ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

背守り

2011-05-25 21:54:27 | 着物・古布

 

古本を探していて「あれっ」と手が止まったのがこれでした。

ちょっと大きくてスキャンが中途半端ですみません。

「背守りの見本」なのですが、これは絵ではなく実際にひとつずつ縫い取ってあります。

ちょっと厚みのある紙に、さまざまな背守りのデザインを並べています。

裏は半紙を貼って、糸のほつれや解けを防いでいるようです。

 

それにしてもたくさんありますわ…。

背守りについては何回か記事にしていまして、たとえば「背守り」とか「背守りのテキスト」とか…。

背守りのくわしいことについて書いてあります。

 

背守りは子供の着物に縫いつけられるもので、背縫いのない一つ身の着物につけられるもの。

家紋やめでたい柄をつけるのが定番。たまに「かわいらしさ」や「珍しさ」を狙ったものも…。

地が古くて汚れもあるので、調整して白くしました。

 

  

  

 

また小さい子供は、大人のようにおはしょりをせずに、着物の腰と肩に「揚げ」をして着ます。

このとき、衿の下のあたりにひもをつけて(掛け着と同じ)、このひもを結んで着させ、帯はしなくてもよし。

このひもの縫い付けのところにも、飾り縫いをします。この見本には、そのデザインもあります。

掛け着などには、おめでたいのしや松葉、末広などが使われることが多く、

普段の着物は、縫い目とかデザインのキレイな幾何柄が多いように思います。

 

   

   

 

この見本、ためつすがめた調べましたら、まず下書きの線はありません。

裏も半紙がはがれかかっている部分をみましたが、裏からの下書きもありません。

トレーシングペーパーをあてて図案どおり刺して、紙を後で取った…のかもしれないと思いましたが、

いずれにしても、見事な「手」です。

 

大人が着物を着なくなった今、子供に着物を着せるのは、せいぜい七五三とか夏祭りのゆかたくらいのもの。

だから「伝統の伝承」とか「しきたりごとの伝承」とか、またそれをする本来の意味とか、

そういうものが薄れていってしまう…。七五三は、着飾ってお参りするものではなく、

子供のそれまでの成長を神に感謝し、これからの守護を願う…「晴れ着」はそのための「礼装」です。

子供が汚すからとか動きやすいからとか、それが優先ではなく、きちんと礼を尽くすために、

ちょっとしんどくても、きちんと「日本の礼装に則った子供の着物」をきせてあげてほしいものだと思っています。

 

さて、細かくちょっとだけ…

こちらは動物、こうもりさんにとんぼじゃありませんか!

 

   

   

 

松葉は大人っぽくてあっさりしていますが、よく使われています。

   

   

 

 

さて、この見本、ただ縫い取ってあるだけでなく、針をどこへ刺してどこへ抜いて、どういう順序で刺したら

糸の節約になるか…それまで考えてているようで…。

表を見ながら「ここへ刺してこっちへ抜いて…」とやって裏を見ると全然違う…。

表と裏です。

 

   

   

 

私みたいに大雑把なものは、表と裏とおんなじ柄ができそうなほど、いったりきたりしそうです。

昔の人って…スゴイ…。

誰かが個人の「覚え」として作ったものか、資料とか教科書代わりに作ったものかわかりませんが、

絵ではなく、本当に糸で縫ってあるものは珍しいと思います。

またまたこれも大事なお宝として、とんぼんちの「お蔵」と書かれたダンボールに入れておきましょう。 


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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当にお宝 (陽花)
2011-05-25 23:41:33
これが全部刺してあるってスゴイですね。
バランスが難しいですよね。
一番簡単そうなのをお友達に教えてもらった
けれど、それすら出来ませんでした。
これ、本当にいいですねぇ。
返信する
豚もいる! (りら)
2011-05-26 07:06:51
トンボやコウモリは分かりますけど、豚を背守にした人っていたんでしょうか?

色んな動物が着物の柄になってますけど、さすがに豚は見たことありません。
ウフフ、いいかも・・・・・

昔の人はこういうことがチャチャっとできたんですよねぇ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2011-05-26 18:05:02
陽花様

いやーやってみようとすると
「効率よく刺す」のはなかなか難しいです。
昔の人ってすごいですね。
これは大事に保管します。
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Unknown (とんぼ)
2011-05-26 18:07:49
りら様

貼りを持ちなれていると、感覚も研ぎ澄まされるのでしょうね。
ところで…赤いのは「鼻の穴」じゃなくて眼ではないかと…つまりうさぎ。
耳のつけ方がちとヘンですけどね。
どっちだろ…です。
返信する
はっ・・・ (りら)
2011-05-27 05:11:07
そう言われてみれば・・・・座ってるウサギですね・・・
早とちりで興奮して、失礼いたしました。
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Unknown (とんぼ)
2011-05-27 20:00:50
りら様

これはデザインが…ですよ。ちょっと紛らわしい…。
私最初、ひし形のなにかが三つ、山に突き刺さっているのかと思いましたもん。
返信する
ありがとう (おたふく)
2012-07-16 11:13:41
こんにちは はじめてのお便りです。
昔、母のへら台?の裏模様がすべて背守の模様でした。随分古くて捨ててしまいましたが、今は惜しくて惜しくて・・・今回偶然にこのブログを発見しうれしくなりました。早速リフォームのシャツに刺繍しようと思っています。ありがとうございました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-16 14:37:39
おたふく様

こんにちは、コメントありがとうございます。

そうそう、へら台の裏とかアイロン台の裏とか
こういう「見本」がありましたよね。
あら、私も母のもの、どしちゃったかしら。

お役に立てて、とてもうれしいです。
すてきなシャツの完成をお祈りしています。
返信する
Unknown ()
2012-07-17 17:27:48
お蔵に入れるのは
お蔵入りでは無いのですね

背守り・・・
孫の産着を作った時に 簡単な物を刺しましたが
裏まで気を使っていませんでした
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-17 20:00:55
惠様

使いようもないものばかり…でもお宝です。
お蔵入りみたいなものですわぁ。

母は刺繍をよくするヒトでしたので、私はいつも
「おまえは糸の無駄が多い」と言われていました。
それもあって?刺繍は苦手です。
一筆書きみたいには、できませんて…。
返信する
Unknown (Unknown)
2017-08-22 23:47:23
 はじめまして。
 銀座にて森岡書店という屋号で書店を運営しております森岡督行と申します。書店の仕事の他に、展覧会のキュレーションも行っております。この度コメントさせていただいたのは、山形ビエンナーレにおける「畏敬と工芸」展におきまして、ご所蔵の「背守りの見本」を展示させていただけないかというお願いでございます。はじめてご連絡するのに大変な不躾で申しわけございません。
 実は、山形ビエンナーレは、東日本大震災後、どのようなアートイベントが東北において可能かというバックボーンがあり、「畏敬と工芸」はその観点から企画しております。工芸にあらわれた自然や人間の営みへの畏敬のかたちを探る、というのが主たる内容です。ご所蔵の「背守りの見本」は、データで拝見しただけでも素晴らしく、実際に展示できたら、どけだけ多くの人々が共鳴してくれか、会場の光景が浮かんで参りました。
 以下のに「畏敬と工芸」の簡単なご案内を添付しますので、ご検討いただければ幸いです。ご興味を持っていただけそうでしたら、近々に、借用の条件等をご相談させてくださいませ。
 何卒よろしくお願いいたします。

http://ichiproject.tuad.ac.jp/column/298
https://www.facebook.com/YamagataBiennale/?fref=ts
 
返信する
「背守りの見本」について (森岡督行)
2017-08-22 23:51:20
以下は自分の連絡先になります。ご検討いただければ幸甚です。何卒よろしくお願い申し上げます。

104ー0061
東京都中央区銀座1ー28ー15
鈴木ビル1階
03-3535-5020
info@moriokashoten.com

返信する
Unknown (とんぼ)
2017-08-23 13:41:29
森岡督行様

はじめまして。コメントありがとうございます。
別メールにて、ご連絡させていただきます。
よろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (森岡督行)
2017-08-25 17:39:10
ありがとうございます。引き続き何卒よろしくお願いいたします。
返信する
Unknown (とんぼ)
2017-08-25 20:19:19
森岡督行様

こちらこそ、よろしくお願いいたします。
上記のメルアド宛でメールを送りさせていただきました。
御拝読のほど、お願いいたします。
返信する
メールの件について。 (森岡督行)
2017-08-31 17:52:15
大変申し訳ございません。お送りいただいたメールを確認できていない状況でございます。お手数おかけしますが、もう一度送信していただけませんでしょうか。お取り計らいの程何卒よろしくお願いいたします。森岡 拝
返信する
Unknown (とんぼ)
2017-08-31 19:20:29
森岡督行様

ただいま再送信させていただきました。
もし届かないようでしたら、上記のお電話番号に
ご連絡させていただきますので、ご一報くださいませ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2017-09-01 09:24:17
森岡督行様

おはようございます。
了解です。
のちほどお電話させていただきますね。
なお、携帯番号控えましたので、
コメント「保留」で隠します。ご心配なく。
返信する
珍しい‼️ (明日子)
2017-12-19 04:26:07
何でもお詳しいですね。とても面白いです。ありがとうございます。
昔の人は本当にすごいと思います😊
返信する
Unknown (とんぼ)
2017-12-19 17:47:51
明日子様

ありがとうございます。
母から教わったことが、あれこれ土台になっています。
ありがたいと思っています。
返信する

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