ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

またしても「カツラ」…

2011-02-02 19:45:36 | 昔の道具・暮らし

 

この前と同じ出品者からのもの。今回は個数も少なく、競る人もなく…で、またまた格安で入手です。

このカツラ、あと二組、それぞれ何個かずつの組み合わせで出ていましたが、

一人のコレクターのものらしく、裏に入手した年月日や場所などが書いてあります。

京都が多いようですが、昔、呉服屋さんとか和装に関するお店のショウウィンドゥの片隅などに、

こういうものが飾ってあった記憶があります。今でもおみやげとして売っているかもですね。

 

さて、今回のものは、前のものとできるだけダブらないようにと選びましたが…。

トップは先日の小さいカツラの「天神」のバージョン。

「布天神」の一種ですが、もう真ん中の髷は全部包み込まれて隠れちゃってますね。

並べてみましょう。こちらが今回、

 

           

 

前回のはこちら

 

           

 

元々が「遊女の位の名前」から出た名前と言うことですが、江戸後期から明治にかけては、

だんだん一般女性にも結われるようになったそうです。上のカツラははもちろん、まだ粋筋の人の髪ですよね。

この紫の大きな布とか、華やかな櫛などを取ると、全体的には髷も小さくジミ目です。

たぶんですが、昔は毎日髪結いを呼べる裕福な人以外は、髪はみな自分で結いましたから、

できるだけ手がかからず、ちゃっちゃと結える髪は、便利だったと思います。

 

今日は子供の髷を…こちらはまんま「稚児髷」

 

   

 

こちらが後ろ、

               

 

稚児髷は、元々平安から桃山くらいまでは、「男の子」の髷。

「お稚児さん」も、長い年月の中でイロイロ意味が広がりました。

元を正せば単純に「小さい子」なのですが、まずは剃髪前のいわば「僧侶予備軍」のことを言い、

それにならって、貴族の身分の高いものの子供などが、まだ子供のうちに寺に預けられ、

学習や行儀見習いなどをするものを「上稚児」と言いました。

一般人の子供の中から寺にはいったもので、今で言うなら執事見習いのような世話係になる稚児もいれば、

お金で売り買いされた身分の低い稚児もいました。

後年、寺という環境から「女性のかわりをつとめるもの」という意味にも使われました。

今よりずっと「ゲイ」も「ホモ」もおおらかに存在し、認められていた時代ですから。

 

で、髪型のほうですが、もともとの稚児髷は、総髪、センター分けで上に輪っかがふたつ…だったり、

前髪を取り分けて月代は剃りこんで、まとめて輪っかふたつ・・・とか、いろいろです。

よく「五条大橋の弁慶と牛若丸」の絵などで、牛若丸が結っていますね。あれです。

時代や立場でイロイロ変遷しましたが、一時期公家以外は廃れ、

江戸時代以降は女の子の髷として結うようになりました。今でもお祭りなどで結いますね。

もちろん月代は剃りませんし、かわいらしくかんざしなどもさすようになりました。

このカツラはそのころの、稚児と呼ばれるよりは少し大きい年代の子の髪型と思います。

つまり小さい子供の場合は鬢や髱はそんなに張らず、頭の上の大きな輪が特徴ですから。

真ん中の白いものは「丈長(たけなが)」、丈長奉書という和紙でできていますが、

白だけでなく、色のついたもの、金を蒔いたもの、絵のあるものなど、華やかで贅沢なものもあります。

稚児髷だけでなく、島田などでも先をくるりと巻いた丈長で飾られますね。

  

もうひとつは、これは実際に結われたのではなく、芝居やお人形に結われたもの「桃太郎」

 

            

 

元結の折りたたんだひだの紙は「力紙(ちからがみ)」、歌舞伎「暫」のヒーローもつけています。

「御幣」とあてる場合もあります。神の守護や力を持っているぞ…という「強い男」のアピールですね。

あげた前髪をまとめ、その先を二つに分けて、前髪の左右に出しています。

今度、五月人形などを見る機会がありましたら、桃太郎さん探してみてください。

 

ラストは「尾長」、あまりややこしくない…というより、前髪、鬢、髱を膨らませたら一つにまとめて

それを後ろにたらすだけ…です。時代劇などでは、この後ろにさげた部分がもっと長くて、

金襴の細長い布で途中まで覆われていたりします。(当然、かもじでしょうね)

シンプルな形ですが、これは将軍家や身分の高い大名の奥方にだけ許された髪型です。

未亡人になると、この紐で縛ってあるもう少し下を切りました。

長い髪がアタリマエだった時代は、それだけ切っても「有髪の尼」とされ、剃髪と同等とみなされました。

もちろんそのときは、かんざしなどはつけません。

 

             

 

最近、結婚式でこの後ろ部分を文金高島田にくくりつけて「尾長」としている写真をよく見ます。

あの島田に尾長…は、尾長部分に飾りをつけて島田髷の途中に結び付けていますが、

ちょっとムリがあるように…私なんかは見てしまいますね。

このカツラの尾長は、前に花簪をつけていますが、実際には武家の奥方は高価なもの、

例えばベッコウや、さんご、金銀蒔絵などはふんだんに使いますが、

かんざしそのものは華やかというより品格のある豪華さです。

色や形が華やかなのは、庶民の楽しみ方ですね。

 

前回のもの、プラケースに入れてなんとか形になったので、仕方ありません、おなじものを探すことにします。

オットの「釣り用浮き」がはいるはずだったものを、ネコババしましたので…。(ナイショ)

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (陽花)
2011-02-02 21:31:54
こういうのって集めかけるとキリが無く
ほしくなるものなんでしょうね。
トップの髪型は見ていても粋でいいなぁと
思います。
組紐も刀の下げ緒だけじゃなく髪を結う時
にも使われていたんですね。

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Unknown (とんぼ)
2011-02-03 00:16:14
陽花様

そうですねぇ、このコレクションは全部買ったら
おんなじものがいくつも重なります。
裏に値段が書いてあるものもありますが、
大きくて豪華なものは、結構なお値段です。
今度京都に行ったら、探してみたいです。

組紐、使われていたと思いますよー。
華やかに金なんか入れたりして、
若い女性や花魁さんは、きらびやかに
かざったのでしょうね。
返信する

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