写真は絹紅梅の解き、大きな笹の葉と萱でしょうかススキでしょうか、
涼しげなんですけど、穴あったりしますー。
本日朝から曇り空で、たまにゴロゴロと聞こえています。
くるのかこないのか、これまた中途半端で、パソコンも切ったりつけたり…。
今日は短めに、昨日の続きをちょっとだけ…。
昨日のコメントで「本物の羅」というお話がありました。
私は昨日「本物」が少ない、ということを書きましたが、
「本物」という言い方には二種類あって、
ひとつには「国内で作られたもの」という意味です。
ちょっと乱暴な言い方ですね、まぁ国外産を偽者、というつもりはありませんが、
要するに生粋の日本の羅っていう意味で、です。
国内産ということに関しては、羅に限らず今はなんでも外国産や、
一部外国での生産、というのが圧倒的です。
せっかくいい技術が復元されても、それを国内で全部まかなうことは、
いまや不可能です。そのことの是非や、なんでそーなったのよ、のお話は
今日ここでは論じませんが、とにかく食料自給率が40%の国ですからねぇ…。
そして、もうひとつは「本当に羅の織り方」であるかどうか、です。
昨日コメントでいただいたのは「羅じゃないのに羅と言ってるものがある」です。
確かに、そういうの、あるんです。「粗紗(あらしゃ)」といいますが、
紗の織り方で、とても目が粗く、穴が大きいので羅のように見えるもの、です。
これがどうして「羅」の部類に入ってしまうのか、私にはわかりません。
少なくとも私のお付き合いのある呉服屋さんは「紗」は「紗」で売る、
と言っていますが、確かにネットショップなどでは「羅」に入ります、という
説明のあるものもあるんです。これって、悪気は無いと思うんですよ。
結局「ナニが大事で、どこにポイントを置くか」だと思うんです。
もう一度おさらいしましょう。
ヘタな絵ですみませんが、よそのサイトの写真を勝手に使うことは失礼ですから、
元から絵に起こしました。雑ですねぇ、
とりあえずもっとも基本的な糸の位置ってことで…。
まず紗です。
そして絽、これは三本絽、薄緑が緯で、紗より複雑に絡んでいます。
そしてこれが「羅」です。これは単純な蜂の巣のような網のような穴あき模様。
昨日、紗と絽と羅は兄弟だと書きました。
それは、普通の織物と違って「途中で糸がねじれて絡まる織物だから」、です。
そのねじれ具合や絡み具体によって、違いが出たり、模様をつけたりする、です。
紗と絽は近いですね、緯が経糸に入る本数と入り方が違う…です。
羅は「経糸が違う」のですね。
これだけの違いがあるとわかっているひとにとっては、
あくまで「紗」は「紗」、「絽」は「絽」、「羅」は「羅」、です。
でも普通着物や帯として買う場合は、だいたい、
「透けてれば紗、穴で縞になってれば絽、穴がポコポコ大きけりゃ羅」
くらいだと思うのです。売る側にしてみたら、織り方はいろいろ違うんだけど、
大きく穴が開いてざっくりと羅みたいでしょう「粗紗」という羅の仲間ですよーと
そういったってウソついてるわけじゃないわけですよね。
そうなると買う側が、まず自分が「何がほしいのか」ってことになります。
羅という鎌倉時代になくなったものが、復元されて美しい羅織物が
再びできるようになった、それがほしい、のか、
羅のように穴もようが大きくて涼しげなものがほしい、のか。
知っているということは、それで価値が判断できるということです。
羅は高くて買えないけれど、羅のようにザックリしてステキでしょ、であっても
それはいいと思います。着物を楽しむということは、そういうことも含みます。
でも、売る側が紗を「羅ですよ」と売るのは、どうなんでしょう。
きちんと「羅のようにザックリ感を出した紗です」と、言うべきだと、
私はそう思うんです。そこからお客さんは、知識として蓄えていくのだと、
私は呉服屋さんとお客の関係は、そうであってほしいと思うのです。
「格安の羅」ではなく「羅のように見せる手の込んだ紗」といったって、
価値はちっとも下がらないはずです。羅には外国産の安いものがありますから、
「国内産ではありませんが、羅としては本物ですよ」でいいでしょう。
織り目の具合なんかどーだっていいじゃん、といわれればそれまでです。
そんな専門的なことじゃなくて、ざっくりして穴が柄になってれば
羅と同じでしょ、といわれれば、これもまた違うとはいえません。
でも、たとえば、ありえないことですが「羽二重」を「ちりめん」です、と
もし売りつけられたら、なに言ってるのこれ違うじゃない、となりますよね。
紗と羅なんてそんなにうるさいこと言わなくたっていいじゃん、と、
ヒトくくりにしてしまうことは、やっぱりもったいないことだと思うのです。
紗には紗の、羅には羅の、魅力があるわけですから。
もし、粗紗でも、実は羅と同じことをしている、だから名前が違うだけで
実はおなじものなんだ、というようなことがあったら、ごめんなさい、です。
おまけのお話、紗には紬もあります、つまり節のある糸を使って織ったもの、
それは「粋紗(いきしゃ)」と呼ばれて、これを着こなすのは粋な人…でしょうね。
紋紗もあります、染めのもようの紗もあります。
本来基本は紗なのですから、紗の訪問着だっていいはずなのに、
なぜか紗は礼装にはねぇといわれる。なぜか…絽には柄付けがしやすいからです。
日本の着物の格付けが、織りより染めが上、というのがあるから、
染めの乗りにくい、染めてもパッとしない紗より、鮮やかに柄が書ける、
絽のほうが礼装には向いている…とされているだけのことです。
これだって、ずーーーっと元にさかのぼっていけば、
平安貴族の衣装は、紗も絽も「紋紗」「紋絽」で織り柄なんですよ。
こんな風に、着物というものは変化していくものです。
昨日の三原則もありますね、少しずつ、必要に応じて社会状況に合わせて
かわっていくことは必要です。その中で「紗でも羅でも見た目で決めよ」と
それが進んでいく、それはあるかもしれません。
でもそれは「今ですか?」と思うのです。
羅は歴史は最古ですが、実用はまだ数十年の歴史の浅いものです。
新しいものであればこそ、きちんと「元」は伝えていってほしいと思います。
いつも私は「頑固だね理屈っぽい」といわれます。
確かにそうかもしれません。でも、じっくりきものと付き合っていくと、
こんなに長い時間をかけて、たくさんの名も無い人たちが、
この美しいものを、たくさん作り出して残してきてくれたのだ、と思うと、
やっぱり糸から大事にしたい、と思うのです。
どれをどんなときにどう着るか、日本の女なら、糸から楽しんで着なくちゃ、
なんて、デブな体で気合が入るのです。(オナカのムダ肉がぷるぷる揺れる…)
おお、ちっと降り出しました。
もっと降れってーの、もぉクッソ暑…あっあの、とっても暑いんだから…。
涼しげなんですけど、穴あったりしますー。
本日朝から曇り空で、たまにゴロゴロと聞こえています。
くるのかこないのか、これまた中途半端で、パソコンも切ったりつけたり…。
今日は短めに、昨日の続きをちょっとだけ…。
昨日のコメントで「本物の羅」というお話がありました。
私は昨日「本物」が少ない、ということを書きましたが、
「本物」という言い方には二種類あって、
ひとつには「国内で作られたもの」という意味です。
ちょっと乱暴な言い方ですね、まぁ国外産を偽者、というつもりはありませんが、
要するに生粋の日本の羅っていう意味で、です。
国内産ということに関しては、羅に限らず今はなんでも外国産や、
一部外国での生産、というのが圧倒的です。
せっかくいい技術が復元されても、それを国内で全部まかなうことは、
いまや不可能です。そのことの是非や、なんでそーなったのよ、のお話は
今日ここでは論じませんが、とにかく食料自給率が40%の国ですからねぇ…。
そして、もうひとつは「本当に羅の織り方」であるかどうか、です。
昨日コメントでいただいたのは「羅じゃないのに羅と言ってるものがある」です。
確かに、そういうの、あるんです。「粗紗(あらしゃ)」といいますが、
紗の織り方で、とても目が粗く、穴が大きいので羅のように見えるもの、です。
これがどうして「羅」の部類に入ってしまうのか、私にはわかりません。
少なくとも私のお付き合いのある呉服屋さんは「紗」は「紗」で売る、
と言っていますが、確かにネットショップなどでは「羅」に入ります、という
説明のあるものもあるんです。これって、悪気は無いと思うんですよ。
結局「ナニが大事で、どこにポイントを置くか」だと思うんです。
もう一度おさらいしましょう。
ヘタな絵ですみませんが、よそのサイトの写真を勝手に使うことは失礼ですから、
元から絵に起こしました。雑ですねぇ、
とりあえずもっとも基本的な糸の位置ってことで…。
まず紗です。
そして絽、これは三本絽、薄緑が緯で、紗より複雑に絡んでいます。
そしてこれが「羅」です。これは単純な蜂の巣のような網のような穴あき模様。
昨日、紗と絽と羅は兄弟だと書きました。
それは、普通の織物と違って「途中で糸がねじれて絡まる織物だから」、です。
そのねじれ具合や絡み具体によって、違いが出たり、模様をつけたりする、です。
紗と絽は近いですね、緯が経糸に入る本数と入り方が違う…です。
羅は「経糸が違う」のですね。
これだけの違いがあるとわかっているひとにとっては、
あくまで「紗」は「紗」、「絽」は「絽」、「羅」は「羅」、です。
でも普通着物や帯として買う場合は、だいたい、
「透けてれば紗、穴で縞になってれば絽、穴がポコポコ大きけりゃ羅」
くらいだと思うのです。売る側にしてみたら、織り方はいろいろ違うんだけど、
大きく穴が開いてざっくりと羅みたいでしょう「粗紗」という羅の仲間ですよーと
そういったってウソついてるわけじゃないわけですよね。
そうなると買う側が、まず自分が「何がほしいのか」ってことになります。
羅という鎌倉時代になくなったものが、復元されて美しい羅織物が
再びできるようになった、それがほしい、のか、
羅のように穴もようが大きくて涼しげなものがほしい、のか。
知っているということは、それで価値が判断できるということです。
羅は高くて買えないけれど、羅のようにザックリしてステキでしょ、であっても
それはいいと思います。着物を楽しむということは、そういうことも含みます。
でも、売る側が紗を「羅ですよ」と売るのは、どうなんでしょう。
きちんと「羅のようにザックリ感を出した紗です」と、言うべきだと、
私はそう思うんです。そこからお客さんは、知識として蓄えていくのだと、
私は呉服屋さんとお客の関係は、そうであってほしいと思うのです。
「格安の羅」ではなく「羅のように見せる手の込んだ紗」といったって、
価値はちっとも下がらないはずです。羅には外国産の安いものがありますから、
「国内産ではありませんが、羅としては本物ですよ」でいいでしょう。
織り目の具合なんかどーだっていいじゃん、といわれればそれまでです。
そんな専門的なことじゃなくて、ざっくりして穴が柄になってれば
羅と同じでしょ、といわれれば、これもまた違うとはいえません。
でも、たとえば、ありえないことですが「羽二重」を「ちりめん」です、と
もし売りつけられたら、なに言ってるのこれ違うじゃない、となりますよね。
紗と羅なんてそんなにうるさいこと言わなくたっていいじゃん、と、
ヒトくくりにしてしまうことは、やっぱりもったいないことだと思うのです。
紗には紗の、羅には羅の、魅力があるわけですから。
もし、粗紗でも、実は羅と同じことをしている、だから名前が違うだけで
実はおなじものなんだ、というようなことがあったら、ごめんなさい、です。
おまけのお話、紗には紬もあります、つまり節のある糸を使って織ったもの、
それは「粋紗(いきしゃ)」と呼ばれて、これを着こなすのは粋な人…でしょうね。
紋紗もあります、染めのもようの紗もあります。
本来基本は紗なのですから、紗の訪問着だっていいはずなのに、
なぜか紗は礼装にはねぇといわれる。なぜか…絽には柄付けがしやすいからです。
日本の着物の格付けが、織りより染めが上、というのがあるから、
染めの乗りにくい、染めてもパッとしない紗より、鮮やかに柄が書ける、
絽のほうが礼装には向いている…とされているだけのことです。
これだって、ずーーーっと元にさかのぼっていけば、
平安貴族の衣装は、紗も絽も「紋紗」「紋絽」で織り柄なんですよ。
こんな風に、着物というものは変化していくものです。
昨日の三原則もありますね、少しずつ、必要に応じて社会状況に合わせて
かわっていくことは必要です。その中で「紗でも羅でも見た目で決めよ」と
それが進んでいく、それはあるかもしれません。
でもそれは「今ですか?」と思うのです。
羅は歴史は最古ですが、実用はまだ数十年の歴史の浅いものです。
新しいものであればこそ、きちんと「元」は伝えていってほしいと思います。
いつも私は「頑固だね理屈っぽい」といわれます。
確かにそうかもしれません。でも、じっくりきものと付き合っていくと、
こんなに長い時間をかけて、たくさんの名も無い人たちが、
この美しいものを、たくさん作り出して残してきてくれたのだ、と思うと、
やっぱり糸から大事にしたい、と思うのです。
どれをどんなときにどう着るか、日本の女なら、糸から楽しんで着なくちゃ、
なんて、デブな体で気合が入るのです。(オナカのムダ肉がぷるぷる揺れる…)
おお、ちっと降り出しました。
もっと降れってーの、もぉクッソ暑…あっあの、とっても暑いんだから…。
なかなか手は出ませんが、本物の羅の帯が
見てみたいと思います。
暑いですね~、雷どころか雨が降る気配すら
ありません。水道の蛇口をひねるとお水が
お湯のようですわ。
とんぼさんのお話で分かりました(ものを見て見分けが付くまでは行っていないと思いますが~)「羅と粗紗は違う物」というように。
名前と言うのは、本来、製法や物の特質を表すものですものねぇ。
でも、そこをすっ飛ばして一緒くたにしてしまう・・・・こういう意識が着物の事実をゴタゴタしたものにしているように思えます。
売る側がこういうでは、「着物って面倒だし怖い。」という印象が買う側に持たれてしまうのも当たり前ですよね。
私は突っ込んだ知識よりも、物その物の色合い、風合い、肌触り、柄行き、それらが良ければ良いんじゃないか?と思うのですが、自分の着ているものが何なのかが分からないというのは、やっぱり淋しいことだと感じ始めています。
まさにおっしゃる通り。
粗紗を羅と称して売るのは、考えてみればおかしいことなんですね。
軟弱な私は、着物を自分で買い始めた昭和50年代の『美しいキモノ』の夏物一覧みたいな記事に、目の大きな粗紗も羅と呼ばれるとか、夏大島、夏結城、夏塩沢などを総称して紗紬と呼ぶこともあるなどと書いてあったのを鵜呑みにして、ふーん、名前と違うものもあるのか、混乱しそうだけど、そういうものなのねと思ったまま今日に至るでございます。
絽は江戸時代に完成したものだから、装束にはあまり用いられないのかと思っていました。
もう知らないことだらけ。お恥ずかしい。
でも、日本の染織、いろいろあるのは知れば知るほど楽しいです。
財力があれば、全部揃えたいです。
水道からお湯…わかります。
生暖かくて気持ち悪いですよねぇ。
庭の水道なんて、そのまま植木にかけたら
ゆだりそうですわ。
りら様
製作過程のこまかいことまでなんて、
普通は知らなくてもいいと思います。
今は実は「呉服屋さん」が知らない、
ということもあるんです。紅梅もしらなくて。
ちょっとヒキますよ、ほんと。
こいけ様
まとめて言ったり、俗称でくくったりは
あるのだと思います。
呉服屋さんの間や着物を知る人の間では、
それでもちゃんと違いがわかった上でのこと、
そういうこともあると思います。
でもそれでは、あとに続く人には
わからないことが増えますよね。
私も何もかもがわかるわけではないんです。
専門書でも、言ってることが違ったりします。
それだけ長い歴史があるってことですね。