三島由紀夫が阿部譲二をモデルに書いた最晩年の恋愛小説です。角川文庫で復刻され読んでみた。女性週刊誌”女性セブン”に連載された。盾の会の資金が不足して、週間なのに全部書き上げて原稿を渡していたそうです。阿部譲二がモデルと言うことが頭にあるので主人公がどんなにハンサムでもピンと来ない。三島由紀夫らしい鋭さがなくだらだらと話が進み、もう止めようと思いながら読んだ。しかし最後はあっとすべてが理解できた結末、この最終の数頁が三島由紀夫らしいと思った。自衛隊での割腹自殺をする前日、阿部譲二に電話があり銀座のバーの「ボトルはみんな君にあげる」と言ったそうです。何時も思うが、類まれな才能を持ちながら”文”が”武”へいってしまった…残念でなりません。