脇道の角から二店目の音楽の店へと折れ、クモは商店街の混雑に一歩していた。しばらくは右耳に曲の嵐。ジャズが後方に逃げ去る時、声の波がぐちゃぐちゃと左耳に凝る。「あらあっ」その波からよくとおる声が一個飛びだしてきたのだ。変声期前の少女の風に、
「おじさまあ」
ショウウインドウの前でたちふさがれたクモ、女は外人の女と見違えるくらいな女と見えるが、デパートの冷気に煽られて、胸で二つの大きな塊はいつもの暑苦しさがない。つまりクモにとって嫌味ではない女の胸なのだ、今日は姪は。
(つづく)
「おじさまあ」
ショウウインドウの前でたちふさがれたクモ、女は外人の女と見違えるくらいな女と見えるが、デパートの冷気に煽られて、胸で二つの大きな塊はいつもの暑苦しさがない。つまりクモにとって嫌味ではない女の胸なのだ、今日は姪は。
(つづく)
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