写真は、頼まれたものではありませんで、ふるーいものです。
依頼されたのは「金色系」で、ただいま箱のなかで「出番待ち中」です。
筥迫については以前に一度書いておりますが、今回準備にあたってあれこれネットをウロウロしました。
それで気がついたのですが、筥迫の使い方がどうも落ち着かないなぁということ。
なんだか胸元がゴチャゴチャしている感じ…たとえばこちら
商品紹介写真ですから、とりあえず浮いてるみたいに入れても仕方ないとは思うのですが、
よくよく見れば、本来の使い方と違っているわけです。というより、いつの間にか「イマドキの使い方優先」になってしまった?
横からの写真はこちら
どこが違うのか、過去に使った写真を出しますね。
左は60年モノのふるーい筥迫、右が今のもの。大きく違うのは小さい袋をさげている紐の長さ、ですね。
トップ写真をもう一度出します。これは筥迫を分解した写真。古いほうのです。
左からビラビラ簪、簪入れ、胴締め、筥迫本体、です。
胴締めの下に袋が下がっています。これは「落とし巾着」といいます。
これは本来「外には出ないもの」です。
これを飾りとして表にだそうということになって短くなったのだと思います。
筥迫は、今で言うなら「化粧ポーチ」ですから、本体の中には小さい鏡がはめこんであるか、
もしくはポケットにはいっているか、で、後ろ側には懐紙が入るように出来ています。
胴締めは、この筥迫が開かないようにとめておく「バンド」です。
そして「落とし巾着」は、お香やお守りを入れていたといわれています。
で、この落とし巾着の紐、着物の本を見ますと、少なくとも15年位前までは紐も長かったようです。
名前からするとわかりやすいです「落とし巾着」。
「落とし」と言うのは、重しにするというような意味があります。
これも以前書いておりますが「袂落とし」というものがあります。
ものを入れるようにできているものと、タダの「重石」のものとあります。
昔、袖の長い着物を着ると、袂の底に小銭を紙に包んだものを入れなさい、といわれました。
極端に言うと「100円玉一個いれとき」…です。懐紙くらいの半紙に100円玉包んで入れていました。
わずかな重さが袂の底で重石となって、袖の無駄な翻りや型崩れを防いで自然にきれいな形に袂が落ち着くから。
男の人の場合は、この袂落としに紐をつけて首から提げ、着物を着て袖の中にこれを引き込んでおくと、
それが小物入れになる…というわけです。
つまり、「落とし」というものは、ぶら下げて外に出すのではなく、中に入れて落ち着かせたり、
ものを入れたりする役目のものです。
落とし巾着は、元々お香やお守りが入っていたといわれています。
それはつまり「物を入れる役目」です。そして実は「根付」の役も果たしています。
「根付」は、今でもありますが、本来は男性が使う実用的アクセサリーです。
男性は、煙草入れや印籠などを腰にぶら下げましたが、そのとき根付を帯びにひっかけることで、
煙草入れなどの落下を防ぎました。こんな感じ、ネットから写真お借りしました。
筥迫の「落とし巾着」も、これと同じ役目を持っていました。つまり 「落とさないための止め具」です。
なので本来は、落とし巾着は帯の中に押し込んで、表には出ないもの…なんです。
こちらは2000年ころの写真です。出ていませんね。ちなみにビラビラ簪は左が本来の使い方。
ちゃんと簪のアタマの丸い部分を外に出します。
筥迫は、それでなくても懐にちょっと押し込むだけという不安定なものです。
まして子供は体が小さいですから、歩く振動だけでも落ちそうになるのではないかと、私なんかは心配してます。
胴締めを少しずらして着物の衿の重なりめあたりで、帯の中、もしくは伊達締めや腰紐の中に押し込むのが正解。
そしてもうひとつ違うのが「扇子」の挿し方。上の2枚は、大人と同じように帯の左脇に差し込んでいます。
最近のものは…前出の写真ですが、帯締めに挿しています。
これ、「七五三小物の使い方」なんてところにも「帯締めに挿す」と書いてあるんです。
ちょっと前の写真のほうが、スッキリしていると思いませんか?
たぶん…ですが、落とし巾着を外に出したり、扇子を帯締めにはさんだりというのは、
とにかく「華やかに」ということではないかと思うのです。
成人式の振袖もそうですが、帯締めを何本も使ってなにやらクネクネと結んだり、
さらにそこになにやら光りモノをぶら下げたり、後ろはうしろで結んだ帯にあれこれつけたり…。
七五三用はこんな具合。友人に頼まれたものにもついていましたが、幸い?安全ピンでとめてあるだけ。
「取ってね」といわれています。帯飾りならもう少しそれらしいものにしてあげたいものです。
いつも言いますが、若い女性や女の子の着る振袖、という着物は、数ある和服の中でも
もっとも華やかで、美しく豪華なものです。それに見合った帯もまた華やかになりますから、
それだけで十分、眼にも鮮やかで美しいものです。
元々「着物」には、アクセサリーはあまり似合いません。そういうものを使わない文化で育ってきたからです。
着物にとっては半衿や帯揚げ帯締め、礼装なら伊達衿、そういったものが「アクセサリー」なのです。
これでもかとアレコレつけると、体が小さい子供には、ゴチャつきすぎると、私は思っています。
さて、あと残るのは「簪」だけになりました。着物が赤なので、赤系かなと思って探しています。
入れづらいでした。
扇子は帯の中に差し込む方が落ちる心配
なくてスッキリしていいですね。
幼い頃、着物を着るのはお祭りの時でした筥迫、ありました。いったい中には何が入っているんだろうと開けてみた思い出があります。鏡が入っていたように思います。
着物もファッションですから変化があって当然とは思いますが、この頃の着物の着方ってどうなんでしょうねえと思うことが多いですね。
とんぼさんが指摘なさっている「落とし巾着」や扇子のあしらい一つで随分と感じが変わるものだと実感しました。
子供だと、体が小さい分、いくら筥迫も小さく作ってあるといっても、
ドーンと出っ張って、入れにくいですよね。
扇子、私もなんだか見栄えもよくないなぁと思います。
開いてあおいだりする用はないものですから、
もっと小さめで、帯の脇に入れるほうが、スッキリすると思いますねぇ。
「知らない強み」?なのかしら、なんでも新しい感覚とやらで、
あれこれ変えたり飾りまくったり…。
洋装だとけっこうあれこれ気を使うのに、和装になると、
とりあえずあれこれつけちゃう、みたいな、
落ち着きのない衣装に変わっているように思います。
七五三の草履で、鼻緒のフチにレース飾りがついているのがあり、
ゴチャゴチャしてうるっさい鼻緒だなぁとおもっちゃいました。
かわいい、の感覚がどうも違うんですよね。
参考になりました~ありがとうございます^^
孫は、まだ3歳だし、被布をつけて。。と思ったりするのですけれど、
7歳の時には、すっきりとした着姿を^^
しかし扇子。。
絶対に落としてしまいそうですね(笑)
なんか変。。と思わないのですかね?←だからこんなんなのでしょうけれどw
家族写真のワンショットなら、然程気にならないのですが、最近は着物関係会社のHP上に驚くような写真とかあったりしますし( ゚Д゚)
そのうちに数十年後?には
留袖に扇子を挿すのも、
もしかしたら帯締めに挿すようになってるかも。。( ゚Д゚)
今は滑稽に感じていても、周り皆がそれだったら。。と思ったりしますし( 一一)
3才なら被布で十分…というより、いくら今の子は発育がいいと言っても、
3才で結びの帯はたいへんです。日ごろ着物を着慣れていませんからよけいに。
被布もかわいいですよね。
扇子はどうにもきになります。「持ってますっ」なんて見せたいのかな?とか
余分なことまで思っちゃいます。
先々どうなっていくのか、考えるのもおそろしい…。