ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

もう一冊

2010-07-05 23:07:09 | 本・マンガ・絵
なにげなく見て、はっとして、この表紙の写真だけで買ってしまいました。
「アタリ」でした。私にはとてもステキな本です。

日々、きものに割烹着
猪谷 千香
筑摩書房

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表紙のなんともステキな女性お二人は「著者」ではなく、本の中に出てくる
「日本橋にあった喫茶店『えすぺろ』の、元看板娘三姉妹(お一人はすでに他界)」。
著者は「猪谷千香」さんというかた。読みすすんでいくうちに、
私の母とこの猪谷千香さんのおばあさまが同じくらいの年代、
つまり私はまんなかで、このかたのお母様と同年代と思います。
彼女にとっては、おばあさまの思い出話が、私にとっては「母の話し」になるわけで、
あぁそうそう、そうなのよ、とかもぉ楽しくて、あっというまに読んでしまいました。

この本の帯には

「頑張るきものじゃなくって、サザエさんのフネさんのような
 肩の力の抜けた着こなし。
 真っ白な割烹着。縞、下駄、銘仙、木綿にウール…。 (以下略)」

とあります。そうそう、そういう着物ね、楽しいよね…です。
私は「がんばる着物」も好きです。いえ豪華絢爛ということではなく、
私にとってのオシャレ着物、紬や渋め小紋普段小紋…どっちも楽しい!

内容については、細かく書きませんが、読みすすんでいくうちに、
私自身の着物にまつわることが、関西のことが根っこにあるんだな、というのが
改めてわかりました。そりゃ、私に着物を教えた母が京都なんですから当然ですが。
この「関西・関東」ということは、着物のいろんな面で「違い」として出てきます。
関西関東というより「京・江戸」の違いなんですね。
以前にも書きましたが、京都は元々「宮中」のあるところ、
「京の雅」と言われる所以でもあります。
「江戸の粋」は、千年の都からはるか遠く離れた武蔵野の大地に新しく生まれた文化。
元々「東夷(あずまえびす)」と鼻先で笑われていた武士が開いた町です。
敵対するわけではないけれど、何かと比較されたり張り合ったり、切磋琢磨したんでしょうね。
それぞれの土壌でそれぞれに育まれた文化、それぞれにいいところがあります。
私は好みとしては「江戸の粋」の方なのですが、京の雅も捨てがたい…。
思えば母は「京都生まれのクセにはんりもまったりもしていない」人…。
それで私もなんやら中途半端な状態になっちまったのかもしれまへんなぁ。

とりあえず…母の性格はともかく、やはり京女ですから、お道具ひとつの呼び名も関西。
この本で「帯締めを帯どめ、帯揚げをしょいあげ、という」というくだりがあります。
私はこの「帯どめ、しょいあげ」は、こちらの生まれのキモノビトから教わりました。
いずれも古い東京の言葉だそうです。最初は「帯どめ」を「帯留」と聞き違い、
(だっておんなじ発音ですから)着物着てる人なのにまちがってる…などと思ったのに、
昔風の言い方よ、と教わってへぇぇと思いました。
その話しが出てきて、私はなぜか「ひ」が言えなくて「し」という江戸っ子…を
ちょっと思い出しました。「潮干狩り」が「ひおしがり」になったり、
「朝日新聞」が「あさししんぶん」になったり…。
「ちょいと」とか「おまいさん」とか「まっつぐ」とか…
京都弁も大好きでありながら、そういう言葉が耳に心地いい私は、
やっぱり「関西と関東」のハーフなんですねぇ。

この本は、こういう本です、と説明しづらい本です。
たくさんの楽しいエピソードが書かれています。
第一章の中のタイトル「骨董市の仁義なき戦い」「十二人の与三郎」
「真夏の足つき幽霊」これだけ見てもおもしろそうでしょう。面白いんです。
ただ、あははと笑いながら、しみじみ考えさせられたり、
ああそうだよねと納得したり…そんな本です。

そうそう「三枚こはぜ」の足袋の話しが出てきます。
今は4枚5枚が普通ですが、昔は、といってもこれもまた江戸の話しですが、
足袋は3枚こはぜが普通だった…。これは、以前きいたことがあります。
今の時代、5枚こはぜをはくのは踊りをなさるとかそういうかた…といいます。
逆にお茶などで長く座る倍は4枚のほうがいい…と言われます。
普段でも着物を着て暮らす方は、足袋もできればこはぜの数は少ないほうがラクですよね。
つまり、足首の動きがラクであること…です。
こはぜが少ないということは、足袋で足首の隠れる高さが変わるということです。
4枚こはぜを見慣れた私たちには、三枚こはぜはきっとなんか寸足らず…に
見えるのではないかと思います。
でも、たとえば今みたいなソックスタイプのものなんてなかった時代で、
暮らしは常に立つかお座りか…なら、足袋は短いほうが足首がラクですよね。
おまけに更に昔は、今より着物を長く着ましたから、
裾と足袋の間の足首が見えるなんてことはなかったわけです。
こんなところからも「もののカタチ」って変わるんですよね。
ちなみに、今三枚こはぜは、ほんとにありません。
イマドキの着方だとカタチよくないかもですね。

また「半足袋」というのがあります。これはおもに男性向けで、今も作られていますが、
ソックスカバーの足袋版、ってとこでしょうか、イマドキものは足を入れる口はゴムです。
私は足袋の上、着物との間に足首が見えるのは「女袴」のときだけ、と
かってに決めていますので、半足袋もできればご家庭でと思います。
あるお店のページで「半足袋」と称して販売されているもので、
説明に「着付けの時に着た具合をみるためのもの」と書いてあるものをみつけました。
着た具合を見る…ってなんだろうと思って画像を見たら、
「スリッパ先が足袋になってる」とでもいう「つっかける足袋」…。

ああ、なるほど、たとえば振袖なんかの試着で、ざっと着てみたとき、
これをつっかけて着物を着た感じにするわけね…。「半足袋」…紛らわしいですわ。
今の人で半足袋を知っておられるかたは少ないでしょうから、
できれば「試着用簡易足袋」とかなんとか、ちゃんと説明してほしいですねぇ。
ありゃ正確には「半足袋」ではなく「三分の一足袋」ですがな。

さて、本の中身のお話しからいろいろ飛んでしまいました。
とりあえず、表紙にほれた方、なら買って損はありません。

今日は夕方からちょいと浴衣で過ごしました。あの3000円の反物です。
呉服屋さんに「地の目直さなきゃどうにもならないゆかただった」といわれました。
やっぱ3000円だぁね、仕立て代のほうが高い…自分で縫えってば…。
カオがですねぇ、なんかライトの加減なのか、へんにテカッたり、
おかしな色合いで、陰みたいなゴミみたいなものが写ったりてしまったので、
ちょっとぼかしました。なんかマスクしてるみたいでしょ。
後ろの床の所もいつもと違った写り方です。あぁ次はデジカメが…かなぁ。


      

   
とりあえず、普段ザカザカ着るには、色も柄もあって楽しいんですが、
失敗したのは「帯」です。
以前から買っておいてそのままにしていたもの。細い縞柄(織り)だけなので、
ジミなゆかたには「まんま」だなぁと、そのままにしてありました。
今回のゆかたは柄も色もあるので、よっしゃと出したのですが…。
なんてまぁこんなに締めにくい帯は初めてです。実は裏も表も「本麻100%」。
ところがなんか加工がしてあるらしく、麻らしからぬヌメッとした感触、
そしてそのせいか「まったく締まらない」…。
ギュッと結ぶ、手を離すとにゅっと戻る、おいおい。まるで安物の化繊みたいです。
貝ノ口締めても、手を離すとズルリと解けるのですよ。
仕方ないので一文字にしようと思っても、ずるけるだれる、
一文字のはずが「へ」の字になる…とんでもない帯でした。
こりゃどうしたもんでしょう、本麻ですから、それなりのお値段したんですよ。
大失敗の買い物ですね。今頃気がついてもしかたありませんが、
これはほんとに締めようがないので「半幅の作り帯」にしたほうがよさそうです。
あぁまだありましたわ、それでもなんでも麻ですので…四苦八苦した分、
すんごいシワシワになってしまいました。あぁもぉ…この夏最大のペケですー。
写真撮った後、さっさと安い木綿の半幅にかえました。
そしてこれで表に水遣りに行って、あまりの蒸し暑さに汗びっちょになりました。
明日てんきになぁれ…洗濯ですー。


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8 コメント

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Unknown (とんぼ)
2010-07-06 22:29:14
あじゃ様

ほんとに絵になるお二人ですよね。
私もシャボンで洗って(もう遅いか…)
着物で金魚坂、歩きたいです。

「鰻帯」まさしくです。めいめいありがとうございます。
本物鰻なら、押さえどころもわかるんだけど、
帯じゃくびれもなくて…ガックシです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-07-06 22:15:28
akkomam様

昨日今日はさすがに大汗かきましたけれど、
ゆかたを着ての暑さは、なんかベツモノという
感じがします。我慢できてしまうといいますか、
フシギな感覚なんですが…。

虫干しで出して、眺めてあげてください。
それだけでもいいものですから。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-07-06 22:08:25
陽花様

なんかほっとする写真ですよね。
これほどきりっとはしていなかったけど、
近所のおばちゃんやおばあちゃん、こんなでした。

この帯はもぉぉ、ほんっとに腹立ちました。
苦情、というより呉服屋さんにも、
いっておいたほうがいいと思ってます。
こんなにしまらない帯も珍しいですよ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-07-06 22:06:13
りのりの様

いいですよねぇ、こういう年のとり方…。
私もアコガレです。
今のメイク、同じでないと安心できないんですかしら。
眼を強調、と言いますが、とったらまったく顔が違う、
ということに違和感はないんですかねぇ。

いやこれねぇ、ほんとにおかしな反射?で、
強くぼかすと、ほっぺたにピンクのブラを
さかさまに貼り付けたみたいになっちゃうんですよ、
自分で笑っちゃいました。
返信する
Unknown (あじゃ)
2010-07-06 18:10:09
私もこの本を持っています。
表紙のお二人のお肌がぱあっと輝くようにお綺麗なんですよね。
(このまま資○堂のポスターにして頂きたいくらい)
そのお手入れ方法がシャボンで洗顔するだけなんて・・・。
本郷の金魚坂に着物を着ていつか行ってみたいです。

素敵な浴衣ですね。
せっかくの麻の風合いを駄目にしてしまうような加工があるんですね。
麻帯を鰻帯にしちゃ嫌ですー。
返信する
素敵に着こなして...。 (akkomam)
2010-07-06 09:01:33
  この蒸し暑さについ袖なしの服になることは
  あっても、夕暮れに浴衣を...って気分に
  なれるとんぼさん、さすがです。
  着慣れていらっしゃるし、生活に
  和服が溶け込んでいるのですね、素敵です、
  ご本人は<麻の帯で...>ご苦労だったと
  のことですが、そんなこと、ミジンも感じ
  させない姿!!
  見習わなくては...ではなく、
  見せていただくだけの私です。

  嫁いできたときの浴衣や紗や絽の着物は
  どのあたりに...です。
  そろそろ半世紀になろうとしていますが、
  支度してくれた親も呉服やさんも
  亡くなり、虫干しのときに思い出すだけで
  申し訳ないのですが...が現状ですね。
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Unknown (陽花)
2010-07-06 06:36:15
古き良き時代というか、子供の頃に
見慣れていた姿、ほっとします。

おニューの浴衣すてきです。
帯で四苦八苦されたら、なおさら汗が
吹き出てきますね。
気にいって買っても締めにくかったら
げっそりしますね。
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Unknown (りのりの)
2010-07-06 01:01:56
なんてきれいなおばあちゃんたち。
こんなおばちゃんになりたい・・・オイオイ元が違いすぎる・・・笑

最近の若い子(この言い方がおばさん臭いといわれようがあえて言います)ってメイクや着るもの、みんな同じに思いませんか?
マスコミやオカマのヘアメイクさんがよくやってる変身企画ってなんか変身後はみんな同じ顔になっちゃってつまんないですよ。ご本人はすごくうれしそうにしてらっしゃいますけど。

表紙のお二人、元々美人なのでしょうけど
おばあちゃんといわれる年齢になっても
輝くような美しさですね。
目鼻の造作だけじゃなくていろんなものが
にじみ出て、年月もいい感じにブレンドされて
あこがれますね~~~

少しでも近づけるように日々精進しよっと

あ、とんぼさんとんぼさん。
ぼかしかたが中途半端ですよぉ・・。
ぼかすならだれかわからないくらいぼかすか、
全然加工なんかしないほうがいいって!
かわいらしさの残ってる凛とした美人なんだから!

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