
まずはお詫びですが、かつて「角出し」など、動画をアップしていましたが、
gooの変更でアップされなくなっておりました。すっかり忘れほうけておりまして、申し訳ありません。
「引き抜きの角出し」などで検索してこられた方、申し訳ありません。
動画がアップされていませんので、静止画でやり直しました。
トップは「マジョリカお召し」に「昔帯」です。
ちょっと引いた写真、前と後ろです。
まず「引き抜き結び」というのは、江戸時代、多くの人が「帯締め」を使わずに結んでいた結び方です。
現代では帯締めを使う結び方が増えて…というより「引き抜き用」の帯が少ないですから。
帯締めを使えば、名古屋帯でも「角出し」は結べますが、以前「銀座結び」とどう違う…という記事を書きました。
こちらにあります。
今日は、とりあえず「昔ながらの引き抜きによる角出し」をしてみます。
今日は写真ばっかしで、おまけに長いですので…。
また講釈が長くなりますが、引き抜きで結ぶことを前提とした帯は、柄つけに特徴があって、
一部、柄がさかさまになっています。トップがそういう帯を使ったものです。
まずこの帯はこんな柄。
左の矢印の部分、上と下で「葉っぱ」向きが逆ですね。白い稲穂みたいなのも上下向きが逆です。
右はもう少し上まで写したもの、三つ柄がありますが、真ん中だけさかさまです。
これで普通におたいこにすると…上の写真になりますが柄がさかさまですね。下は向きがあってます。
これは、これからやってみるとわかるのですが、
柄がさかさまについていないと、結びおわったときに、お太鼓部分の柄がさかさまになるからです。
では、実践編ですが、上の帯は長さがギリギリで写真が撮りにくいので、少し長い袋帯(現代モノ)を使います。
着物は現代の小紋、私物です。帯は六通の袋帯。中古ですが、柔らかくて締めやすく、柄の上下もありません。
まず、手になる部分を肩にかけてこのくらいの長さで残し(個人差アリですので…)
胴に二巻きします。ここまでは普通の帯結びと同じです。
はい、回ってきました。
ここから後ろで結びますが、このとき先に手をさげて胴から回ってきたほうが上になるように重ねてから結びます。
助手がいませんので「洗濯ばさみ君」に手伝ってもらっています。
右の長いほうを下からくぐらせて結びますが、このときお太鼓になる方、
つまり「たれ」を全部引き抜かずにおきます。まずアタマを出して、広げてください。
上の状態から、たれになるほうを上にどんどん引っ張っていきます。
緩みますから、結びを締めなおしてください。たれの先がちょうどいい位置に来るところまで。
普通のおたいこよりやや上…位なのですが、それぞれ体型も好みもありますからご自分で決めてください。
帯はちゃんと広げること。これであまり分がうんと上に残りました。
たれの位置が決まったら、しっかり結びなおします。緩みが気になったら仮ヒモをかけるといいです。
上の、余って輪になっているところが、あとでおたいこになる部分です。
まず、左下の「手」を右上にしっかり持ってきます。これが角出しの「右の羽」になります。
次に結び目のすぐ上の部分をきちんと二つ折りにします。
半分に折った上の部分を、さっき右上にあげた「手」のうえからかぶせるようにしておろし、
矢印のように下をくぐらせ、左に出します。つまり、右上に上げた「手」と、ひと結びするわけです。
貝ノ口みたいになりましたね。
これをギューッとひっぱって、しっかり結びます。
左が角出しの「左の羽」になります。ここで帯のシワを伸ばして、きれいに出るように形も整えます。
上の部分をだらりと落とすとこんな形です。これでは長すぎますので、
お太鼓の大きさがちょうどよくなるところを決めて、そこをおたいこの山、とします。
矢印のアタリを山にしましょう。右が余り分で、ここは中に入ります。
山に決めたところにに帯枕を入れます。(わかりやすいように、帯揚げをかけていません)
これは「角出し用」の平らな帯枕です。
角出しの場合は、通常のお太鼓のように山を盛り上げませんので、できるだけ平らで薄い帯枕にするか、
帯枕ナシで、腰紐にタオルを巻くなどしたものなど、手作りのものでもかまいません。
前でしっかりヒモを結びます。本来は帯揚げがかかっていますから、これも形を整えて…。
でき上がりはこんな感じになります。
なんか大きくて、ぶかっこう…に見えますが、明治ごろなどはお太鼓もとても大きいです。
もちろん、お好みで、手を短くしたりお太鼓を小さめにしてもいいわけです。
トップの方の昔帯は、縫い直してあって幅もせまめ、長さもぎりぎりでしたので、
全体にこぢんまり…になっています。
現代ののおたいこは、ぴっちりかっちり四角で、手などもまっすぐきちんきちん…ですが、
元々角出しは、芯なしのようなやわらかい帯で、ちゃっちゃと結ぶものでしたから、
下の底部分は三角に落ちますし、手も中で結びますから左右で高さも変わったりします。
それがいい…という結び方なんですね。
前側はこんなです。角出しということで、ちょっと粋に、左右でクロスした感じにしました。
この締め方は、柔らかい帯でないとやりにくいのと、柄に向きのある袋帯だと、
おたいこで柄が逆になりますから、それだけ気をつけてください。
元々昔は帯幅も別にこうでなければならない…ではありませんでしたから、
自分の身にあわせたり、柄の出具合などで前幅など変えていました。
お太鼓もとても大きいです。ほんとに「しょってる」感じ。
以前ご紹介した「ひっかけ結び」も引き抜きの結び方です。
「ひっかけ」では、昼夜帯を使いましたので、前帯の上下を折り返して、普通の幅程度にしています。
昔風に結びたいときは、前幅が少し広めでもいいのです。
但し、全体のバランスということがあります。トップの帯の前側も、下の帯の前側も、
見慣れないせいもあって、帯締めがない分貧弱に見えたり、バランスよくみえないかもしれませんが、
昔は前ももっと広かったんですね。今は着物の着方も形も、江戸時代とは違いますから、
帯だけまるまる昔…ではちとおかしいかな…ということも踏まえて、実践してみてください。
グレーのお着物にワインカラーの帯
よく合いますね。
締めやすそうな柔らかい帯のようで
素敵です。
着物は一年生なので分からない事ばかりで
毎回“目からうろこ”の状態です。(笑)
ところで今回の角だし、粋で素敵ですが
これ、ひとりで結べる物ですか?
私も久しぶり…忘れてなくてよかったです。
この帯、実は傷も折りあとも多くて、
写真ほどきれいじゃないんですー。
よそゆきにはちょっと…なんですよ。
こんな色柄なので目立たないんですけどね。
なにしろ柔らかいので、創作なんかには
むいていますね。
コメントありがとうございます。
古いことしか知りませんので、お役に立てることが
ひとつでもあったら嬉しいです。
帯結びは「慣れ」ですから、一人で結べます。
ただ柔らかい帯でないと締めにくいし、
帯自体もシワがたくさんできますから、
いい帯ではお勧めしません。
私は結婚したばかりのころ、ウールや普段紬に
へにょへにょの普段帯で
これを結んで買い物いってました。
最初の手の長さとか、たれの位置とかを
覚えてしまえば締められます。
ただし今は…体固くなってまして、手が後ろにまわらない…。
おかげでおたいこでもなんでも、前で結んでクルリとまわしてるんですー。
それを是非教えて下さい
まわすコツ…ですか。
難しいというか簡単というか…ですわー。
前結び全般であります
そっちですね。ちと難しいなぁ…です。
考えますね。
着物初心者のものです。
先日アンティーク昼夜帯を購入いたしまして、その結び方が分からず試行錯誤。
検索してこちらに行き当たりました。
手元にある昼夜帯の二つともが芯が入っていないのか?
と、思う程にやわらかいのにはこんな理由があったのですね。
あいにく片方の帯は生地の劣化もあったので切り刻んでしまいましたが、もう片方の帯で引き抜き結びを実践してみたいと思います。
本にも載っていないし途方に暮れていたのですが、大変助かりました。
頑張ってみます!!
はじめまして、コメントありがとうございます。
お役に立つことがあって、私もうれしいです。
昔の帯はほんとにふにゃふにゃですね。
締めやすさも実践するとお分かりいただけると思います。
がんばって締めてみてください。