判じ物は、日本人の得意とするところ。
判じ物というと、なぞなぞみたいなもの、当て字もの、絵入りのものなどいろいろありますが、
「遠まわしに表す」というのは、日本独特のものではないかと思っています。
以前書きました「女房言葉」、これは宮中での女房(侍女とかお手伝いの立場の人)が、
直接それを言い表すのは失礼とか、恥ずかしいとか、下品とか…そんなことから作られた言葉。
「ひもじい」は「ひたるい(おなかすいた)」を遠まわしに「ひ、という字のつく状態でござりまする」で「ひもじい」
んなこと言ってるあいだに、さっさとつまみ食いでもしなはれ…ですが。
「おめもじ」は「めと言う字を使うお目にかかるという状態」、「かもじ」は「かという字のつくものを使った付け毛」、
「すもじ」は「酢をつかったごはん」…酢めしでいいじゃん…と、ハマっ子にはじれったい言葉です。
とまぁ「遠まわし」とか「隠して」とか、そういうものっておもしろいわけです。
やっと「かんざし」ですが、はいこちら。
銘は「建長寺竹手彫りかんざし かまわぬ、否かまって」…。
「かまって…」ですよー。
判じ物の代表みたいな「かまわぬ」に対抗して「かまって」…。で、つい私も「かまって」しまいました?!。
歌舞伎では「鎌と輪とぬ」で「かまわぬ」とやったとき、
相手役者が「鎌とゐと枡」で「かまいます」とやって大ウケしたとか。
かまって…の方がかわいいですねぇ。
ちゃんと髪を結ってませんで、クリクリと丸めてさしただけです。すみません。
もう少し、ゆったり大きく髷を結ってバランス取れればいいかなと思っています。
これは竹でして裏もまたいい色なんですよ。反りが逆になりますが、裏側もいいかもです。
赤く光っているのは、作者様の銘で「mokuami」と入っています。「木阿弥さん」です。
ちゃんと箱入り、そして達筆…元々「書」をなさる方だそうですが、実にいろいろ作っておられます。
最初「この方の本職はナニ?」と思ってしまいました。ステキなものをいろいろ作られるナゾの方、です。
こんな字が書けたらねぇ…。オークションはこちらです。
私は「竹」という素材が好きです。
すでに故人となった京都の伯母が、昔、わずかばかりですが竹林を持っていました。
自分の家と、ご近所さんに配る程度の筍を取り、横浜の母のところにもよく送ってくれました。
竹林もほかの里山の林と同じで、手入れは必要です。
いい竹林は、降り積もった笹の葉がふわふわとして、歩くと足が沈みます。
筍を採り、適当に竹を伐採して陽を入れる。それができなくなって、結局竹林は売られました。
もう宅地になっているかもです。残念だぁ~。今でも京都に行くと、必ず竹細工のお店を覗きます。
さて、では判じ物、のお話。
江戸時代は識字率の低い地域から来る人も多かったので、看板などは「絵看板」が多く、
人の背丈ほどもあるろうそくで「ろうそくや」、鬼がはくような大きな下駄で「ゲタや」といった具合。
これも一つの文化として、博物館や民族資料館などでも見ることができます。
また、日常的に庶民が使う場所などでは、判じ絵もよく使われ、
有名なところでは湯屋で、表に○を書いた板をつるす、これは「輪・板」で湯が「わいた」。
反対に火を落として店じまいすると「ぬ」と書いた板を出す。「ぬ・板」で湯を「ぬいた」です。
将棋の駒に「歩」とだけ書いてあるものは「質屋」。将棋の「歩」は「金になる」から。
今、ファーストフードのお店を「マック」とか「ケンタ」とかつめて、カッコよく言いますが、
日本の判じ物のほうが、クールだなぁと、私は思っています。
さて、この「かまってかんざし」挿して歩いたら、だれかかまってくれるでしょうか。
当方、好みうるさし、イケメン、頭よく、センスよく、おしゃべりでなく、金払いのいい人希望…。
え~~おかまいなく…。
なるほど「かまって」ですか。
オークションも覗いてきました。
面白いものをつくられる方ですねえ~~
ビリケンの貯金箱いいなあ~
私、この作家の「カネゴン帯留」がずーーーーっと欲しくて・・・・
題材から見ると、きっと同年代なのでは?と密かに思ってます。
かまってなんですよー。
楽しいでしょう。
ビリケンさん、いいですよね。
どれもこれもユニークです。
そうそう、セリフがきいてる感じですね。
カネゴンも大明神もあったりして。
50歳くらいの方らしいですよ。