ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ほれ込んだ景色柄の羽裏

2013-04-11 13:47:42 | 着物・古布

 

外国の町かもしれないのに、勝手に「横浜」っぽいなんて思っています。

上の方に一機、飛行機が飛んでいます。この飛行機が、位置的にもとても重要なポイントだと思います。

飛んでいる飛行機をじーっくり見ますと(見たってたいしてわかりゃしないんですが)、

とりあえず複葉機、つまり、羽が二枚ついてるヤツですね。

この雲の感じ、いいですねぇ。

 

           

 

アップしてみると、これは翼の前後に、機体が突き出ています。

 

       

  

現代の複葉機は、二枚の翼のそばに操縦席、前はプロペラ、羽の後ろに胴体が伸びて尾翼など…です。

こういう前後に大きなものがついている形は、古いタイプ、えーとライト兄弟が初めて複葉機で飛んだあと、

アンリなんとか言う人が、こういう飛行機を作って、日本では所沢で初めて飛んだんだったと思います。

いえ、確かではないのですが、そんな写真を見たことがある…なんでそんなこと知っとるねん。

とんぼ、実は飛ぶモノ、走るモノ、キライじゃないんです。

詳しいことはわかんないけど、ブルー・インパルスとか、モーターパラグライダーとか、F1とかダイスキ…。

乗るのはキライなくせにねぇぇ。で、上のフライトは明治の終わりごろだったと記憶します。

地上を見れば船からは煙があがり、町の中には電信柱のようなものも見えています。

家がねぇ…どうも洋館っぽいものばかりで…神戸かな?横須賀?いや外国?

 

   

 

なぁんてことを考えながら、いつものようにじーっくりと見てみると…

右端にこんなものが…どう見ても「クレーン」です。今度はクレーンの歴史かい…。

調べました、驚きました、日本で最初にクレーンが使われたのは、明治の初めなんですと。

 

      

  

そして、クレーンの下を移動しているのは馬車らしきもの。左の馬車は白いのとその向こうの二頭立て。 

馬車が日本で使われるようになったのも、明治に入ってからです。

日本では「動物を使った乗り物」の歴史があまりありません。平安貴族の「牛車(御所車)」くらい。

江戸時代、馬に乗って走らせることができたのは武士だけでした。

走らせなければ、箱根山なんぞで馬子唄など聞きながら、ぽっくりぽっくり乗れましたけれど、

特に江戸御府内などは、荷馬車もダメなところが多かったのです。だから人が押したり引いたりしたのですね。

元々馬が武士の戦道具の一つであったことも、おおいに関係していると思います。

つまり「身分制度」によるもの。馬の産地は武士が乗るための馬を育成していました。

また馬はポニー系で小さかったのと、庶民には馬より牛の方が扱いやすかったんですね。

日本では、動物を動力労力として使うときは、馬より牛…。

馬は敏感ですし暴れることもありますが、牛はのんびりで、穏やかでしたから。

また、地形的にも平らで広いところは少なく、荷車を引かせて運搬するよりは、

牛馬の背に振り分け荷物で、ぽくぽく引いて運んだほうが効率よかったわけです。

つまり西部劇に出てくるような、人も台車に乗って御する「馬車」はなかったのです。

「御所車」でさえ、牛が引いても、その牛をさらに人が引きましたから。

 

明治に入って、外国人がいわゆる「乗合馬車」を持ち込んで、これが広まっていったわけですが、

同時に、日本のような道が狭く曲がりくねっているところで発達したのは「人力車」…。

やがて蒸気機関車、そして電車が走り出すと、鉄道馬車、人力車は衰退していったわけですね。

それを考えてこの絵を見ると、もしコレが日本の街を描いたものだとしたら、

全部が一緒…というところには、少しムリもあるのかな…とも思います。

それでも、文明開化といわれた明治のさまざまな変化を、一枚の絵に載せているという

楽しい柄ではあると思っています。えぇこれは横浜ってことにしてしまいたいのですわん。

 

町の様子を極力下に沈め、画面?の三分の二を空にして、

雲と夕焼けの始まりのような色で変化をつけ、飛行機を一機…このセンスに脱帽です。

例によって「元絵」があるのかどうか、私にはわかりませんが、この絵、好きです。

 

さて、この羽裏の状態ですが、これは表地ともども、状態は良好です。

実はこれ、外国に向けて販売されているショップ「ICHIROYA」さんのもの。

正直、価格はヤフオクの男物羽織りなんぞより、お高いです。

 

最近、私がいつも覗くヤフオクの和服カテゴリー「その他」がつまらなくなりました。

いいものが出るのは業者さんになり、しかも「纏め売り」が多くなっています。

写真は細かく提供してくれるものの「この1枚がほしい」と思っても、

まとめて他のものも買わなければならないし、第一、そういうものには業者さんが入札してきます。

ゼロが5つもつくような金額になってしまうので、結局はヤフオクで「業者の競売」やってるようなものです。

買い取った業者さんのバラ売りを待つような?

個別の出品の方も、かつてのように「こりゃ絶対ほしい」と思うような、きれいなちりめんの着物などは、

数がうんと減りました。なので、最近は「ショップ」を覗くことが多くなったわけです。

しかし、そのショップが、国内向けより海外向けに、いいものをたくさん出しているのです。

ICHIROYAさんは、全面英語表示ですが、日本でも買えるように「日本語表示」も選べます。

外国では、実際それを着用するとか、装飾品として買うとかが多いらしく、どれも状態のいいものが多く、

またすばらしい柄や、珍しい柄のものも数多く出ています。

もう一つのショップも同じような掲載です。

つまり…いまや高いお金を出して、アンティークものを買うのは外国人…?

いえ、私は外国の方が、日本のものの芸術的価値を認めて、大切に扱ってくださるのは、

それはそれで、いいと思っています。

先般の「小袖の里帰り」もそうですが、日本の着物の美しさに惹かれて外国の人がコレクションする…。

そういうことは「それがちゃんと理解されて、大事に扱われる」ならば、そうですねぇ、

まぁ娘が駆け落ちしたとでもいいますか、オマエがそれでシアワセならいいよ…???

そんな感じで、惜しいけれど認めてくれてありがとう…といったところでしょうか。

日本だって、外国からはいってきたものを、認めて大事にしているものはたくさんありますから。

でも、そのよさを日本人が忘れて、外国の人に認められても「あらそぅ」みたいなのは、寂しいです。

羽裏のおもしろい柄も、じゅばんの粋な柄も、今はもう作られていません。

どれを見ても「富士山」「竜虎」「似たり寄ったりの山水画」、なんとかなりませんかねぇ。

 

明日はもう一枚、ご紹介するつもりでいますが、遠い国にはいかないでおくれ…と、引きとめた以上、

大切に、そして使えるものならまた使いたい…と思っているしだいです。

いつからアタシは羽裏の親になったんじゃ…。 


コメント (12)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 薄すぎた大島 | トップ | ツェッペリン羽裏再び… »
最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とんぼ)
2013-04-13 10:15:39
惠様

これだとやっぱり「スカジャン」の背中…

返信する
Unknown ()
2013-04-12 20:47:04
表裏 逆にして
飛行機紋として 洒落ますか

この飛行機の形
確かに 本で見たような
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-04-12 15:49:41
さくら様

やっぱり「ヨコハマ」!ですよねぇ。
そういうことにしてしまってます。
最近の羽裏はおとなしすぎて、味がないですねぇ。
もっと自由に…と思うんですけどね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-04-12 15:47:57
古布遊び様

おかげさまで、いろんなのがあります。
古着は使い道によって、選べるのが一番ですが、
最近のヤフオクはそれもしづらくなってますね。

こぎれ庵タイトルの「飛行船」も、羽裏です。
今日記事にしましたので、ご覧ください。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-04-12 15:45:55
うまこ様

ほんとにそうなんです。紋みたいですよね。
見えないところも凝りたい…私ですー。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-04-12 15:45:03
陽花様

昔の人は、裏にも手を抜かないっていう気がします。
見えないところだけれど、楽しんでつけたいと思うのですが
なかなかこういうのはありません。寂しいですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-04-12 15:43:50
まあや様

こちらこそ、そんな風に言っていただいて、うれしいです。
ありがとうございます。
返信する
Unknown (さくら)
2013-04-12 12:04:35
文明開化を羽裏にとは、何ともすてきですね。

横浜に縁のある私としては、とんぼさん同様
横浜ということにしてしまいたくなります。

今の羽裏は、ぼかしとか小さい柄とかばかり。
もう少しおしゃれなものがあってほしいです。
返信する
Unknown (古布遊び)
2013-04-12 08:24:54
素晴らしい!もうその一言ですね。
サイコーです。
うーん、これは一日飽きずに眺められますね。
とんぼさんは本当にすごいものをお持ちですね。

とんぼさんのおっしゃると通りヤフーでは面白いものを見つけることができなくなったと感じています。

ICHIRIさんはかなり以前に時々購入していました。
飾る目的だと確かに少々高めですが面白いものがありますよね~
ただリメイクには向かないかな。。。そんなで最近はあまり覗かなくなったのですが海外向けのサイトには海の向こう側の方に受けるようなものがあるので結構面白いものがありますね。

それでもこれからどんどんいいなあと思うものは減ってくるのでしょうね。
こちらで素敵なものを見せて頂くのが何よりの楽しみです。

ところで「こぎれ庵」の背景の飛行船も羽裏でしょうか?
初めてこちらを知ったときあの絵にすごく惹かれてたどり着きました。
返信する
飛行機紋 (うまこ)
2013-04-11 23:53:27
飛行機がちょうど紋のように見えますね☆
芸術絵画を背中の裏に着る、なんてね、
ステキですよね。
返信する
Unknown (陽花)
2013-04-11 19:41:30
景色柄の羽裏ってほとんど見かけない
ですが、いいですね。
いつも見せて頂くのは物語性の柄が
多いですが、とんぼ様のところで
色々な柄の羽裏見せて頂くのが楽しみです。
返信する
感動しました (まあや)
2013-04-11 18:34:31
じんと胸にしみるものがありました。
いいブログをありがとうございます。
m(_ _)m
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事