今、この「柳 宗悦」氏の「手仕事の日本」という本を読んでいます。
柳 宗悦氏は、明治22年生まれ、あの「白樺」を創刊したかたです。つまりもうすでに故人…。
上記の「手仕事の日本」という本も、初版は昭和23年、私が生まれる前です。
最初、執筆が戦中であったため検閲が厳しく、なかなか許可が出なかった上、戦災や戦後のドタバタやらで、
出版そのものが止まってしまい、間を置いてやっと別の出版社からの発刊となったもの。
読書はいつものとおりなかなか進まないのですが、今、私がアレコレ考えていることの
答えのひとつがあるような気がして…。
いずれそのことはまた書きたいと思います。
この本はいわば「写真集」みたいなもので、日本全国の手仕事の作品がたくさん載っています。
この「柳氏」が日本中歩いて探したのは、有名な作家のものや宝として伝わるものではありません。
その地方の人が営々と築いてきた暮らしの中で、当たり前に使われている道具の数々です。
もちろん、今、それが有名な名産品になっているものもたくさんありますが、
柳氏はそれらが有名になる前に、気づき、掘り起こし、日本の手仕事ってすばらしい…と紹介したのです。
タイトルにもありますように「あなたのふるさとには、こんな手仕事がある」…と日本全国の手仕事が載っています。
私の住む神奈川では「鎌倉彫」と「箱根細工」が紹介されていました。
なにしろ日本全国ですから、地方ごとに地図も入っており、知っているものもたくさんありました。
福島の「本郷焼き」という焼き物があります。
父の身内に、この焼き物を扱っている人がいました。春の震災では、被害は受けたものの、
原発からも離れており、とりあえずは無事だということでほっとしています。
ずっと前、父に、本郷焼きの「鰊鉢」、手に入らない?ときいたことがあったのですが、
残念ながら、身内はそのときすでに仕事をやめておりました。その「鰊鉢」も載っていました。
鰊鉢は、福島の人が鰊のさんしょ漬けを作るために使うもので、魚を並べて漬けやすいように、
昔の防火用水の容器のように、長方形をしていて深さのある鉢です。
今でももちろん作られていて、宗像窯が有名なのですが…高いですー。
そのほかにも、鹿沼に行ったとき母が「コレはいい」と買ってきた「鹿沼箒」、何しろ私20代でしたから、
さんざ使ってさすがに先がボロって、さすがの実家にももうないと思います。
そのほかにも、まげわっぱのお弁当箱、丹波焼きの小鉢、八尾和紙のブックカバー、
壺や焼きの抱き瓶、箱根細工の小箱…旅先で買ってきて今も使っているものがたくさんありました。
いわゆる「民藝」と呼ばれる手仕事のわざもの。
民芸」よりは「民藝」という難しく古めかしい字が合うような気がします。
それぞれの場所では、確かに「有名作家」になった人や、有名メーカーとなっているところなど、
たくさんありますが、名もなきひとの小さな作品も、連綿と続いているわけです。
この本には「着物」のことはほとんど出ていません。和ものとして「こぎん」や「道明寺の組みひも」
「琉球紅型」「葛布」「印伝」などが載っています。
いずれにしても、これらはまだ残っていますが、着物そのものの「織り・染」は、
着物が「日常」というラインから「非日常」の側に、大きく入り込んでしまってから、
のこりづらいものになり、いまやもうできなくなったものも出始めているわけです。
本当に残念なことだと思います。
どこの国でも、その国独特の「民芸品」はあるものです。
その中でも、日本という国は、たくさんのすばらしい「手仕事」による「民藝」というものが、
まだまだあるのだと、改めて気づかされました。
今夜のおかずは、できるだけ土くさいかんじの益子焼のお皿と、前に父からもらった本郷焼きの小鉢に
こんもり持ってみました。味はまぁねぇ…いつもどおりですけど。
私の故郷は福島なので家にありました。
特に使っていたわけではなく飾ってあったように思います。
そう、確か宗像窯と聞いていました。
思い返すと一寸昔にはイロイロなものがありました。箱根の細工物も懐かしい~~
鹿沼の箒もあったなあ~~
今はずいぶんと消えてしまっていますね。。
意識していないとドンドンと無くなってしまうのでしょうねえ
おぉ福島でしたか。
あの鰊鉢は花器にもいいと、生け花をしている友人が言ってました。
私は浅漬けに使いたいと思っているんですが…。
親が「○○はどこそこのものがいい」とか「××の何々を使いたいものだ」とか
そんな言い方で、名産を自然と教えてくれました。
たまに物産展などやってくれると、小さなハケだの、竹細工だのと、
買うのが好きです。
なくならないでほしいですね。
まぁそうですか。
お知らせありがとうございます。
私はなかなか出られない状況ですので、
行かれる方、ぜひいろいろご覧になっていただきたいものと思います。
結構お手軽なお値段で。
15×11×(高さ)7cmって、ちょっと小さくない?
秋刀魚じゃなくて鰊だからこれくらいでいいのか?
鰊というと、日本海側で取れるイメージでしたが、福島でも取れるんですね。
これより後、民芸関係ではグラフィック社から「民芸の教科書」というシリーズが出ております。
「②染めと織り」は2012年8月発行です。
鰊鉢、今でもいいのがあったら…と思いつつ、
そのままになっています。
深鉢は丸や楕円が多いですから、ひとつはあるといいなと
思っているのですけれど…。
花器としてもいいな、なんて余計なことを考えています。
本のご紹介、ありがとうございました。