まい・だいありー・ばい・えむ ~都わすれ~

振り返れば、まんざらでもない日々をめざす雑記帳。

ばら寿司の思い出

2022-05-30 13:08:12 | 母のこと
母は、お寿司が好きだった。
握りも好きだったけど、ばら寿司が好きで良く作っていた。
私はすし酢を作る(火にかける)匂いが苦手で
「くさーい。くさーい」とよく文句を言った。

アナゴを焼く、付けるタレは甘辛さに拘りがあるようで、自家製。
干しシイタケを甘辛く煮あげる。
少し甘い薄焼き卵を焼き、錦糸卵にする。
きぬさやも色よくゆでる。
シソの葉も細く千切りに。

昆布を入れて炊いたご飯が炊きあがる。
私にうちわを渡して扇げという。
私は面倒くさそうにパタパタする。
母は、手際よく切るようにすし飯を作る。
すし飯が少し温かいうちに煮あがった
ごぼう、レンコン、人参、小エビをすし飯と混ぜる。
そして、彩りよく盛り付ける。完成。

「まーーーー、美味しいねーーーー♪」
母、おおいに自画自賛である(笑)

「もうちょっと食べよ♪」
パクパク食べる。

「よーたべるねー」と私が言うと
「大好きじゃけーねー♡」と母。


私は家を出て、自分の台所を持った。
母は、体調を崩すことが多くなり、なかなか自分でばら寿司を作れない。
よっしゃ、私がつくったる♪

レシピはないので、自分の味覚の記憶だけが頼り。

すし酢は自信がないので市販品。ミツカンさん有難う。
水、減らしたのに、ご飯がちょっと柔らかい^^;
あら?煮物がべちょっとしてる?煮過ぎ?
うわ、薄焼き卵が難しいわー、破れる!きれいに焼けたのは数枚
焼きあなご、まるまってしまうじゃんかー
しいたけは・・・・うん、これは美味しいぞ

お重など、こじゃれたものはない(笑)
タッパーに詰めて実家に。

「どしたん!教えもせんのに、ようできたねー
あんた・・・うちの子じゃね、錦糸卵、きれいなね、丁寧に作ってから・・・」

「美味しいよ、有難うね」

ほんとは、全然上手にできていないのに喜んでくれた。
褒められるような子じゃない、不良娘の私。
母の言葉はとても嬉しく照れ臭かった。

母は自分の母親を知らない。顔も知らない。
だから、もちろん母親が作ってくれた料理を食べたことがないし、
母親の味なども存在しない。
私は、母の味が沢山ある。とても有難いことだと思う。

介護が始まってからの私は、時間に追われて余裕が無かった。
でも、もっと母が、食べられるときに作って食べてもらえばよかったなと思う。
食べものが美味しいと食べることが嬉しい楽しいときに・・・もっと
段々と誤嚥をしてはいけないと、形状が変わり禁止のものも増えていき
食べることが嫌で辛いこととなっていってしまった・・・
本人辛いのに、生きていて欲しいから食べろと無理強いをする。ごめんね・・・

ふと・・・
あぁ、家に帰りたかったよね・・・ごめんね・・・といまだに思う。
入院しても老健に行っても9年間毎日行った。毎日行くことで場所が違うだけで
私とは毎日会えるよと言い訳にした。でも、家が良かったよね・・・
「あんた、帰るよね・・・」「また、明日会えるよ」「待つのは長いんよね・・・」
本当に限界だったのだろうか私は・・・もう少し私は頑張れたのではなかったのか・・・?
と涙が出る・・・

いけん、いけん お母ちゃんが心配する。
雨が降るから涙が出た。






コメント (10)
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