goo blog サービス終了のお知らせ 

Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

足音 その3

2020-11-13 22:48:25 | つぶやき

足音 その2より

 近ごろ仕事の現場では「不調」という単語が飛び交う。昔はあまり聞かなかった単語だが、今は当たり前のように聞く。「不調」とは正確には「入札不調」を言い、

入札で、応札者がいないため落札者が決まらないこと。予定価格の範囲内での応札がないため入札を終了させることをいう場合もある。不調。

[補説]応札者はいるが、入札価格が予定価格を上回り、落札者が決まらない場合は「不落」という。


ネット上の解説はこうである。

 世間では一般競争入札が当たり前になって、指名競争入札は談合や不正の温床になるということもあって、役所では前車が当たり前になっている。しかし、わたしのかかわる世界では、団体が発注することが多く、その活動範囲が限られるため、いまでも指名競争入札が一般的である。ようは、縁のある会社に仕事をやってもらいたい、という主旨だ。しかし、国庫補助があったりすると、入札指導としてお役所から一般競争入札を指導される。あるお客さんは10年近く前にお役所の指導で一般競争入札を取り入れた。1年に1件あるかないかの金額の大きな発注なので指導に応じたのだが、以後補助事業は一般競争入札で仕事をお願いしていた。ところが今年、まさに「不調」応札が全く無いのである。2度目の入札で指名競争入札をしたが、それでも指名した業者全てが「辞退」。理由はエリア内で大型の公共事業の発注が相次ぎ、施工業者が手一杯だというのだ。団体にとってはそこそこの発注額だったため、指名した業者も大きなところだった。施工期間もあって3度目の失敗は許されないと、やってくれそうな業者をお役所に照会してもらって何社か声を掛けた後、何社目かでようやく了解をもらえた。

 昨年来、災害の多発によって施工業者に人手がないという話は当たり前に聞こえていた。入札制度の敷居が高い県発注物件ではさらに不調が多いという。「災害が多かった」という理由をこじつけていたかもしれないが、そうではない。土建屋さんそのものも人手がなくなっているのだ。同じことはわが社でも言えることで、人手がない。退職後の人たちの手を借りないと、世間の仕事が処理できない状況が当たり前にある。加えてこの世では、汗水流す仕事を好まない。もはや生産分野の人手不足は常態化しているのである。定年退職したから年金で、という意図とは別に、世間から働き手がいなくなっている現在、定年を延ばすのは必然といえる。というか、業態別に定年を変えなくてはいけないのでは・・・。今は、まだ高齢者にかつての経験者の現役がいる。この人たちがいなくなるのもそう遠くない。日本国中の現場が悲鳴をあげているのに、こと「人材」問題に照射すると、世間の危機感は甘そうだ。そもそも人々の意識に、過去のルールは通用せず、年寄りはただ無言になるばかりだ。

続く


コメント    この記事についてブログを書く
« 「密」 | トップ | 足音 その4 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

つぶやき」カテゴリの最新記事