ロンドン・ブリッジの上空は曇り。まるでLED ZEPPELIN Ⅳの裏ジャケットのような世界だ.......この日のロンドンは朝から寒く、8月半ばなのに気温は12℃以下で、妻は世界遺産バースの街で購入した秋物のロングニットを手放さなかった。ロンドン塔からロンドン・ブリッジへ歩くとテムズ河の風が強い。ロンドン・ブリッジの上を風に吹かれて散歩していると二階建てのバスから手を振る女性がいた....同じツアーの団体行動グループの愛知県の女性だった。私と妻は自由行動組だったので二人でロンドン市内散策の最中だったが偶然にも同じツアーのバスもロンドン・ブリッジを車上見学中だったらしい。 あとからホテルでその女性から「ふたりで目立っていましたよ。思わず手を振ってしまいました..」とはにかみながら告げられた。 その愛知から来た女性はすごくおとなしい。
湖水地方やコッツウォルズ地方、ストラドフォード・アポン・エイボン....イギリスの珠玉の美しい田舎をバスで廻るツアーは37名の本州・四国・九州からの旅人だった。面白いのは7割以上が幼稚園から高校までの先生たちだったことだ....ツアーも中盤でみんな顔みしりになる。おもしろいことに群馬県でしかも高崎市の近隣が三組もいた.....最終日のロンドン市街観光だけは私と妻は自由行動をチョイスしていた。行きたいところは山ほどある....ホテルが音楽の聖地『ロイヤル・アルバート・ホール』まで歩いていける立地っだった。クリームやエリック・クラプトンのライブ映像で何回も観たロイヤル・アルバート・ホール....54歳になって16歳の少年に帰ったような感動を憶えた....
イギリスの田舎を夫婦でまわるのが夢で....実現するのに約20年かかった。イギリスに行く前は妻はロンドン観光を楽しみにしていたが...ロンドンに到着するまでのイギリスのカントリーサイドの美しさに感動して「ロンドンもいいけど、田舎は素敵だったわ」と振り返っていた...
旅の二日目の朝...あまりにも美しい田舎町ストラドフォード・アポン・エイボンでアクセサリーブランドPANDORAの店舗をみつけた。すぐに店内に入りファッションブレスレットを妻にプレゼントした。ロンドン行きのバージン・アトランティックの機内の読み物でひそかに目をつけて、買ってあげたいと考えていたが、まさか..シェークスピアの生誕地で有名なストラドフォードの街にPANDORAがあったとは....。ピンク色の飾りが可愛いブレスレットはすぐに妻の腕につけられた.....そして数日後、ロンドン市内で偶然にも、またもやPANDORAの店舗があったので覗いてみた。そして、もう一度妻にアクセサリーをプレゼントした。ロンドン店の女性店員はみな愛想がよく、男性店員も何人かいる。担当の女性店員さんに「奥様にプレゼントだなんて、素敵なご主人ですね」とお世辞のような本音のような言葉をもらった。PANDORAの店内は女性ひとりの買い物客が多く、最後に男性店員にまで「いいことしますね!うらやましい」といわれ見送られた。 ちなみにストラドフォードで接客にあたったトルコ系?と思われる女性がお愛想が悪く....ストラドフォード・アポン・エイボンの街の観光の人気のエリアのシェークスピアの妻アン・ハザウェイの生家の土産コーナーにもトルコ系の綺麗な女性店員が数名いたが、みなお愛想が悪かった.....偶然なのだろうか.....
時間を朝のロンドン・ブリッジの続きにもどそう......
大英博物館の入り口から上空を見上げる。雨がおちてきそうだ。2度目の来館っだったがこの世界の盗難博覧会の博物館はさらにパワーアップしている。この世界1といわれる大英博物館は無料である。私たちはサムスン社提供の高度なCTスキャンによるミイラのハイテク分析イベントは有料で見学した。これは圧巻だった。自在にミイラの人体の角度を変えることも内蔵の中も透視できる。いまだかつてこの博物館を一日中見学したことはないが、イギリスに来ると必ず見たい場所の上位に入る。
大英博物館からコンラン・ショップやデザイナーズ・ギルドのある雑貨街を歩きフランスの子供服のブランド『Bonpoint』で孫たちの秋冬ものを購入した。とても品の良いカシミヤのカーディガンとチロリアン・ブラウスで孫ふたり分4点で8万円ほどだったが少量ロットの特注の服は高価なものだ。どうせすぐに着れなくなるものだが私は迷わず購入した。ロンドンの静かな雑貨街の一流の店で孫たちのために服を買う....すごく素敵なことではないか.....服は原則一度の思い出のためにあると思う。結婚式のドレスや高価な着物も何回も着用しない。思い出を刻む道具であるともいえる。実際、次女の孫は冬が来る前にそのカシミヤのカーディガンの前のボタンがとまらないほど大きく成長してしまった....ちなみにこの『Bonpoint』の日本販売店は鎌倉の小町通りにあるようだが、ロンドンの店舗はマーチャンダイジング・演出・ディスプレイが素晴らしく購入する動機になった。鎌倉小町通りは、年に1回くらいしか歩かないのだが私を感動させる店舗はなかったが....次回の旅はフランスでパリにも滞在する予定なのでまた素敵な子供服の店を探してみよう。
孫たちもいつかイギリスを旅することがあったら、私たち夫婦が歩いた道をすこしだけ覗いてみてほしいと思う。私は孫たちには多いに見聞を広めてあげたいと思っている。私のような面白い男と、人間として女性として素晴らしい妻の間に血が繋がるものとして生まれてきた孫たち....いやがおうでも私たち夫婦の思想や人生感が孫たちに少なからず影響を与えることになるであろう...
イギリスの旅から二か月が経過した。旅の余韻を楽しむひまもなく仕事に追われる毎日の間に三人目の孫が生まれた。妻は産後の娘の世話と孫たちの世話と仕事を献身的にこなした。慣れないことには疲労やストレスがついてまわる。やっと娘と孫たちから解放されたので、妻にご褒美の小さい旅を企画している。ちょっと遠くの街がいいかな...海が見える温泉付きの部屋のある素敵な宿だったら喜ぶはずだ....
今、振り返るとイギリスの旅で妻が一番気に入っていた宿は湖水地方ケンダルの町のリバー・サイド・ホテルだった。川沿いの石造りの建物は中世の匂いがする。朝、目覚めてカーテンをあけると妻は絵本の中にいるような錯覚になったそうだ....子供や孫や仕事から解放された妻の表情は終始明るく...8日間のイギリスの旅の思い出は色褪せることがないだろう。さて私はといえば、何人かにウェッジ・ウッドの工場見学時にウェッジ・ウッド社の記念ボールペンを数本購入して....自分はボンド・ストリートで演奏していたアルゼンチン系の民族音楽の演奏者から直接CDを購入した。ライブは良かったのだがCD録音はいまいちっだった。
あいかわらず巴座は忙しく....私は多忙な毎日だ....それはそれで幸せだ....