穀菜食堂なばな

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昭和の香り漂う路地の奥、尼崎の和風ヴィーガン食堂。

「気候危機とジャスト・トランジション」学習会に参加しました。

2019年10月17日 | ┗日記

みどりの党ひょうごが主催する、地球温暖化に関する学習会に参加してきました。
講師としてお話してくださったのは、気候ネットワークの伊与田昌慶さんです。

お話は、前半が気候変動の現状について。
後半が、ジャスト・トランジションについてでした。



まず前半の気候変動ですが、最近は、「気候危機」という言い方がされることもしばしば。
昨今の台風の巨大化や、夏の猛烈な暑さには、危機という言葉がしっくりきます。

産業革命以前と比べて、大気中のCo2の量は400ppmまで増加し、地球の温度は1℃上昇しているそうです。
地球の温度が1℃上がったことで、起きている事とは。

・安全の問題・・・海水温の温暖化により、小さい嵐が急速に巨大な台風になる。
(先週、東日本を襲った台風19号は、24時間で巨大化)
今後、海水温が上がるにつれて、より短時間でより巨大になっていく可能性がある。

・健康の問題(デング熱など熱帯病の拡がり)
・平和の問題(シリア)
・気候難民(フィジー)

気温が1℃上がったことで、これだけの変化がありました。
これ以上、気温があがるとどうなるのでしょうか。
パリ協定では、1.5℃までに抑えることを目指していますが、予想としてはせいぜい3℃くらいじゃないかとも言われているそうです。
最新の科学では、このまま温暖化が進めば2030年頃には気温上昇1.5℃を超えるそうです。

この状況に対して、リアルに危機を感じている若い世代の人たち。


大人である私たちは、未来の人たちに対して責任があります。

科学者たちは、研究成果を政策に反映するよう提言できませんでした。
(※IPCCの科学者の報告書は、こちらに記載されています)
環境NGO・NPO、活動家たちは、グレタさんと同様のインパクトを世界に与えることができませんでした。

世界の温室効果ガスを減少に転じさせるベストタイミングは、「25年前」だったそうです。
そして、その次のタイミングは「今」です。

※勉強会の途中で、グレタさんのTEDでのスピーチを観ました。
彼女からのメッセージに、大人としてどう答えられるのか。
会場から上がったコメントは、
・温暖化対策は、儲かるという仕組みがないと、人が動かない。儲かる仕組みが必要。
・温暖化に関わる仕事(鉄鋼とか)に対してどうするのか。
・「どうにかなるさ」と今まで思っていたけど、本当に取り組まないといけない⇐グレタさんのスピーチで、「パニックになってください」というのがありました。

個人レベルでの温暖化対策(ネットでたくさん見つかります)と同時に、自治体レベルでの対策、企業や国としての対策を同時に進めなければ。

前半はここまで。
後半の「ジャスト・トランジションについて」に続きます。



まず、パリ協定についての説明から。
パリ協定の目標は、
・産業革命前からの地球の気温上昇を、1.5℃~2℃未満に抑える。
・化石燃料の時代を終わらせる⇒これによって、埋蔵されている化石のうち、85%は燃やせなくなる⇒job elimination(なくすべき仕事があるのでは?例えば、石炭火力発電など)

※再生エネルギーは安いというのが世界の潮流。
「2020年までに、陸上風力・太陽光発電の新設コストは、一番安い化石燃料の火力発電コストよりさらに安くなる」
2020年って、もうすぐです。




多くのエネルギー専門家も、自然エネルギーへの切り替えは可能としています。

自然エネルギーに切り替えることで、これまでよりも安く電気を生むことができます。
それだけでなく、新しい雇用も生まれます。

先ほど、job eliminationという言葉が出てきましたが、たとえば化石燃料に関わる仕事は減っても、自然エネルギーに関わる仕事は増えるのです。
こういった労働力が移動するときに、労働者の適切な雇用と質の高い雇用が不可欠という考え方が、ジャスト・トランジション(公正な移動)。
※ドイツの石炭委員会は、2038年までに石炭ゼロにすると決めたそうです。
※イギリスでは2025年までにゼロにすることが決められていて、石炭産業に関わる労働者は別の仕事につけるように、10年前から職業訓練を受けているそうです。

さらに大気汚染による害も軽減されます。


こんな風によい事だらけに見えますが、それでも銀行からの融資も、政府からの補助金も、自然エネルギーではなく、化石燃料に向かうのです。


世界各国で、CO2排出量に応じて課税する「炭素税」が導入されています。
ですが日本では、導入したものの実効力を発揮してるとは言いがたいようです。


日本の気温の変化。気象庁が発表しています。


日本のエネルギー政策の決定には、製鉄界と電力界が関わっているそうです。
それぞれの産業界が、利益を守ろうとするのはある意味当然とも思えますが、全体の利益について話し合って、必要があれば公平な移動=ジャスト・トランジションを実現できればと思います。
国が先陣を切っての取り組みは、なかなか難しいかも知れませんが、もっと小さく各地域で良い例をたくさん作って、社会に働きかけていくことはできるのではないか。
伊与田さんは、そのようにお話されていました。

違う立場、違う意見の人が共存できるためにあるのが民主主義です。
全体にとって利益になることを正直に話し合って、少しでも良い形で未来の世代の人たちにバトンタッチしたいと思います。




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