お好み夜話-Ver2

34年目の夢

寝床から起きてきたオヤジの面を見て、最近のかあちゃんの第一声は、

「落武者のお目覚めだ」

である。

失礼な

伸びきった髪の毛がざんばらばらばらで、戦い敗れた落武者のようだというのだ。


「auちゃん」や妹の「ヒヨちゃん」から“オジジ”と呼ばれるのはイヤではないし、「マミちゃん」から“何の取り柄も将来性もない”に“クソおやぢ”を加えて呼ばれても平気だが、朝一の「落武者」呼ばわりはカチンとくる。

34年前に六本木ではじめてパーマをかけたときは、まだまだふさふさと毛があったのだ

今回34年ぶりぐらいに当時と同じくらいに髪の毛を伸ばして、その落差があまりにも大きかったとは我ながら思うのだが・・・・。


34年前といえば、NASAの無人惑星探査機「ボイジャー1号」が打ち上げられた年だ。

現在もさまざまなデータを送信しながら宇宙空間を飛び続けており、距離にして太陽から176億4千万キロ離れたところを、時速6万1千キロで飛行中だという。

その「ボイジャー1号」が、間もなく太陽系を脱出するというニュースを新聞で読んだ。

人の作った機械が、はじめて太陽系の外へ飛び出すのだから、こりゃすごいことだ

しかし、34年前にそれだけの科学力がありながら、少年時代に夢想した21世紀とは程遠い、ガレキの処理さえできない現実を見ることになろうとは思いもしなかった。

街にはエアカーも走っていないし、人工知能を備えたロボットが行き交うこともなく、原子力がバラ色の未来を築くこともなかった・・・・


現実は切なく儚く、おやぢの将来性だけでなく、国や世界の未来も危ういことを憂いても詮無いことだから、34年前の希望を載せて飛び続ける「ボイジャー」に夢を馳せ、今宵は「スタートレック」の映画第1作に浸ろう。

もう6、7回は劇場でもビデオでもDVDでも観ているが、「ボイジャー」のニュースを知った今夜はまた格別だ。

この映画、なんせ監督が「ロバート・ワイズ」ですよ、アナタ。

「ウエスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」の名匠のSFドラマですもの、重厚にして含蓄がある。

CGなどまだまだの時代に、SFXの巨匠「ダグラス・トランブル」(2001年宇宙の旅、未知との遭遇、ブレードランナー)と「ジョン・ダイクストラ」(スター・ウォーズ、宇宙空母ギャラクチカ)の特殊撮影はいま見ても見劣りしない。

オヤジの数少ない自慢のひとつは、お勤め人時代に「ダグラス・トランブル」さんと名刺交換して、対面で打ち合わせをしたことだ。



でもって、お馴染みの「カーク船長」(本編では提督に昇進)と相棒の「Mr.スポック」や「Dr.マッコイ」、U・S・Sエンタープライズ号のクルーの面々の活躍。

「オヤジ炭素ユニット」の論理的思考回路は、いつの日かこの物語が現実性を帯び、遙かな深宇宙から「ヴィジャー」が飛来するのではないかと考える。

だがその時はすでに「オヤジ炭素ユニット」は落ち武者を通り越してこの世に亡く、愚かなる人類の右往左往を千の風になって傍観しているのである。


「auちゃん」や「ヒヨちゃん」の孫の孫の時代、有人宇宙船が銀河を飛び交っているのだろうか

好奇心旺盛で型破りな「ジェームズ・T・カーク」は現れるのだろうか

THE HUMAN
ADVENTURE IS JUST BEGINNING





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