50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

男はもう耳を殺している・・・

2015-02-08 16:36:36 | 小説
男はもう耳を殺している。マンション街の女らには彼は、あの小僧らしい蜘蛛ですらなさそうだった。ビルの頂きに隠れて太陽が頭頂に、俯く顔を隠す男の頭頂に照る。まるで、『スパイダーマンだ』と子らに指さされても仕様がなさそうだった。気にかける者がそこにいたわけではなかったが、殺したはずの耳の隙に、
「言葉なんて便利なものよね。田舎を自然を本当は恋しい癖して」
と女の声が無理にながしこまれる。・・・・・・言葉を超える?! と思わせて耳から散って去っていく。太陽に頭頂を向ける男はこもる。

(つづく)


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