拓庵思考~妻との日々・映画と音楽の毎日

巴座ホーム社長の私的なつづれ織り【妻にだけ弾くギタリスト 猫6人の父になる】

ハマそだち

2012-07-29 15:28:35 | 日記・エッセイ・コラム

037横浜は山下公園で海を見つめるのは私の息子だ。

息子はめったに私たち夫婦と出掛けなくなった。

『皇居の桜を車窓から見る』という企画は、長い抗がん剤投与を終えた母へのはからいだった。函館から来た母は80歳だ。母には8人の孫がいるが母が名乗る名字を名乗るのは私の息子だけだ。息子の貴重な日曜日に、彼は自分の祖母との『皇居の桜を車窓から見る』ツアーに参加することを選んだ。

はたして桜は、ハラハラと散るらん....皇居周辺はピンクの吹雪が舞う。銀座和光デパート前から築地を抜け、豊洲から東京湾を廻り浜の倉庫街に着いた。母は函館の弁天台場の近くで生まれ育った。函館のレンガ倉庫街も母の育ったエリアだ。私は函館のレンガ倉庫街のほうが好きだが母は興奮気味で喜んでいた。性格のよい嫁と真面目な孫と息子である私といることが嬉しかったのだろう。

父が網走から函館に入港した際に弁天台場(函館ドッグそば)の母の務める洋品店に「息子の服をくれ」と言って入ってきたそうだ。「息子さんはおいくつですか?」母が訊ねると、下半身を指さして「パンツだよ。下着だ」と言って笑っていたそうだ。もちろん母は父を軽蔑するのだが...それからというもの父は船のマイクをつかって港から母へのラブコールをしたそうな....それから父が母を映画に誘ったそうだ。エリザベス・テイラーの『巨象の道』上映中 父はずっと寝ていたそうだ。帰りの喫茶店では珈琲に砂糖を何杯も入れ...ティースプーンで音をたてながらすすっている姿をみて心からゲンメツした母だったが...なぜか結婚して私は第三子として生まれている。

Image112_2眼帯をしている祖父に抱かれて父を見送る幼い私の写真は函館の港だそうだ。父を見送るのはいつも港だった。

33年前、私の19歳のとき港が一望できる火葬場で父を見送った。父は真面目な人だった。私も真面目だと妻によく言われる。息子も真面目な部類の人間だ。祖母のために横浜までついてきた息子の中で『あまり会うことがない函館のおばあちゃん』をどのように思っているのだろう...4月の横浜の海は青く。桜の花びらは淡い桃色が波間に映えていた。

息子とはふたりで函館の港まちを歩いてみたいと思う。

息子はどんな女性と結婚するのだろう...ちょっと楽しみだ...


手ぬぐいという名のタオル

2012-07-28 10:39:27 | 日記・エッセイ・コラム

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木曽路奈良井宿へのアクセスは容易で上信越自動車道のインターを降りてから信号のあまりない国道をゆっくり川の景観を楽しみながら到着する。

妻の携帯電話で撮影された宿場入口の写真は 昨年の夏の暑い日の思い出だ。

車を止めてゆっくり1~2時間はタイムスリップできるこの宿場は本当に趣が深い。

お店もたくさんある。珈琲の店。おやきの店。古道具の店.....妻がお財布を開いたのは手作り小物の店だった。

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和柄の可愛いガーゼ素材を生地合わせしてあるミニ裏毛のタオルを二本購入した。素材が気持ちいいのですぐに近くの井戸風の演出の水道で手ぬぐいという名のタオルをぬらして首に巻いた。それ以来この手ぬぐいタオルは夏の小さな旅の友だ。

2012ロンドンオリンピック開会式で『ヘイ・ジュード』を歌うポールを観ながらこの手ぬぐいタオルを肩にかけて涼んでいる夏の週末。ポール・マッカートニーは歳をとったがかっこいい。奈良井宿も素敵に年月を重ねている。さて席を立とう。暑い町に出よう。知らない町の小さな温泉や景色を探訪しに行こう。もちろん手ぬぐいタオルを二本持って.....


夏の午後。温泉と海

2012-07-26 15:32:40 | 日記・エッセイ・コラム

018巴座号(私の営業車)の前に見えるは笠島の港。新潟県は柏崎の海水浴場として毎年多くの海水浴の児童生徒が来る場所だ。

関越自動車道下り線六日町ICからじょんのび村の素晴らしい湯を味わった帰りひとコマだ。

子供たちが小さい頃にじょんのび村に泊まったことがある。新潟県柏崎市高柳にある合掌造りの集落が残るこの山あいの村はとても美しい。

Photo施設内の楽寿の湯は黒姫山の湯だとか....で、とにかく茶褐色のすべっとした湯だ。念のために補足すると 【かけ流し】の温泉ではない。写真のように立派な梁がかかった浴場内の造りもじょんのび村の自然の世界を演出している。露天風呂から望む景色も山の中を満喫できる。

茶褐色のお湯で日焼けした顔を洗ってみたがすごく肌がまろやかになった。ボディーシャンプーやシャンプーもよいものがつかわれている。普段は昼間の温泉では髪を洗わない妻が「いい匂いのするシャンプーだから、あたま洗っちゃった」と言って珍しく私より遅く出てきた。館内には冷房がもうしわけ程度しか入っていないために、汗が噴き出してきた。「お前!遅いよ!」と妻に文句を言ったが...汗がひくわけでなし。

じょんのび村から鯨波海水浴場まで30分の道のり。海がみえたら汗もひいていた。

じょんのび村が柏崎市内ということで六日町ICから山越えで海に行ってみたが体感的に遠いという感じには思わなかった。信号もあまりなく越後らしい建物やこしひかりの田んぼの風景が素敵な田舎道だ。

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この日は出発が遅かった。妻の体調が悪く、産婦人科に診察に行った。

「造血剤の注射したから大丈夫よ」妻は体が弱いが性格が前向きで、とにかく明るい。

じょんのび村から日本海に出ると太陽は西に向かっていた。輝く海をみつめる妻の横顔に元気が戻っていた。

先日、嫁いだ次女は海で潜水するのが好きで、よくふたりで海中の生物を観察して遊んだ。海産物が好きな子だったので海産物土産屋で、乾燥ホタテを購入した。さばやあじが口から串刺しで焼いて売っている。食べたそうに私がみていたら店主が「小さいアジは200円でいいですよ」と言ってくれたので購入してすぐに食した。米山IC近くの恋人岬で有名な土産屋だ。

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「仲がいいですね~」唐突にアジを焼きながら店主に話かけられた。「うちなんて...もう夫婦といっても他人になっていますよ」とうちわであおぎながら語っていた。

「仲がいいね」...昔からよくいわれる。夫婦だから当たり前だと思っているのだが本当によく言われる。たしかに仲がよい。

日本人は大げさな結婚式をあげるわりに結婚後はさらっとしている夫婦が多くみうけられる。子供抜きで来る海辺のドライブは楽しかった。でも子供たちの好きな海産物土産をしっかり買って家路についた。

子供を三人授かったが、子供がいたおかげでいっそう夫婦が仲よくできたのかもしれない。笠島海水浴場の防波堤の上で子供たちと遊んだ日のことを思い出していた....

 


「そういう声を聞くと一番嬉しい..」 

2012-07-20 16:02:49 | 日記・エッセイ・コラム

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鬼がいない里....『鬼無里』(きなさ)と読む。

信州は善光寺から20キロ位西に山間のけっこう細い道を進むと小さい村がある。現在は長野市の鬼無里地区となっているこの村は木曽義仲伝説や紅葉伝説など逸話が多い水芭蕉の生息地だ。村の高低差はけっこう急だ。民家があるので道をどんどん登って行ったら、とんでもなく山の上に出た。しかも道幅は細い。対向車が来た。60代の女性だった。地元らしきこの女性はすれ違いが困難だと判断したようで道の真ん中で彼女の運転する軽自動車で立ち往生した。「えッ!何このおばさん...えッ!どうするの!崖から落ちるよ!」妻が緊迫した声と不安な顔であせっている....が、車幅の狭い車とはまことに便利で私の車は1リッターカーなのでなんなくバックでギリギリの幅寄せをして事なきを得た。

気をとりなおしてさらに山の上の道を登って進むと『ふるさとの館』なる建物がある人間の気配がない処に出た。「え~っ誰もいないよ....営業していないよ」妻がまたしても不安そうに話す。山間だが暑い日だった...日差しが強い。自分でも道を間違っていることにようやく理解が出来た.....アジサイやアザミの花が不安な山道の景色を彩っていた。

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少し町場に下りると駐在さんの姿があった。私は道をたずねた。「すみません。いろは堂は本当にあるのですか?」「あります。もう少し先です。」  カーナビの代わりのiPadのグーグルマップの示す場所からだいぶそれた場所を教わった。

私たちの目的は鬼無里が本店のおやきのいろは堂を訪ねることだった。Photo_5

関越自動車道の上りSAの上里サービスエリアで出会った『いろは堂のおやき』。初めて購入した時は私が[かぼちゃ・つぶあん]で、妻が[野沢菜・かぼちゃ]。食べた数分後から妻が「パパ。やばい。美味しい。やばい。はまる。」....このフレーズはこの日のドライブ中数回と翌日も何回も繰り返された。当然、数日後わざわざ、おやきを買いに上里SAに行くことになるのだが...いろは堂のおやきを扱っている場所は少ない。「本店は長野の市内ですか?」と売店の方に尋ねてみると「いやァ....山の中です」とやんわりした返事が返ってきた。上里SAで初めて食した日から鬼無里の本店で、この美味のおやきを食べるまでに8日しかかかっていない。本店に来る前日も購入したので8日で三回もこの、おやきを食べた。

はっきり言って うまい。 かぼちゃは夢に出てくるくらい好きだ。あくまで我が家の私的好みだが、数あるおやきの上位ランキングは 1位かぼちゃ 2位野沢菜 3位からみ茄子(夏限定)同率3位つぶあん。次点として ねぎ味噌、ぶなしめじ、きりぼし大根がある。まだ全種類食べていない。 アザミと茄子は未経験だ。 言えることは【本店まで来る価値がある】ということだ。もうまったく違う食感だ。いろは堂のおやきには、そば粉が入っていて軽く油で焼いてある。上里SAでいただいているものは冷凍なので鮮度が違うせいか全くちがう。それでも十分以上美味しく....これから私と妻の関越自動車道上り車線の定番となるであろう。

鬼無里003いろは堂本店の店内の写真を観ていただきたい。囲炉裏端で焼いて食べる贅沢な世界を...実際は匂いを気にする都会人には使えないしろものだ。 いろは堂のおやきは油をつけて焼くタイプだが、信州のおやきは蒸すものが多い。私は、野沢菜も蒸すタイプのおやきもそんなに積極的には食べてはいなかった。

52歳にして野沢菜と焼いたおやきの上質のコラボレーションに、はまってしまった。

014鬼無里にはまた来る。

いろは堂があるから。

180円のおやきを食べにかける距離 162㎞。わざわざ食べに来る価値があると、わたしたち夫婦はおもった....私も妻も喜びの表現を感謝の相手に伝えることができる。 高崎から食べに来たことと、あんまり田舎で驚いたことを女将さんにつたえると「そういう声を聞くと一番嬉しいです....正直、上里SAにお誘いされた時は悩みました....」と、お答えになった。

いろは堂を出る妻の手に湯呑茶碗の包みがあった。いろは堂の女将さんが そっと持たせてくれたそうだ...私はとても嬉しい気持ちでいっぱいになった。162km。暑い夏の昼下がり。妻の横顔も満足そうだ。大学生のときから今日まで、そしてこれからもずっと妻と見ていく車窓の景色にまた素敵な場所が増えた....


『まほろ駅前多田便利軒』とバットマン最新作と山弦

2012-07-19 19:47:17 | 日記・エッセイ・コラム

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Photo_3『ダークナイト』の続編『ダークナイト ライジング』が7月28日から公開になる。UT(ユニクロ)のTシャツも発売される。子供時代からバットマンTVシリーズに胸ときめかせたが52歳になった今でも胸が踊る想いだ。

テレビCMのタイトルを明かさない手法は面白いと思っていたがクリストファー・ノーラン監督の自信たっぷりのコメントが私を映画館へと誘惑する。ちなみに私の映画環境は良い。高崎駅前の109シネマには歩いて10分で行ける。そして居間にはフレッツの光テレビがあり、ほぼ毎夜、妻と映画鑑賞という名のお茶会を開催している。

H&Mで売っているロボコップのTシャツは興味がなかったのだが...なんたってバットマンだ。今回の『ダークナイト ライジング』のUTTシャツは必ず購入したいとねらっている。T_3

さて主役のクリスチャン・ペールのバットマン役が好きかといえばそうでもない。クリストファー・ノーラン監督が何をやってくれるかを期待したい。前作『ダークナイト』は全米公開収入の過去3位は正直びっくりだった。 1位『アバター』 2位『タイタニック』は理解できるというか、王道のハリウッド大作宣伝道路を一直線って感じだが.....やはりバットマンもはの強いのだろうか....スピルバーグ監督作品やルーカスのスターウォーズを差し置いて『ダークナイト』が3位の事実。さて今回の『ダークナイト ライジング』(邦題)は興行成績の行方がとても興味がわく...

さて今週の光テレビHDD撮り貯め映画館は、冷たい緑茶をいただきながら興行成績と無縁だったのでは?と思われる『まほろ駅前多田便利軒』とヒットした『13人の刺客』を二日連続で観た。Photo_8

 『13人の刺客』の三池崇史監督の『ダークナイト ライジング』のクリストファー・ノーラン監督への賛辞のコメントが面白い『ノーランは革命をおこした!!』このコメントはけっこう私を刺激した。このリメイク版『13人の刺客』も賛否多々あるものの私はすごく評価している。三池崇史監督のお気に入り作品にブルース・リーの『燃えよドラゴン』が入っている。この辺りがこの監督の面白いところだ。『燃えよドラゴン』は私も大好きだ。ただ監督のロバート・クローズの才能は疑わしい。私は高校生の時にロバート・クローズ監督のブルース・リーの遺作を無理やり編集して公開した空前の駄作にして失敗作の『死亡遊戯』を先行試写会で観て失望している。三池監督と私は同じ歳だ(1960年生まれ) タランティーノ監督が三池監督に影響を受けたことも有名だが、黒沢明監督に影響を受けた三池監督の最新作『愛と誠』は映画館には観にいく予定はない。

日本映画はあまり多くは観ていない。どうしても洋画が多くなる。最近60年代と70年代ハリウッドの大作ばかり観ていたが『まほろ駅前多田便利軒』『13人の刺客』ともに素晴らしい作品だった。『13人の刺客』の50分に及ぶ戦闘シーンは昔の黒沢映画のような息をつかせぬ出来栄えだ。

Photo_9三池崇史監督はたくさん有名な作品を撮っているがそのなかに『クローズZERO』『ゼブラーマン』『ヤッターマン』などがある。今回『13人の刺客』の戦闘シーンや松本幸四郎の出演シーンの演出が良かったので『クローズZERO』シリーズ」を二作とも光HDDに撮ってみることにした。

リメイク版がよかったので1963年の工藤栄一監督版のオリジナル『13人の刺客』も観たいと妻と意見が一致した。

さて音楽の方だが、松本幸四郎の娘である松たか子の夫君でもある佐橋佳幸と小倉博和のギターユニットバンドの山弦の2004年発表のアルバム『island made』(島そだち)がこの時期よい。群馬県館林市やそのお隣の栃木県佐野市に仕事で行く機会が多いが本当に暑い。熊谷、前橋、高崎、伊勢崎....私の仕事している場所はすべて日本のトップクラスの暑さだ。車の中で聴く毎日の音楽もついに真夏使用になる。ここのところ妻とドライブや買い物に行くたびに山弦の『island made』で耳も心も癒されて会話に花をそえている。Island_made

山弦はバンドとしては有名ではありませんが桑田佳祐や福山雅治のバックでギターを弾く小倉博和はちょいちょいテレビに出ている。

小田和正のアルバムもソロ作品のほとんどは佐橋佳幸が弾いている。坂本龍一、山下達郎、佐野元春、マッキー、大貫妙子などのアルバムで彼らの華麗なギターテクニックが聴ける。

UTの『ダークナイト ライジング』のTシャツを着て山弦のアルバムを聴きながら青い空が眩しい海に行く。次女が入籍をすませた今年の夏。

嫁いだ二人の娘たちと良く海に行った....

私と妻の夏がはじまった。