昨日の朝、2週間ぶりに走った。
慣らしで軽く5㎞ぐらいのつもりだったが、けっきょく8㎞ちょっと走っていい汗をかいた。
千住新橋の下には、背中を丸めた寒そうな男たちが集まっていて、神様の施しを待っていた。
あの人たちは、どこで神様の情報を得ているんだろう?
インターネットで神様の情報を得たオヤジは、シャワーを浴びてサッパリして銀座へ出た。
日劇で「リドリー・スコット」の「エクソダス 神と王」を観るために。
2012年8月に自殺した弟「トニー・スコット」に捧げられた「エクソダス 神と王」だが、ようはモーゼの「十戒」のお話しで、オヤジたち世代は「チャールトン・へストン」の70ミリ総天然色大スペクタクル映画を観ているので、何を今さらという感じもあったが、あの「エイリアン」の「リドリースコット」が監督だからという理由で観た。
だが「クリスチャン・ベイル」演じるモーゼはジェネラルと呼ばれ、悩んでばかりいて子供の姿に窶した神に文句ばかり垂れる。
そりゃ悪名高き「全米ライフル協会」の「チャールトン・ヘストン」にくらべりゃ弱っちく見えちゃうのはしょうがないが、なんだかフツーだ。
それにエジプト王「ラムセス」は昔は「ユル・ブリンナー」だったからもっと強そうに見えたけど、今の役者はなんだかオカマっぽくて権威がない。
「旧約聖書」の「出エジプト記」をちゃんと読んでいないからたしかなことはわからないけれど、この映画の大スペクタクルを期待したらそれは肩すかしを食う。
「セシル・B・デミル」監督「チャールトン・ヘストン」版の「十戒」のリアル「モーゼ」物語といったところだが、どうしちゃったんだろう「リドリー・スコット」は
弟が亡くなって宗教心に目覚めちゃったんだろうか そういや「プロメテウス」のときもなんか怪しいニオイがあったもんなぁ・・・。
紅海がウシャーッと割れてヘブライ人たちは逃げ、エジプト軍は海の藻くずとなるハイライトもリアル版は後味が悪い、なんたって3月11日なんだから・・・。
そしてシナイ山に籠ってモーゼがコツコツと「十戒」を掘るのは、なんだか切ない。
この「十戒」を掘るのにモーゼは何回シナイ山に登ったんだろう ?
たぶん「10回」だ・・・。
・・・、んで、稲光がガーッとしてバチンッ !! と石盤に文字が削られた方がもうスッキリするんだけどなぁ。
というわけで、続いておとなりの丸の内ピカデリーで「アメリカン・スナイパー」。
キップ売り場のおねえさんからまたしても
「そのお席ですと見上げる感じになりますが」
と言われるが、なんか問題でもあるのかい !! あんたが産まれる前から日劇に通っているオヤジの好みなんだからいいだろうに。
それにピカデリーのスクリーンなんざ、それほどデカくねえや。
こちとらシネラマ世代だぜ
というような顔はおくびにも出さずに、劇場へ。
久しぶりにドルビーのコマーシャルを観た。
7.1chだもんなぁ、そりゃかぶりつきで観た方がいいに決まってるじゃん。
「クリント・イースドウッド」は好きだけど、この映画「アメリカン・スナイパー」ってタイトルを「アメリカン・ナショナリスト」ってしたっていいんじゃないかい。
大方の下馬評は見るべき映画だの80歳を過ぎた監督の力量だのと、高評価ではあるが、70年前の3月10日にナパーム弾で丸焼きにされた非戦闘員の東京都民の息子としては、この映画を観て素直に受け入れがたいという感じだ。
劇映画としてはそんなに面白く、なかった。
同じ題材の劇映画なら「スターリングラード」があるし、「ランボー」なんてまさに「アメリカン・ナショナリスト」だし。
戦争映画というジャンルの中に「戦争トラウマ」物というカテゴリーを作ったとしたら、それこそ掃いて捨てるほどそんな映画があるのがアメリカという国だ。
まあ実在の「レジェンド」を上手いこと描いてくれたとアメリカ人は手ばなしなんだろうが、屈折した日本の「戦争を知らない子供たち」はそう単純ではない。
ただ、エンドロールが流れる画面にジャンジャン音楽が流れずに、まったく無音で文字列が下から上へ流れるという演出はさすが「クリント・イーストウッド」の敬意でもあり矜持でもあるのだろう。
「クリント・イーストウッド」以外に誰が出来るだろう、こんな大胆な演出を。
エンドロールが流れるラストにとっとと劇場を出て行ってしまった連中が、何も感じもせずに「いい」「いいっ」って喧伝するのだろう、馬鹿めが。
でもね、後生大事に24時間持っている携帯やスマホの電源を切り、赤の他人と共に2時間ほどの時間を暗闇で同じ画面を見つめているという異常な状況は、映画館という空間しかないのだ。
いいも悪いもお金を払った人の素敵な判断サ。
いいんでないの。
ということで、さあ、ちゃんと昼も食べずにコーヒー2杯で2本の映画をハシゴして、ノドも腹もカラカラさぁ。
横浜方面の古の悪魔と待ち合わせの銀座七丁目の日本最古のビアホール「ライオン」へ急ぐ。
律義に時間前にハチ公のように玄関前に佇む往年の悪魔に声をかけ、いざ店内へ。
いい席に通され、落ち着くなりサッポロの生をふたつオーダー、いろんな意味で乾いた砂漠に水を垂らすようにグビグビ⁉️
ここには熟練のビアマイスターが常駐しているから、生ビールは確かなものなのだ。
いっぱい飲んで乾きを少し潤した頃に、ビルの階上にあるドイツの歌声ビアホールみたいな店に演ている皆さんが、「東日本大震災」の歌声支援でシャンシャン手拍子の歌声を披露してくれた。
歌いながら各テーブルをまわってくれるお姉さんと乾杯をして、いやがうえにもビールがすすむ。
つい先ほど観た映画やら何やら、多くを説明しなくてもわかってくれる古の悪魔はありがたい。
僕たちは昭和の良い子だ !!
すっかりいい気分。
だが、時間はジジイ達には非情だから、いい気分のままお別れサ。
ありがとう、古の悪魔、またビールが飲めるカラダで会おうぞ。
10時ごろに銀座を離れ、千住へ。
今夜の仕上げはウイスキーと決めていたから、迷わず最近お気に入りのBAR「二月屋」さんへ。
「マヤさん」にメールを入れ、最初のウイスキーの一杯をオーダーしたところへ「マヤさん」登場、ふたりで乾杯。
そしておじゃま虫の「ホリちゃん」もカウンターにつき、またまた三人で乾杯。
ちょっと前にペロッと読んだ「村上春樹」の「もし僕のことばがウイスキーだったら」に少なからず影響されて、今宵ははアイラモルトとアイリッシュなのだ。
いいねぇ、融通の利くBARがあるってことは。
ワシはBARのカウンターで燃え尽きても悔いはない。
なんてぇ心持ちだから、ついつい午前様で午前2時。
摂生のふた文字なんてどこ吹く風サ。
嗚呼また劇場に浸りたいし、美味い生ビールとウイスキーも飲みたい。
だから、走っちゃおう 明日に向かって走れ、サ。
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