ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

春は花・・花といえば??

2006-04-02 21:14:14 | 着物・古布

まだ妙な寒さが残っていますが、桜は満開!まごうことなく今は「春」!
あちらこちらのお庭に、パンジー、水仙、ムスカリ・・
さまざまな花が日に日に増えてゆきます。いい眺めです。
そして花といえば「蝶」、いや「演歌」の世界じゃなくってですね、
花が咲くと、どこからかやってくるんですよね。
昔は住宅地でも、もっとたくさんいた気がします。
で、今日の写真は「蝶の柄」。これは綸子の着物、
解いて洗って巻き巻きしました。地模様は花です。
とてもさわやかなブルーのグラデーション。色的には初夏っぽいですね。
これは図案化された蝶ですが、こんな風に「蝶」そのものが柄になっているものは
あまり数はありません。「蝶」は「すずめと笹」「ツバメと柳」のように
相性のいい組み合わせとして、花とペアで使われることが多く、
「お相手」はたいがい「牡丹」です。あとは振袖などの豪華なものに
大きな蝶が染められたり、帯に大きく織り出されたりします。
そういう時は「花」がお添えモノみたいで、蝶が大きく扱われることが多いです。
これだけで「絵」になりますからね。

こちらは「鬼しぼちりめん」のはぎれ。この古代ちりめんとも言われる
しぼの大きいちりめんで「蝶柄」というのは、けっこうリアルな図柄が
多いように思います。あのしぼの立体感が蝶の柄を引き立てるのかもしれません。
この蝶も、色彩的には「想像上」の蝶だと思いますが、
たまに「蛾」みたいなのをみかけることもあります。モスラかい?みたいな・・。




着物の柄で、虫系というと「蝶」「とんぼ」「鈴虫」が多いでしょうか。
いちどだけ、帯の柄で「蟷螂」つまり「かまきり」を見たことがあります。
かなりデフォルメされていましたが、やっぱりちょっとヒきました。
さすがに「尺取虫」とか「だんご虫」ってのは見たことがありませんが、
エジプトでは「ふんころがし」が、幸運の象徴として、さまざまなところに
模様として使われていますし、そのうち「カブトムシ」とか
「カミキリムシ」の柄に出会いたいものです。

ところで、「蝶」は平安の昔から「もよう」として使われたそうで、
元々は、平家の公達がその美しさを着物やかぶとの飾りにもようとして使い、
それが「家紋」に転化していったのだそうです。
平家の紋は「揚羽蝶」ですね。大元は「清盛」系だそうですが、
時代が下がると「清和源氏」の流れをくむ家柄でも使われるようになりました。
ひとくちに「蝶」の紋所といっても、あの「揚羽蝶」のスタイルのほかに、
真上から眺めた蝶や、向かい合わせ、ひし形に組み入れたもの、
横から見たのを花びらのようにぐるりと並べた「蝶車」など、
30種類はあったように思います。(記憶がさだかでない・・)
実は、とんぼの母方の祖母の、そのまた実家のご先祖というのが「平家の落人」、
揚羽蝶の紋です。私がその家に行ったのはもう40年くらい前なのですが、
仏間の脇に大きな棚があって、そこには仏壇にはいりきらない「お位牌」が
林立しておりました。奥のほうのものなどは「誰のや、わからへん」状態。
裏には古びた土蔵もあり、たまたま農機具をだすのにあけてあったのですが、
奥のほうに古びた槍のようなものとかが、無造作にたてかけてありました。
今の私なら「着物ありません?!」と、いそいそと一反風呂敷でもひろげて
お尋ねするところではありますが、当時はそんな欲もなく、
ただ気味悪く思っただけでした。母とつながりの濃い身内も、
もうあとひとりしか残っていません。あの山のようなお位牌は、
蔵の中の槍は、どうなっていくのかなぁ・・とふと思います。

さて「蝶」に戻りましょう。
現在日本にいる蝶は、全部で237種、ただしこれは「土着種」という
「昔から定着している蝶」だそうです。蝶というのは飛べるわけで、
台風などの影響で、外から入ってくるものもあるそうです。
これは「迷蝶」というそうです。なるほどね。
外国の蝶ですが、3000キロを旅して「越冬」する蝶もいるそうですね。
蝶ですから、それほど寿命は長くないわけで、ふしぎなことに、
暖かい土地で生まれて卵を産んで、それが孵化して、蝶になって・・と
3代続き、最後の4代目の蝶が冬を越すために、その3000キロの旅をする。
自分自身は、元の土地で生まれているわけですから、越冬地のことなど
知っているわけじゃない・・・それなのに、ちゃんと行き着くのだそうです。
3代前の「先祖の記憶」が、DNAの中に組み込まれているのでしょうか。
とてもフシギな話です。自然ってすごいですよね。
方向オンチのとんぼは、脱帽です。

子供のころ、庭にオーソドックスな「アゲハチョウ」がたびたび来ました。
真夏になると、ホントに数えるほどの回数ですが「クロアゲハ」も。
まっくろでつややかな羽に鮮やかなオレンジ。追いかけるのも忘れて
見とれていましたっけ。モンシロチョウ、モンキチョウ、もうめったに見ません。
トンボは辛うじて、この近くでも夏の終わりに見かけます。
後ろの小さな雑木林がなくなって、去年は「セミ」の声がグンと減りました。
こうやって、どんどん自然が遠のいてゆく・・さみしいものです。
せめてこの「蝶柄」だけでも、だいじにすることにしましょう。

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 実は旅行中でーす | トップ | がんばるもん! »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
確か、欧州では、蝶と蛾の区別なく (ぶり)
2006-04-02 21:25:47
全部、蝶々だったように記憶しています。



雑木林が切り倒されると、蝶の飛ぶ道、変わってしまいます。 昔、すんでいた所で、毎年、アゲハチョウが飛ぶ空中の道筋があったのですが、途中の雑木林がなくなったとたん、来なくなってしまいました
返信する
そうなんですか! (とんぼ)
2006-04-02 21:33:33
ぶりねぇ様

羽を立てて止まるのが蝶、広げて止まるのが「蛾」、

なんて習いましたよね。でも例外もある・・なんて

習った記憶が・・・。

蛾というと夏場、電灯をめざして部屋の中に入り込み

大騒ぎでたたいたり、追い出したりしましたっけ。

昔は「カナブン」がとんできたり、

セミが飛び込んできたり、もっと身近でしたね。

いまやかわらず見かけるのは「ゴキブリ」だけ?
返信する
今では懐かしい~ (蜆子)
2006-04-02 22:01:42
蝶の柄、昔は好む人が少なかったです。

なんでって。蝶はとんでもなく増える、娘が嫁入り後、子供をたくさん生めば本人も実家も大変、蝶の柄はちょっとという人が多く、蝶が目立つ柄は、仕入れはしないということになってました。

子沢山で苦労した世代の話なんでしょうね、自分のように子沢山で苦労させたくないという親の思いひしひし、



今では蝶の柄でも持たせたいという親のほうが多い?それともそんな迷信誰も信じてないって。



着物柄で好まれる、あるいは嫌われる柄、色々です。例えば鼓の柄、人から叩かれるなんて、娘の四つ身の時の尺五の帯、姑が初めにというわけでさしで叩いていました。おかげで叩かれるようなものにならなかった?
返信する
おもしろいものですね (とんぼ)
2006-04-02 22:14:15
蜆子様

なるほど、そういうものでしたか。私は蝶の柄があまり多くないのは、ひらひらと落ち着きなく飛ぶところが、不安定を感じさせるからなのかな、と思っていました。極楽とんぼも似たよーなもんですね!

柄にこめる人の思い・・これも着物の魅力のひとつでしょうか。
返信する
蝶よ花よ (うまこ)
2006-04-02 23:45:40
名古屋の街中の我が家ですが

今は桜も咲き始め、とてもステキになってきました。

でも、何がいいかって、今は虫がいない!

でも5月後半になると蚊が!

そのほか、蝶も蛾もテントウムシもカナブンも

クマバチ、スズメバチ、アシナガバチ、はぁ、もう虫だらけの我が庭になります。

でも、たしかにモンシロチョウ、モンキチョウは滅多に来なくて(でも、一応来ます)アゲハチョウ、アオスジアゲハ、クロアゲハが多いですね。

アオスジ君は街路樹のクスノキに来るらしいです。

クモもジョロウグモみたいのとか、各種います。

毛虫、芋虫、いろんな害虫も各種とりそろえています。

秋の虫は姿はみえずとも虫の音で・・・

本当に私は幸せ者です。



でも、蝶々って、困るほど子だくさんと

いうこともあったのですか。なるほど。

気持ち悪いから、見るのもいや

って人がいるからかと思っていました。
返信する
Unknown (陽花)
2006-04-03 00:22:34
とんぼ様

主人の先祖様も平家の落人で後醍醐天皇に家を貸した

堀家の親戚から嫁に貰っているという話ですが、

何年も前にルーツを調べたのですが、それ以上の

原戸籍は法務局で鍵が掛けられていて誰も見られない

とのことで諦めました。ちなみに家紋は二つ巴です。
返信する
Unknown (Unknown)
2006-04-03 00:59:11
陽花様

「巴」紋は、その由来に諸説ありますね。

神職が使うことが多く、神のご加護を願う武家が

それをもらったとか、水の流れをあらわすとか・・。

いずれにしても、「蝶」と同じで、

バリエーションが多い紋ですね。

友人に「左三つ巴」というのがいるのですが、

「左」はなかなかないそうです。いきなり言われても

えっ?左・・えっとどれが?どっちが?と

うろたえました。

それにしてもご主人様、由緒あるお家柄なのですね。

すごいっ!
返信する
虫、弱いのぉ~! (とんぼ)
2006-04-03 02:51:16
うまこ様

蝶やとんぼはいいけれど、蜂はこわいですー。

ほんと、夏が近くなるにつれて、

我が家のネコの額ほどの庭にも雑草が生え始め、

同時にあちゃこちゃで虫さんのお姿を・・。

完全装備で草取りしても、ギョッとしますね。

でも、それだけ自然だってことですね。

返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事