50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

どうだ・・・・・・むろん家に招待するわけにもいかない。

2015-08-17 19:53:59 | 小説
どうだ・・・・・・むろん家に招待するわけにもいかない。けれども、否いや裏切りになるとふと思って羞恥心に火がついた。
「皆飽きあきしている。そうじゃない?」

(つづく)

コーヒーを飲む気がしないように、・・・

2015-08-16 18:58:41 | 小説
コーヒーを飲む気がしないように、そこに伝言板がただあるもののようにしていた。時にある読む本の文字をただ追っている状態に似て、頭の中には若い理恵とテレビ画面の彼女とが入れかわり、立ちかわりして離れない。

(つづく)

「仕事の虫になるのも否だし。・・・

2015-08-15 18:21:07 | 小説
「仕事の虫になるのも否だし。結局宇礼市でやるしかないのはわかっているが、時に逃げだしたくなる。仕事にも倦怠期があるのかな。望月はどうだ」
どうだと言われても、幸男は訊き続けているそぶりをしている自分に、はっとして気がついたばかり。

(つづく)

「歳に相応しい話題、これが難しいんだよ。・・・

2015-08-14 20:44:48 | 小説
「歳に相応しい話題、これが難しいんだよ。特に女のこと。職場の女は強くなっているだろう、ヘタなこと言ってみろ、放りだされてしまう。ぼくの女嫌いも無理もないだろう?」
と彼は言った。幸男は黙々聞き続けている。

(つづく)

幸男は昔から優柔不断な男と彼に見られている。・・・

2015-08-13 22:45:41 | 小説
幸男は昔から優柔不断な男と彼に見られている。伝言板には退屈な日の暇つぶしくらいにされている。店内は他に一人、二人ぽつりと客がいるばかりだ。幸男は格好のカモにされているのを知っていて、自分でも情けないほど席を蹴って立てない。彼の多弁癖に流される外ない。

(つづく)