松江城は、戦国の気風を伝える天守の城。
所在地:島根県松江市
別名:千鳥城
城地種類:平山城
築城年代:慶長16年(1611年)
築城者:堀尾吉晴(藩主は忠治)
主要城主:堀尾氏、京極氏、松平氏
天守の現状・形態:複合式望楼型、四重五階地下一階、木造(現存)
関ヶ原の戦いの論功行賞で堀尾吉晴が嫡子忠氏とともに入封して築城した城。
天守は山陰地方に現存するただ1つの天守。敵を欺くような石落とし、総桐の階段、井戸を設置するなど、天守内部での戦闘を想定した防御策がとられた実践的な天守。
主な遺構
天守、櫓群、本丸、二の丸、石垣、堀
馬溜跡から見る中櫓
大手門内から見る太鼓櫓
現存12天守のひとつ。平成27年(2015年)7月、国宝に再指定された。二重櫓の上に二重櫓を載せた四重五階の望楼型天守。手前は付櫓。下見板張の様式が古式を伝え、唐破風はなく、すべてが入母屋破風。90を超す鉄砲狭間や内部に井戸まで備えた戦闘的な天守。
鯱は木彫り銅板張り。左がやや大きく雄で鱗が荒く、右が雌。
最上階の五階は高欄を巡らし四方を360度展望できる望楼。
入母屋破風と蕪懸御魚。破風板も懸魚も塗り籠められていない古式。各層の屋根の隅々にある鬼瓦は、1枚ごとに異なった奇妙な表情をもつ。
三層の中央に花頭窓。
天守入口の防御を固くするためにとりつけた附櫓(つけやぐら)は、石落しと鉄砲狭間を備えている。
塗籠造り(白壁)は少なく、大部分が黒く厚い下見板張。黒い染料は湿気防止の柿渋やすす、漆を混ぜたもの。
天守台は高さ約7m。切り出されたときの矢穴が残る未加工の石を積み上げてある。
現存天守では唯一、天守内に井戸がある。かつては24mの深さがあったが、現在は半分が埋められている。
天守地階に昭和の修理の際におろされた古い鯱が展示されている。日本現存の木造鯱では最大。
包板(つつみいた)で覆って、鎹(かすがい)や鉄輪(かんなわ)で留められた柱。天守の柱308本のうち130本に施されている。
2階、石落とし
2~3階の階段に見られる通し柱。木材不足が原因。心柱を使わない2階分の短い通し柱を配置して天守を支えている。天守の柱308本のうち96本が通し柱。
格子窓。窓に太い格子を縦に取り付け、外から内部が見えにくくした。鉄砲を広角に撃てるように格子は♢型に取り付けられている。窓の外には突き上げ戸。
3階の南北張出部にある花頭窓。質実な造りの中で外観上のアクセント!
4階に至る階段の上り口。藩主用と小姓用の上り口が別々。
4階、梁の上から立ち上がる柱。柱と梁を逆T字に組み合わせ、短い柱を利用して建物の中心に荷重がかからないように工夫。
1~4階の階段には防火・防腐のために桐材を使用。4階から5階への階段は栗材を多用。
天守最上階から南の方向に見える宍道湖
「ぐるっと松江 堀川めぐり」大手前乗船場
松江城を囲む約3.7kmのお堀を屋根付きの小船で巡ることができる「堀川めぐり」、所要時間は約50分。地上では見ることができない水上の風景がゆったりと広がって、感動的!
松江城内に植えられた木々の中を静かに進む。木漏れ日がさして、水鳥や亀たちの姿もすぐそこに…
幽霊のレリーフ! 小泉八雲の記念館や旧居が近くにある。お堀脇にきれいな花が植えられていて風情たっぷり!
遊覧船の航路には17の橋がかかっている。低い橋の下を通るときは船の屋根がぐっと下がり、体をかがめてくぐり抜ける。橋と船がぶつからないかとドキドキわくわく…
お堀の向こうに小さく天守が見え、だんだん近づいてくる。水上から見上げる天守は、地上から見るのとは一味違って、また格別!
松江城は昭和10年に国宝の指定を受けたが、昭和25年に重文に格下げ、平成27年に再度国宝に指定された。松江神社から「棟板」が発見されて、慶長16年の天守完成が証明されたから。
松江市は今もなお「大手門」を復元するための資料を探しているという。懸賞金額は500万円。
松江城は美しく質実剛健。そして、2度国宝に指定されたという奥深い歴史がまた魅力的…
もう一度、天守の木造の雰囲気を味わいたいなぁ… 途中下車しながら堀川めぐりをしたいなぁ…
2014.8.18/2019.4.28