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都立に入る!

東京都の併願優遇について全部、教えます

[2020年11月25日 更新]
今回は東京都私立高校の併願優遇制度について、普通の中学生やその保護者が知らない内容についてお伝えする。
長くなってしまったが、要点をしぼって書いたのでよく読んで理解してもらいたい。

またこれらの情報は、あまり公になっていないものなので中学校や高校の先生に聞くのはよしたほうがいい。
信頼できる塾の先生になら、相談してもいいだろう。
結論から言うと、併願優遇におすすめの高校なんて一つもない

◆表向きは「都立高校を安心して受けるためのセーフティネット」
そもそも「併願優遇」という制度は他県にはない。東京独自のものである。

一言でいうなら併願優遇とは、
都立高校受験前に私立高校の合格確約を出します。
 だから、都立高校に落ちたらウチの(私立)高校に入ってね。
という約束の元で、私立高校を受験する仕組みである。

都立高校は推薦入試、一般入試とあわせて2回、受けるチャンスがある。
(分割後期や2次募集もあるが今回は除外する)

その都立高校に不合格なら、どこかしら私立高校に入学しなければならない。
高校入試で「浪人する」という選択をするケースはほぼないからだ。

1校も受かっていない状態で、本命の都立高校を受けることになれば
「ここで都立不合格なら、行く高校がない」というプレッシャーの中で入試を受けることになる。これはキツい。
私立高校に前もって合格しておけば、都立高校入試を安心して受けることができる。
これが表向きの「併願優遇」制度の存在理由。

もちろん、本当の理由はそこではない。
併願優遇を利用しないと生徒を集められない私立高校が、学校運営を続けるため生徒を確保したいからだ。
これについては、後で説明する。

◆私立高校の受験方法は3種類
私立高校に合格するための方法は、主に3つある。

1.推薦入試で合格する
2.併願優遇を持って一般入試で合格する
3.一般入試で合格する

順に説明していこう。

1.推薦入試で合格する
「単願推薦」とも言う。1月22日頃が入試日。
事前相談の際に「確約」をもらった上で受験するケースと、試験を受けてその結果で合否が決まるケース(ガチ入試)がある。
合格したらその高校に入学する、という約束の元で受験することになる。


多くの私立高校は前者だ。偏差値60以下の私立高校はまず間違いなく「確約」のある単願推薦を実施している。
また、併願優遇を実施している私立高校なら、まず100%単願推薦も実施している。

単願入試の「確約」をもらうには

①各高校の出している”単願の内申基準”に達している
②中学校の担任に単願推薦を受けることを伝える
③12/15以降、中学校の担任が私立高校と相談をし、事実上の合格が決まる
④1/22以降、形だけの入試を受け、合格をもらう

①は2学期中に中3の保護者が私立高校に出向き個別相談を受けるのが一般的。事前相談ともいう。
そこで1学期の通知表の点数やVもぎ・Wもぎ結果、英検漢検などの所持級を伝える。
私立高校の先生から「2学期もこの成績ならOKです」と言われたら、受験は終わったようなもの。いつの内申を見るかは高校によって違い、1学期の内申でもOKという場合もある。

入試当日、テストで0点を取るとか、面接で志望理由が言えないなど馬鹿なことをしない限り合格は確実。形だけの入試である。

私は少なくとも100名以上の単願受験者を見てきたが、不合格者は1人もいない。


後者は例えば早稲田実業や青山学院高等部。
推薦入試の出願基準を満たしていても、試験の結果で不合格になる可能性がある。
入試当日の出来不出来で合否が決まる。ある意味フェアな試験といえよう。

下の表を見てもらいたい。
青山学院高等部の3年間の推薦入試結果である。
男子は2倍、女子は3倍の高倍率。推薦入試であっても合格者より不合格者の方が多いのだ。
大学合格者の厳格化が、こういう大学附属高校入試の難化に影響しているのが数値からも分かろう。
19919aj.png

こちらの推薦入試は「どうしても行きたい高校への受験チャンスが1回増える」と考えればいい。

2.併願優遇を持って一般入試で合格する
試験日はたいてい2/10~2/12。2/10が最も多い。
なお併願優遇は、入試の形式というより「一般入試を受ける際に持っている特権」と思えばいい。

推薦入試と同様、事前相談の際に「確約」をもらった上で受験する。
「確約」をもらえば、よっぽどのことがない限り落ちることはない。
受験日に遅刻するとか、テスト0点とか、面接で志望動機が言えないとかだ。

併願優遇の「確約」をもらうには

①各高校の出している”併願優遇の内申基準”に達している
②中学校の担任に併願優遇を受けることを伝える
③12/15以降、中学校の担任が私立高校と相談をし、事実上の合格が決まる
④2/10以降、形だけの入試を受け、合格をもらう

④の試験の出来がいい場合、特待生として合格をもらうこともある。
おおむねテストで8割以上を取れば、入学金免除や施設費半額免除など、金銭的なメリットを受けられる。
特待制度などはあらかじめ聞けるので、狙える学力のある子は狙うべきだ。

入学金等の納入は都立高校の合格発表まで待ってくれる。願書を出す際に延納手続きし、だいたい都立の合格発表当日か翌日が締め切りである。

併願優遇を2校受けることも理屈では可能だが、意味はない。
どちらか行きたいほう1校だけ受ければいい。

3.一般入試で合格する
併願優遇がない私立高校を受ける場合と、併願優遇の内申基準に達していないため一般入試として受ける場合がある。

併願優遇のない私立高校、例えば開成や早稲田高等学院などは、テストを受けその点数で合否が決まる。
全員が同じ条件での受験であり分かりやすい。

併願優遇をもらえなかった場合、一般入試を受けるしかない。

ただしこれは茨の道である。
併願優遇制度のある私立高校は、併願優遇を持っている受験生で定員を確保している。
併願優遇をもらえないような成績の低い子を進んで受け入れる私立高校は少ない。

合格できるのは「2次募集までしなければ、併願優遇でも生徒を集められないような私立高校」くらいである。

2019年度入試で2次募集をした私立高校の一部を紹介する。
女子校が多い。おそらく来年度も合格しやすいだろう。
正則学園
村田女子
蒲田女子
国本女子
駿台学園

なおこの5校、私の子が「行きたい」と言ったら全力で受験を阻止する。


◆併願優遇を実施する理由は「そうしなければ受験生が集まらないから」
もっと平たく言えば、受験生が「ぜひ通いたい!」と憧れるような高校なら、併願優遇などしなくても受験生が集まる。優秀な生徒を選別できるのである。
早慶・MARCH付属校で併願優遇を行っている高校は一つもない。

「併願優遇で入れる魅力的な私立高校」なんてない。探してもムダである。
だったら「他よりはいくぶんかマシ」な高校を探すべきだ。

都立に落ちて併願優遇の高校に行くことになったけど、行きたくない
そんな声は毎年出てくる。

ではそうならないよう、どうしたらいいのか。

◆併願優遇を使って、魅力的な私立高校に入る方法
最後のテーマがこれ。
都立が第一志望だが、滑り止めで合格も確保しておきたいという受験生は多いだろう。
というか、偏差値60以上の子なら全員ではないだろうか。

そんな受験生にお薦めの作戦が「3校受験」である。
具体的に学校名を入れて説明しよう。

第一志望 都立戸山高校 受験日2/21
第二志望 中大杉並高校 受験日2/10
第三希望 淑徳高校(スーパー特進コース) 受験日2/11
第一志望の戸山高校に不合格なら、第二志望の中央大学杉並高校に行きたい。
ただし中大杉並は併願優遇がないので、当日のでき次第で合否が決まる。
最悪のケースとして戸山と中大杉並の両方に落ちてしまったら、併願優遇の淑徳高校に行く。
という作戦である。

私立高校は併願優遇しか受けてはいけないという規則はない。
「他の私立高校は受けないでほしい」という併願優遇を出す私立高校もあるが、無視していい。
どの高校に受かったのかなど、他の高校に知られることはないからだ。
併願優遇をくれた私立高校に辞退の連絡する必要もない。入学金を払わなければいいだけ。第三希望の私立高校を併願優遇で受けること自体は可能だ。


キミの住まいが埼玉や千葉が近いのなら、受けられる高校はもっと増え「4校受験」や「5校受験」もできる。
埼玉と千葉は1月から入試スタートなので、2月の東京の試験の前にお試しでの受験も出来る。
立教池袋、慶應志木、渋谷教育学園幕張などは多くの上位生から人気がある。早稲田本庄は東京から遠すぎるので、通うのはムリだ。入試を受けるだけならいいけどね。

もちろん東京だけでも4校・5校受験は可能だ。
第一志望 都立新宿高校 受験日2/21
第二志望 青山学院高等部 受験日2/12
第三志望 中大杉並高校 受験日2/10
第四希望 中央大学高校 受験日2/11
第五希望 淑徳高校(スーパー特進コース) 受験日2/14

淑徳高校は受験日が2/11と2/14の2回あり、どちらを受けてもいい。
よって、2/10~12で他の私立高校をがっと受けてしまうのだ。1つでも受かれば淑徳へ入学することはなくなる。

ただし、第二~四志望のいずれかには、入学金等を納めておく必要がある。
30万円前後かかり、それは返金されない。これは親とも相談しておくべきだ。

併願優遇の合格で満足せず、せめて他に1校は実力で受けておきたい。
それが合格でも不合格でも、本命の都立高校入試に活かすことはできる。

次回は、東京での3校受験のお薦め高校を4つお伝えする。
そのうち2つは上記の中大杉並高校と中央大学高校だ。
期待されたい。


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