限ですから、
皮製、布製、レザー製と、オンパレード…ははは。
その中で突然「これ持ってくねん」と出したのがこれ。
ありゃまー、私が結婚して何年目かに縫ったものですー。
(茶色い細いものは別のポシェットのひもです。後ろの細かいチェツクも
 布製の丸いミニ・ボストン、これももっていきました)


     


紺地の部分は、バサマがむかしはいていたデニムのズボン、
間のたてじまはの部分は、オットの着古したワイシャツです。
作り方はこんな感じ…


  


あ…「タック」が「タツク」になってる…すみません。
それと、順序逆ですがな、
「ふちをミシンで押さえて」から、「タック」を作る、です。
とにかく、こんな感じでボディ用の生地を作ってそれをバッグに成型しました。
モノいっぱい入れると、のびるだけのびてカボチャみたいになりますので、
ある程度の大きさでとまるサイズに、中袋を作っています。
ボタンもたしか昔のコートかなんかのものです。
これはちりめんバッグなどにも使われる作り方ですが、
実は「試作品」でして、自分のはちゃんと気に入った柄布で作ったはず。
でも、バサマはよろこんでくれまして、まぁ30年近くも
持っていてくれたんですねぇ。結局ダンボールの中に入ったまま、
往復したようですが、ちょっとうれしかったです。

とりあえず、ホタルを見て、いつもの神社へお参りに行って、
友人宅に一度行って…、一日にひとつだけクリアして、あとはほとんど
横になってすごしたそうで、ゆっくりのんびりの旅は無事済ませられました。
無事ご帰還のバサマに「ずっと雨に降られへんかったんやて?よかったなぁ」と
天気がもったことを「お祝い」しましたら即座に
「ウチは雨に降られるような悪いこと、なんもしてへん、晴れてアタリマエや」
帰宅後の一発目でしたー。とんぼ玉砕…。



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10 コメント

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Unknown (陽花)
2008-06-22 16:57:11
テンポよく言葉のキャッチボールを
されるお母様がまだら・・とは思えませんね。
絶妙なぼやき漫才を聞いているようでした。
無事に行って無事に帰られた事、よかった
ですね。
返信する
おつかれさまです (sayo)
2008-06-22 21:48:22
とんぼさん、エライ!!
実家でも90になるぴぃちゃんを母が見ていますが、上手にかわしていてお母さまはお幸せだと
おもいます。(とんぼさんとお父さまのご苦労は大変なことと思いますが。)
実家の母はなんだかとんぼさんのお母さまと
タイプが似ているようなので今から参考にさせてくださいね。
無事にもどられてほんとうに良かったですね。
返信する
バサマ? (かたばみ)
2008-06-22 22:27:17
タイトルに惹かれて再訪問させて頂きました。

ん? バサマって何だろう?
婆娑羅の親戚かなぁ~

と、思ったら
なんと、お婆様って意味でしたか。

「孝行を、したいときに親は無し」って言いますよね。
大事に孝行にお励みください。
これは二親とも亡くした私からのアドバイスです。
返信する
座布団もう一枚! (うまこ)
2008-06-22 23:43:44
いやぁ~、お裁縫も巧いけど
作図もお上手。
私もちょうど今、スカートの作図を
苦心惨憺しながら書いたところ。
書き終わって、こちらに伺えば・・・

さらにバサマとの会話も
うちの超々健忘症のばっちゃんの会話と比べると
なんとサマになってることか・・・
どうかジサマがいつまでもお元気でいらっしゃいますように。
返信する
可愛いバッグ (キャット)
2008-06-23 00:25:16
お母様、いろいろな健康上の問題もありながら、ともかくご健在でうらやましい限りです。

バッグが可愛いですね。
生地を見れば思い出も愛情もいっぱいのバッグで
お母様がお気に入りなのがわかるような気がします。(笑)
返信する
思い出しました。 (穴熊の女房)
2008-06-23 02:48:16
私も経験済みです。
まだお元気なお母様 大事にしてあげてください。 
返信する
さすが...。 (akkomam)
2008-06-23 09:03:44

 さすが、とんぼさんです。
 私は晩年の父との会話で何回もとまどったものでした。
 老いていく父を認めたくない!が先にたっていたのですが、
 自分が老いてきますと、父の気持ちにだんだん近づいて
 いるな、って感じるところが多くなりました


 どんなに歳をとって痴呆が進んでも<ありがとう>って
 言葉だけは忘れないでいたい!!と、思うこの頃ですが
 訓練してもダメかしら。

 
 お母様の生きがい旦那さまととんぼさんとの会話かも
 しえませんね。 羨ましいです。
返信する
Unknown (ゆん)
2008-06-23 09:21:00
おはようございます


 鋭いながらもエスプリを感じさせるセリフの応酬です!!

 同居している義母が、このところ急激な変化を遂げています。
 身体的にもそうですが、言動に鋭さが表れてきまして、時々「うっ」ときますわ~。

 でも、「これが老いるということなのかな。」とやりすごしてま~す

 でも、実母がそうなったら、と思うと返って応えるように思います・・。みんな、順番なんでしょうけど・・。
返信する
Unknown (かつ)
2008-06-23 14:38:56
こんちわ~
遣り取りが目に見えるようです。
我が家も、女房の母親84歳と同居しているので、同じような遣り取りをしています。
ただ違うところは、とんぼさんのように女房は口が達者ではないので、年寄りのたわ言として聞き流していますけどね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-06-23 17:01:39
陽花様
ありがとうございます。
おかげさまでホッとしました。
まだらなんて、ほんと外の人には
全然わかりません。
まだまだしっかりと「キャッチボール」
してくれます。


sayo様
元々が、皮肉屋さんでアマノジャク、
なかなかの手ごたえですー。
友人のお母様は、俳諧や被害妄想が
出始めていてたいへんだといってました。
我が家はまだそこまでいっておりませんが、
少しでも「皮肉」を並べて、
元気でいてくれたらと思います。


かたばみ様
ほんとにそうですね。
主人の両親は、すでに故人なので、
そういう思いはやっぱりあります。
なかなか思うようには行かないんですが…。


うまこ様
ありがとうございます。
あのスカート、ステキですね。
すごいアイデアです。感服!
私も「サーキュラー」はアコガレです。

ばーちゃんとのやりとりは「鍛えられますー」


キャット様
おかげさまで、とりあえずは病気持ちでも
なんとか元気で過ごしてくれています。
夏の暑さがきになるところですが、
また秋に旅をしたいというわがままが、
聞きたいと思っています。

バッグには、びっくりしました。
まだもってたのーって。ありがたいです。


穴熊の女房様
私は一日中一緒ではないので、
なんとかこなしてますが、
父がよくがんばれると思います。
夫婦って不思議なものですね。


akkomam様
ありがとうございます。
訪問看護にきていた看護士が、
私と母とのやりとりを聞いて
「いつもこんななんですか?」って
父に聞いてました。漫才みたいですから。

母を見ながら、やはり自分の老いのことも
考えます。ほんとに、いつまでも
「ありがとう」と「ごめんなさい」が
素直にいえたらいいですね。


ゆん様
元々キツイ人なんですが、ボケていっそう
「ミガキ」がかかってますー。
なんでも「痴呆」は、一番気にかかる人とか、
かわいがってる人のことから、
忘れていくのだそうです。
世話をしてくれる人のことは、
最後までわかるって。これってよく、
娘のこと忘れても、面倒みてくれる
お嫁さんのことは忘れないって、あれですね。
がんばれゆんさん!


かつ様
老人介護や認知症介護って、
精神的な部分のウエイトが大きいから、
看る人も大変です。
お義母さまもだけど、奥様もいたわって
あげてくださいね。




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