海月美紗のおでかけ日記

おでかけ大好きです
見つけた小さな“happy”を記録していきます

12月15日(日)福島県南の狛犬めぐり Ⅴ

2024年12月18日 | 観光名所

令和6年度 第1回石川町歴史民族史旅館企画展、少し前に新聞で記事を見つけ、必見だと思っていた!

石川郡浅川町福貴作(ふきざく)では「福貴作石」と呼ばれるきめが細かく細工しやすいと同時に摩耗しにくいという良質な石が産出される。それに着目したのが、信州高遠藩出身の石工小松利平。利平の高度な技術は、小松寅吉、小林和平へと受け継がれ、三代にわたる天才的な石工によって数多くの作品が残されたという。

小松寅吉布孝(のぶたか)

弘化元年(1844)~大正4年(1915)現石川町山形の高原家の長男として生まれる。小松利平の弟子として丁稚奉公。慶応2年22歳の時、利平の長男彦蔵と養子縁組。

小林和平

明治14年(1881)~昭和41年(1966)現石川町沢井で生まれる。12~3歳で小松寅吉に弟子入りする。27歳で小林ナカと結婚し、独立する。3人の子どもを亡くした悲しみを、子獅子に託して彫ったといわれる。

灯籠頭頂部狛犬(実物)

大正2年頃に寅吉さんが制作したものらしい。底部にサク跡が残っていることから、狛犬は固定されずに灯籠の上部に置かれていたことが分かったという。落ちて当たり前、落ちないのがすごい!

石都々古和気神社御仮屋の狛犬(復元)

(上)は真下から、(下)は離れた場所から狛犬を見た感じ、微妙に印象が違う。(下)の方が真っ直ぐに目線が届いて迫力がある。和平さんは、この角度から見てほしくてこの狛犬を作った。

石川町沢田にある小林家に伝わる工具類

このツチやノミだけで、どうすると四角い石からあの狛犬たちが生まれるんだろう…

小林和平工房内の写真

この写真に写っている神馬は、中島村の羽黒神社の境内にいる、あの足の折れた馬ではないか…? という妹の推理。当たっていると思う。

会場に展示されている狛犬のパネル。これは、八槻都々古別神社の小松利平作(推定)の狛犬。ほかにも見覚えのある狛犬たちがたくさん!

まだ見ていない作品のパネルをチェック。上から、保土原神社(須賀川市)の飛翔獅子~和平、坂本観音(白河市東)の牝馬~寅吉、須賀川牡丹園の天宇受売命(あめのうずめのみこと)~寅吉、長徳寺(浅川町)の棟飾り~寅吉

小松寅吉・小林和平の主な作品。年代順に整理されていて非常に分かりやすい!

まだまだ見ていない作品はたくさん。次回の狛犬めぐりの計画を立てよう!

まだ新しい歴史民俗資料館の記念すべき第1回企画展! 館内には狛犬に関するパンフが置いてあり、狛犬のアクセサリーも販売している。

「石工」という職業が当時はそれほど地位の高いものではなく、周囲からの評価も十分ではなく、だからこそ寅吉さんも和平さんもプライドをかけて自分の技を磨いてきたんだということがよく分かった。

棚倉町の甘盛堂でお土産に買った「狛犬めぐり」の焼き菓子。狛犬の焼き印がかわいらしく、食べるとママドールみたいな味がして美味しい!

2日間の狛犬めぐりは楽しかったなぁと思い出しながら、コーヒータイム。次回の狛犬めぐりは、もう少し暖かくなって、でもヤブ蚊が発生しないうちに実行しよう!

 

 

 

 

 


12月15日(日)福島県南の狛犬めぐり Ⅳ

2024年12月18日 | 神社仏閣

狛犬めぐりもいよいよ終盤…

午後のテーマは「小林和平」!

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一色鐘鋳神社(東白川郡棚倉町)

御祭神:金山彦命(かなやまひこのかみ)

石工:小林和平

建立年:昭和9年(1934)

石川町の石都々古和気神社の飛翔獅子(昭和5年)、古殿町の古殿八幡神社の飛翔獅子(昭和7年)に続く、「和平の三大狛犬」

杉木立の中、ここだけが苔むしている…

でも、今日は空気が乾燥している。11月の時はひんやりと、しっとりとした空気だった。その時々で空気が変わり、狛犬の表情も変わる。

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王子八幡神社(石川郡石川町)

御祭神:品陀和気命(ほんだわけのみこと・応神天皇)

泉重左衛門の石像

石工:小林和平

建立年:昭和13年(1938)

重左衛門さんは庄屋さん、猫啼堰をつくり、この地域の水不足解消に貢献した人

石工:小林和平(遠藤秀一と合作)

建立年:昭和14年(1939)

遠藤秀一さんは和平さんの一番弟子。この狛犬は秀一さんとの合作で、あえて和平さんは自分の名前を刻まなかったのかも…ということ。和平さんの狛犬で銘がないのはこれだけ。

百段と少しある石段の途中には大きな岩がいくつも。このあたりの地盤は硬い岩なのかもしれない。

「落ちない神様」

不安定な岩の上にポンと置かれているだけなのに、大震災の震度五強でも落ちなかったという石の祠。

灯籠や石碑がたくさん納められ、石段もきれいに整備されていた。石段わきの樹木を伐採したあとにはたくさんの紫陽花が植えられていた。

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沢井八幡神社(石川郡石川町)

御祭神:品陀和気命

波乗り兎、手水鉢、狛犬、鳥居、灯籠、社殿、その後ろに小社、狐

波乗りうさぎ

石工:小林利平(推定)

建立年:天保14年(1843)

「天保14年8月15日癸卯(みずのとう)年 富村 角田定右衛門」 天保14年に生まれた我が子の健康を願って、おめでたい波乗り兎を仲秋の名月の日に奉納

折れてなくなった耳は、両耳ともピンと立っていたらしい。きっとこんなふう…

耳のある兎の写真は「のぼみ~日記」から引用

石工:小松利平(推定)

建立年:慶応元年(1865)

堂々としていて風格がある狛犬。玉を前足で持つチビッコのなんと愛らしいこと! 和平さん←寅吉さん←利平さん、原点がここに!

石の社殿

石工:小林和平

建立年:明治35年(1902)

当時の和平さんは21歳、修行中。師匠の寅吉さんは那須塩原へ長期出張中。和平さんは一人で石の社殿を彫り上げて銘を入れた…

石工:小林和平

建立年:昭和2年(1927)

尻尾の先が宝珠になっている「尾珠狐」

「猫」 

となりは鼠ではなくて「親子兎」、子兎が乳を飲んでいる。

隣の宝海寺(和平さんの菩提寺)の駐車場に停めて、けっこう急な石段を登る。「この神社には地区の人たちと一緒に来るんだ。神社にお米をお供えするんだよ」と妹。小山の向こうに広がる田園風景を背に、対の尾珠狐が笑ってる。

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赤羽八幡神社(石川郡石川町)

御祭神:品陀和気命

石工:小林和平

建立年:昭和22年(1947)

和平さんにしては珍しく蹲踞型の狛犬。終戦直後の昭和22年、台座に大きく「平和記念」と彫られている。

妹がそれを見て「あっ、和平って書いてある」と言ったが、それは決して間違いではない。家族愛の強い和平さん、この狛犬にはきっと「平和」への思いが込められている。

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川辺八幡神社(石川郡玉川村)

御祭神:品陀和気命

石工:野田平業

建立年:昭和17年(1942)

石工:小林和平

建立年:昭和36年(1961)

79歳のときの作品、和平さんの名前が刻まれた最後の狛犬

石工:味原勇

建立年:昭和30年(1955) 

相方の阿像が壊れてしまい、阿像ひとつだけが和平さんに制作依頼された

「さかさ杉」樹高は約36m。樹齢は約1000年? 枝が下向きに伸びている。

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「石川でも白河ラーメンが食べられるよ!」と連れられて「手打中華 餐」へ。店の外にまで行列ができているが、風もなくて暖かいので平気。醤油味のスープがあっさりしていて美味しいし、手打ち麺にはコシがある。チャーシューやメンマ、定番の具材がいい感じ。初めて食べた正統派の白河ラーメン、ごちそうさまでした!

「この辺は慣れてるから大丈夫!」と妹の案内で棚倉や石川を巡る。「毎年、この神社に初詣に来るよ」「このあたりは少し前に社川が氾濫して大変だったんだ」妹のコメントに頷きながら。地域をよく知っている人の話を聞くと、神社の歴史や人々の生活とのつながりが見えてきて非常におもしろい。一人じゃなくてよかった、二日間本当にありがとう!