拓庵思考~妻との日々・映画と音楽の毎日

巴座ホーム社長の私的なつづれ織り【妻にだけ弾くギタリスト 猫6人の父になる】

かぼちゃのおしるこ

2014-11-11 20:22:05 | 日記・エッセイ・コラム

妻とふたりだけで函館空港におりたった。意外なほど暖かく....拍子抜けした。

母が住む実家ではなく湯の川プリンスホテル渚亭に連泊予約をした。私の実家には目と鼻の先の立地のホテルだ。目の前が砂浜の海で、函館山も望める。そしてなにより函館らしい趣向のビッフェが人気だ。二年前に母に連れてきてもらった時から、妻や子供たちも連れてきたいと考えていた。部屋には海が目の前の露天風呂もついていたが、一度も利用しなかった....

さてプリンスホテル渚亭のビッフェだが、ほっけの刺身は前回も食べてみたが、さすがに函館ならではだ....いかの刺身もすごく新鮮でとてもホテルのビッフェとは思えない。かにはズワイの釜茹での他に、焼きタラバがにもあった.....なんと、いかめしもある。妻とふたり満腹になってから実家の母の顔を見に行った。

実家に帰るたびに懐かしさより郷愁のような思いになる。私はここで育った....という感慨深さと、老いている母への言葉にできない思いが交差する。それでも母はたいそう喜んで私と妻を迎えてくれた。妻が軽井沢のエディ・バウワーでニットのポンチョを母のために用意してくれていた。妻がそのプレゼントを渡すと、これまたたいそう喜んでくれた....そのほかに羽田空港で購入したスカーフも妻が渡した。

次の日、母を男子修道院へのドライブに誘った。はりきって待っていた母は、妻が送ったスカーフや、今年の母の誕生日に妻が送った革のポーチをさげてニコニコしていた。函館から昔の上磯町の浜辺を走りぬけると紅葉で彩られたトラピスト男子修道院に到着した。函館でこんなに素晴らしい紅葉を観ることになるとは思ってもいなかった。

母は足に障害を持っている。前回、姉と私で朝市に誘ったときは「足が痛いから行きたくない...」と言っていた。ところが私と妻が「朝市でうに丼を食べるんだ!」というと、シャキシャキとした感じで杖をつき先頭に立って市場の食堂へ案内してくれた。「母さんビール飲めば?」というと「うん。いただくワ」といって楽しそうに生ビールのグラスを空にした。

次の日も朝食後に母をたずねると「あんた。かぼちゃのおしるこ食べるかい?」と母....「えっ!食べる!」と私....函館では学校給食でかぼちゃのおしるこが出た....私のなつかしい思い出でもある。ただ母に作ってもらった記憶はない。母との会話の中で山梨県の至宝 ほうとうの小作のあずきほうとうに、かぼちゃほうとうのかぼちゃを入れて懐かしい学校給食の味を再現していると話したからなのか...ホテルに泊まっている息子に料理を作ってあげようと親心で思ってくれたのであろう.....

さて...冒頭の写真は松風町の棒二森屋デパート近くの美鈴コーヒー店で写した写真である。『函館 昭和ノスタルジー』という本のポスターだった。美鈴コーヒーは分煙されておらず煙草臭くてそそくさと退出したが、案の定 棒二森屋デパートの書籍売り場にこの本が並んでいた。すぐに購入して実家に向かい 例のかぼちゃのおしるこを待つあいだにページをめくると昭和初期の巴座の写真やチケットが載っていた。写真をめくるとカラーページで目立つのはミントグリーンのペンキで塗られた建物や工場、船.....さて帰りの飛行機まで、もう間もない...母がつくった かぼちゃのおしるこを食した....砂糖をおさえすぎていて濃厚な味ではなかったが....どちらかというと美味しくはなかった....でも私は「母さん。美味しいよ!」といって、妻の分まで食べようとさえ思った....

北海道をはなれてから関東で『かぼちゃのおしるこ』の話しをすると、関東の人はみな気持ち悪いといった表現の顔をしたりした。甘い栗かぼちゃと甘いおしるこのマッチングは絶妙で...私の大好物なのだが、現実はあまり食べる回数がない。まあ....たまに食べるからいいのかもしれない...

妻とふたりで来た函館....観光気分にひたる予定だったが....やはりここは自分が育った街で、実家がある場所だった....

母さん...また来るね...

 

 

 

 


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