ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

父の着物姿

2009-04-05 19:40:09 | 着物・古布
父といいましても、実父、つまり私が12のときになくなった「馬面父」の方。
この写真の説明によれば、東京官立工芸学校受験用の証明写真。
これがまたややこしいのですが、当初は「東京芝浦」にあったそうで。
結局現在の千葉大学の「工学部」の母体となったそうです。
以前「千葉工大」というのがありましたが、そこの元でもあるようです。
どうやら父は工業デザインとテクノロジーと両方やっていたらしい…。
その「アタマ」は残念ながら、うけつぎませんでひたー。

で、この父の着ている着物なのですが、当然母もみたことがありません。
時代からいって木綿だとおもいます。
当時18歳ですから割と柄も大きめ、なのでしょう。
私の頭のなかでは「これは紺であるべき」となってます。ですよね。

私の記憶の中の父は、着物より洋装が多かったのですが、
冬の夜などは「どてら」でした。らくだのシャツと股引、タビではなく、
昼間の靴下そのままはいてましたっけ。
兵児帯のあの絞りが伸び縮みするのが面白くて、ひっぱって遊んでは、
母に叱られてました。一応「絹もの」だったようです。
半天姿も記憶にあり、また母の話では子煩悩な人でしたから、
私が赤ん坊のころは私をおぶって、銘仙のねんねこを着てそのへんを
子守して歩いていたとか…昔はそういう「おとーちゃん」も結構いたんですよね。

今の父も冬場やお正月には「母のめーれー」によって、
着物を着ていました。それでいて母は「男もんの着物はほんまにおもろない」と
けなしていましたっけ。オットのアンサンブルを作ったときも、父の着物を出して
「並べといたらどっちゃでもおんなじやな、二人ともまんま50年着られるわ」
なるほど、それで「男物」は数が少ないのねぇ…。

男着物は、女性より更に更に「風化」してしまいましたから、
いまや「小紋」を着る男性がなかなかおりません。
それが残念ですー。木綿の唐桟や会津を着ているのもかっこいいですが、
間近で見なきゃ柄がわからないような「いわれ小紋」なんか、
きてみてほしいものです。今の父も正絹の着物ももちろんありますが、
ウールとの足捌きの違いを実感して、やっぱいいなぁ、と言っておりました。
歩いたときの前裾の「返り」、あれがいいですね。
母は私が嫁にでるとき「若いうちは男もウールでいいけど、
じゅばんだけは、安もんでええから絹のじゅばん着せたりや」と言いました。
じゅばんが絹であるだけで、裾捌きが違うからと。
でもねぇ、結局は我が家の男性は「言わなきゃ着ない、着せなきゃ着ない」です。
もったいないなぁ…。

本日のおまけ、一緒に出てきた私の写真、1歳ちょいです。
着物は裾の影になっているところを見ると、細かいマーガレットみたいな花柄。
これはさすがに記憶がありませんねぇ。
たぶん、母の洋服だったものだとはおもうんですが。


     


この乳母車は、かすかに記憶があります。
最後はゆがんじゃって、おしても車輪が浮き上がっていたと思います。
乗っているお人形は記憶がありません、あの「文化人形」だとは思うんですが。
女の子って、昔からこういうものがすきなんですね。

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6 コメント

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Unknown (陽花)
2009-04-05 20:50:18
とんぼ様のお顔立ちはお父様とはまた違い
ますね。
舌を出してる可愛い写真、小さいのに上手に
鼻緒のじょじょ履いていますね~。
返信する
ほのぼのさせていただきました^^ (えみこ)
2009-04-05 22:47:18
なんだか、気持ちのどこかが、あったかくなりました^^
ありがとうございます。
着物業界もやっとグローバル化の動きが出てきて
共同で、男性用の着物一式の価格破壊に成功したそうです。
休日を和服で過ごされる方が増えて、着てみたいけど
お値段が…という声に応えて、呉服屋さん同士協力で開発
価格を抑えて品質を維持した男性着物は好評だそうです。
女性に比べて絶滅状態だった殿方の着物。
復活してほしいものです。
返信する
懐かしいです...。 (akkomam)
2009-04-06 08:15:09

  明治うまれの両家の父も主人も家でくつろいでいるときは 
  いつも和服でした。 お父様の着物姿そのままに、
  絹ものだったり、絣だったり、ウールだったりでした。
  咲き織りをはじめたときに一枚をほどいてベスト用を
  織って仕立てました。

  息子は184センチで、なかなか反物の長いものに
  よい雰囲気のがなかったのと、ジーンズ世代ですから
  着せたい!!とも思わずにの今日です。


  改めて写真を拝見しますと、ストレスの多い今、
  着物姿でくつろぐ姿が見たいですね。
  お嫁さんもジーンズですから、無理かな...。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-04-06 22:35:38
陽花様
父の顔を、上下につぶすと私だと
いわれています。
このころってなんかはが伸びるのに
かゆかったんでしょうか、
どの写真もしたを出していて「あさり」と
呼ばれていました。

そういわれてみれば、このころから
ゲタであそんでましたねぇ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-04-06 22:37:23
えみこ様
ほのぼのしていただいてよかったです。

男着物は、なんかやたらと高いものが
着られる人ばっかりが、
着物はいいですよ、とやっている気がして…。
着物業界は、根底から考え直す必要が
あるんでしょうね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-04-06 22:40:39
akkomam様
黄八丈のようなどてらとか、紺色系のはんてん
そんな記憶があります。
今のかたは特に男の人は体が大きくて
「古着」のいいのがあっても着られませんね。
男物羽織なんて、私でも着られるくらいです。

我が家もいくら言っても着たがりません。
ゆったりするにはいいんですけどねぇ。
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