穀菜食堂なばな

オーガニックを日常に
昭和の香り漂う路地の奥、尼崎の和風ヴィーガン食堂。

油のこと

2021年01月07日 | ★食べること/飲むこと

皆さんは油と聞くと、どんな印象を持たれるでしょうか?
太りやすいイメージもありますが、身体に良い油もあると聞きます。
油の種類も色々あって、オメガ3、オメガ6、αーリノレン酸、リノール酸、トランス脂肪酸、などなど、油に関する言葉もちょっと混乱しがち。
今日は、油についての情報を私なりに整理して、それぞれの使い分けまで考えてみたいと思います。

※私は栄養の専門家ではなく、一消費者として油脂について学んだことを纏めたものですので、これ以降も新しく知った事があれば加筆修正する可能性があります。
あらかじめ、ご了承くださいませ。

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まずは、ざっくりと。
【油脂・脂質・脂肪酸とは】

油脂とは、常温で液体の「油」と個体の「脂」を合わせたものを言います。
油脂は、脂肪酸(←あとから登場します)とグリセリンからできていて、これらにコレステロール等まとめたものを「脂質」と呼びます。

脂質は3大栄養素のうちの一つで、エネルギー効率がとても良いもの。
・たんぱく質(1gあたり4kcalのエネルギー)
・炭水化物(1gあたり4kcalのエネルギー)
・脂質(1gあたり9kcalのエネルギー)

油脂の役割は、効率のよいエネルギー源の他にもたくさんあります。
・ホルモンの材料
・細胞膜の材料
・血圧のコントロール
・体温のコントロール
・脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を促進
など。

このように油脂は、身体の働きをスムーズにするうえで欠かせない大切なものです。
油脂に含まれる脂肪酸にはいくつかの種類があって、その働きもそれぞれに違っています。
まず、こちらの図をご覧ください。

【脂肪酸の種類】


脂肪酸は大きく分けて、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の二つになります。
ほかに「トランス脂肪酸」というものもあります。
これはマーガリンやショートニング、業務用油などを作る過程で発生するもので、牛肉や乳製品などには天然由来のトランス脂肪酸が若干含まれます。トランス脂肪酸は血中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがあり、大量に摂取すると動脈硬化などで身体に悪影響を及ぼす危険性があります。 トランス脂肪酸については、「できるだけ避ける」
これに尽きると思います。

話を戻します。
「飽和脂肪酸」は常温で固体で、乳製品や肉などの動物性食品の脂や、ココナツ油などに多く含まれます。
エネルギーとして使われやすく、体内で合成できるもので一般に過剰摂取になりやすく、健康面でデメリットがあります。
(ここでは、摂りすぎに注意というに留めます)

【不飽和脂肪酸について】

「不飽和脂肪酸」は常温で液体で、おもに植物油や魚油に含まれます。
「オメガ9系」「オメガ6系」「オメガ3系」
の3種類があります。

《食用植物油の脂肪酸組成 単位:%》


「オメガ9系」・・・オレイン酸を多く含む
・オリーブ油、菜種油などに多く含まれます。
最近は、オレイン酸を多く含むハイオレインベニバナ油もある。
・加熱による酸化に強い。
・血液中のLDL(悪玉)コレステロールの値を下げたり、動脈硬化のリスクを避ける働きがあります。

「オメガ6系」・・・リノール酸、アラキドン酸
・オメガ6(リノール酸)を多く含むのは、大豆油やコーン油、ベニバナ油など。
これらは外食店で使われていたり、加工食品や市販のドレッシングなどに多く使われています。
・リノール酸は、血中コレステロールを減らす働きがあるが、摂りすぎるとHDL(善玉)コレステロールを減らす可能性がある。
・アラキドン酸は、さまざまなホルモンの材料になる。

「オメガ3系」・・・αーリノレン酸、EPA、DHA
・えごま油、あまに油、青魚の油に多く含まれます。
・えごま油とあまに油の脂肪酸組成は、ほぼ同じです。
・熱に弱く、加熱には不向き。
酸化しやすいので、開封後は冷蔵庫で保管して早めに使い切ってください。
・αーリノレン酸は、心臓血管系疾患の予防や改善効果があり、一部EPA・DHAに変換される。
・EPAは、血中中性脂肪を減らし動脈硬化などを予防する効果がある。
・DHAは、血管系の病気を予防する働きが期待でき、脳や神経の機能向上も効果がある。

このうち、オメガ6系とオメガ3系は、体内で合成できないので食べものから取り入れる必要があり、「必須脂肪酸」と呼ばれています。
この2つは、お互いに対立する性質を持っていて、例えば、オメガ6は白血球を活性化して病原菌などと戦う=炎症を起こす働きをしますが、オメガ3は逆に白血球の働きを抑制、炎症を抑えることがわかっています。
オメガ6が炎症を起こして、オメガ3が炎症を鎮めるというイメージです。
だから、オメガ6とオメガ3が良いバランスを保つことが、健康には欠かせないのです。
近年では、体内の炎症状態が長引くことが慢性病の原因になると言われており、炎症を抑えることの大切さが分かってきています。

【オメガ6とオメガ3の理想のバランス】
オメガ6:オメガ3が2:1だと理想的といわれていますが、現代の日本人のバランスは10:1にもなっていて、オメガ6過剰の状態。
オメガ6の割合が高くなると血液の粘度が高くなって高血圧につながったり、アレルギー症状が強くでたり。
体内での炎症も起こりやすくなります。

では、オメガ6とオメガ3のバランスを良くするには、どんな油をどんな風に摂れば良いのでしょうか。

・オメガ6を多く含む加工食品をなるべく控える。外食時には、油ものを控えめにする。
・自宅での加熱調理の際は、オリーブ油、菜種油、ベニバナ油(ハイオレインタイプ)などのオメガ9系の油や、抗酸化物質を含み加熱にも強い米油を使う。
・オメガ3の油脂を意識して摂る。青魚を食べたり、えごま油・あまに油を仕上げにかける(この2つの油は加熱には不向きです)。

先の説明の繰り返しになりますが、現代の食生活ではオメガ6系が過剰になりがちで、そのために身体に慢性的な炎症を起こして問題になっている。
そのバランスを改善するために、外食や加工食品の利用は控えめにする、加熱にはオメガ9系の油(オリーブや菜種)を使う、オメガ3系の油(青魚、えごま、あまに)を意識して摂る。
この3つを意識するのが効果的だと思います。

オメガ6とオメガ3のバランスを取って2カ月くらいすると、体調の変化などが感じられるようになるそうです。実は、わが家も油のバランスを意識し始めてそろそろ2カ月になるところ。
これからの変化が楽しみです。
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ここまで油脂について纏めてみましたが、もともと油は貴重品で、日常的に油を使うようになったのは戦後のことです。
1956年、日本人の食生活を改善するという名目で「フライパン運動」というのが始まり、それから油を使う料理が一般的になっていったのでした。

食の欧米化とともに油脂の摂取量が増え、なかでもオメガ6系の摂取が増えたことで問題になっています。
まずは油脂の摂取量全体を減らしたうえで、オメガ3系の摂取を考えるのが、バランス改善には効果的な気がします。
油を使った炒め物は手軽だし美味しいのですが、日本人が昔から食べて来た、煮たり蒸したりする料理にも、日ごろから馴染んでおきたいと思います。

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油についての知識、これまで何となく知ってたことを自分なりに整理してみました。
これには、きっかけがあります。
なばなの看板犬サブローが、昨年11月に直腸がんと診断されたのです。
現在14歳の高齢ですが、これまで病気も無く元気に過ごしてきたのに。。
急遽、知人に紹介して頂いた獣医さんで指導を受けて食事内容を見直すことになりました。

ちょうどその頃、尼崎から鳥取の奥大山に移住して、現在は無農薬のえごま油などを扱ってる、gladberryのちえさんが来てくれて、えごま油のお話を聞く機会がありました。
えごまのお話を聞いてるうちに、その抗炎症作用についてもっと知りたくなったのです。
それにはまず、油脂について整理してみようと思い、今回のまとめとなりました。

えごま油のこと、それからサブローのここ2カ月ほどの様子の変化など、また改めてアップしたいと思います。
食べものの力は想像以上に大きいと実感しています。
よかったら、またお読みください。




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