年下の友人から、突然電話がかかってきて、お話は「着物の引き取り」でした。
聞けば、お身内のかたがもう高齢で、着物あれこれ着ないから処分する…と。
「捨てられると思ったらもぅ『救出』せねば」で、もらってきてくれたとのこと。
トップ写真はその中の1枚、昭和の雰囲気たっぷりの黒絵羽です。
ごそっと持って帰ってきたけど置くところもしまうところもないし、「今から届けてもいいですか」とのこと。
こちらはいいのですが、あいにくの雨の日、ついた時はちょうどパラパラ程度になっていましたが、
迎えに出た私に友人が「途中でめまいがしました」…なんで?「もんのすごい防虫剤の匂い」…。
そりゃもうすごいのなんのって、防虫剤の倉庫に入れてありましたか?ってくらい。
とりあえず、玄関あけっぱなして一つずつザッと拝見し、そのあとせっせと、とりあえずポリ袋に入れました。
晴れて風がないと、匂い飛ばしもできませんから。
そして今日、ようやく1枚ずつ広げて、とにかく「匂い」いやもう「臭い」の方ですね、飛ばしました。
さて、いただいた着物、いわゆる「品物」としては、なかなかいいものが多かったのですが、
残念なことに、少しずつダメージあり、なんです。
着物は好きだけれど、あまり気になさらない方だったのでしょうか、着て、ちょっと汗飛ばして
そのまま畳んでしまいこみ、何年もそのまま…と言う感じです。防虫だけはしーーっかりで、
とにかくすごい匂いでしたが、汗ジミは防虫剤ではとれませんからねぇ。
腰回りのシワシワ、脇の半円の汗ジミによる色褪せ、あちこちの色抜け…。
もったいないことこのうえない状態のものが何枚かありました。それがいいものばかり。
こちらはイマドキ珍しい「五つ紋の訪問着」です。着ていくところは限られますねぇ。
色目など、今の私が着るのにちょうどいいのですが、なぜかお尻の下とか胸や衿に、なんかわかんないシミが…。
はーいミカンでもなく、柿でもなく「万寿菊」柄です。金糸縫い取りは「扇」、なかなかいい柄なのに。
こちらは留袖。これはお嫁入りのときにもっていく年代の柄ですね。
大きな檜扇をバックに「花車」。柄が大きいし、朱色主体なので、かなりハデです。
これは白っぽいシミがあちこち飛んでいます。
私がいただくのを決めたのはこちら。匂い飛ばしに干しているのでこんな形ですみません。
椿柄の、これは紬です。アンサンブル。地色がこんなですから、まだまだ私が着る気になってます。
これはダメージなしっ。
そしてこちらは「???」と思った着物。右袖にこんな柄、しかも「刺繍」です。
あと衿に少し同じ花の刺繍があり、そのほかはまったく「柄ナシ」。
色無地と思ったのに、なんかとんでもないところにちょびっとだけ刺繍?
で、よくよく見れば…八掛の色が、表にはどうも…更に袖に「襲風」にぬいつけがあり、衿も同じ。
その色柄も、どうにもハデといいますか…とても色無地として着るとは思えない色合わせです。
はっきりしませんが、右が袖口、左が八掛、同じように見えますが実はもっと違う色です。
八掛の方は、茶色っぽく、袖口は朱が強い…袖口の種の内側には、更にからし色がついてます。
友人に「ねぇ、このかた、踊りやってた?」…ほかにも1本、いかにも…という帯もあったので、
聞いてて見ましたら、確かにやっていらしたそうです。「○○流」というような踊りではなく、
歌謡曲に合わせて…というような踊りの方だそうです。
これは舞台衣装だねぇ…と落ち着きました。全部外して色無地として…と思ったら…
これはなぜか数か所、めだつところに「色抜け」が…あぁぁ…です。
とりあえずこれは洗ってみることにしました。部分カットで、使えるとこだけ使ってナントカ使いたい紫です。
このほかにも、紗の着物、絽の道行、名古屋帯、そして、ウールのアンサンブル二組。
ウールは防虫剤の甲斐あって、この年代だと大概「虫食い」が…なのですが、全くナシ。
ついていたモスの長襦袢も無傷、たいしたものです。これは10代の娘さん用という感じです。
結果、なんやかや20点ほどのもので、こりゃもう捨てるしかない…は、一つもありませんでした。
他に帯揚げ帯締めなど小物もあれこれ。いろいろ行く先を楽しく悩みましょう。
もったいない…とため息ばかりの検査結果となりましたが、シミの中には落ちそうなものもあります。
喪服関係が充実?してまして、絽、袷(羽二重とちりめん両方)、帯も両方、単衣はさすがにありませんでしたが、
黒の一つ紋羽織、黒の道行、帯揚げも夏冬両方…これがまぁダメージほとんどナシ。
これら一式は持ってきたご本人が何とかいけそうなので、お預かりすることにしました。
あれこれ広げて、行く先はだいたい決まり、ようやく匂いのほぼなくなったものを必要に応じて、
箱詰め、風呂敷包みと分けて…あぁひっさしぶりに着物に触りまくった半日!しゃーわせぇぇ!
んーとってもクサイ幸せ感だったけどっ。
この友人、あの成人式にちょっとお手伝いをした友人です。
記念に撮った写真を持ってきてくれました。家族写真もきれいにアルバムになってました。
まぁみんなニコニコで、なんだかこっちも幸せのおすそ分けいただいて…。
で、友人が、実は自分の時のも出てきて…と並べたんです。
最初に言ったのが「ね、私の方が負けてますよね。娘の方横綱だし」…
左娘さん、右ご本人。確かにねぇ…でもかわいいですー。
友人がしみじみ言ってました。「着物って、いいですよねぇ…こうやって親子で着られるんですから」
そして、できれば孫にも着せたい…というので、しっかり保管すればイケるよ…と答えました。
状態もいいし、今回クリーニングも済ませたので、あと2年後、娘さんが大学の卒業式に、
これで袴をはいたら、またきっちり調べて保管しておくことにしましょうと。
お預かりする私の責任も重いですが、それまで元気でいなくちゃ…ちょっと待て…
これから彼女が大学卒業して、結婚して子供産んで、その子が成人式だよ…………
日本の長寿記録、のばしてやろーでないのっ!? だ、ダイジョブかしらん…Hちゃん、すぐ結婚してぇ!
着物を着た後、汗を飛ばして、そのまま。。
分かるような気がします。
先日初めて、私の一張羅訪問着(母が作ってくれたものですが)の汗抜きっていうのをしたのですが、
思いのほか安く済み。。今後もこの一張羅だけは着たらシーズン終わりに汗抜きに出そうかと。。思いましたw
しかし、その他手に余るほどある?旦那の視線が冷たい他の着物は、
中古だし。。と言う理由で、着用後、
汗を簡単に飛ばして、そのまましまっちゃいますから( ゜Д゜)
この中古の着物たち、ゆっくり全部を洗い張りに出しながら、自分寸法の物に仕立て変えていきたいと思いながら、そんな日を夢見て50の手習いを始めましたw
自分で仕立てができたら、着物メンテの費用、
格段に安く済みますものね。。。(授業料できちんと綺麗に仕立てられるとも。。言われますがwww)
トンボさんの所にやってきた着物たち、
今後どのようになるのか、興味津々~^^
ぜひ、今後を教えてくださいね^^
繰り回しに興味津々なのです。。。
(また、長々と。。すみません。。^^;)
母の時代は、「自分でメンテ」が当たり前でしたから、
脇の汗取りや衿の汚れとりなど、
普段着る着物は、よくやっていました。
数こなせば、うまくやれるようになると思うのですが、
汗抜きの失敗で輪ジミ作ったら…なんて思うので、
いいものにはとてもできません。
サイズも変わってきて、ほんとに困ったものです。
簡単な裄だしとか、丈伸ばし程度なら、
やればできるのですが、めんどくさい…が先に立つ、このズボラです。
和裁をもっとちゃんと母に習っておけばよかった…
と言うのが、この30年の後悔でする
かといっていまからやる気はない…またまたズボラです。
とりあえず、やっと防虫剤のにおいも薄くなってきましたので、
行き先を考え、自分用にいただいたものをどうするか、
また楽しく悩むことにします。