プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< ゴジラ >

2025年02月25日 | テレビで見た映画。
わたしは「ゴジラ」を誤解していた。

「ゴジラ ー1.0」を録画したので、その次の週にやった「ゴジラ」も録画したのよ。
しかしわたしはこれも派生作品だと思っていた。いっぱいあるでしょう。
そしたら、昭和29年製作のファーストゴジラでしたー!見始めて気づいた。

昭和29年の日本映画は見なくていいよね?と見ずに消そうとしていた。
しかしまあ、見るだけ見てもいいじゃないかと思い直し。
つまらなければその時点で止めればいいんだし。

そして最初に戻る。――わたしは「ゴジラ」を誤解していた。


「ゴジラ」って、子供向けの特撮映画だと思っていたんですよ。ウルトラマンのような。
そしたら全然違いました。大人向けの映画でした。
そして特撮映画ではなかった。いや、特撮ではあるんだけど、SF映画でした。

まー金も時間も手間もかけて撮っていらっしゃる!驚愕した。
これが昭和29年に作れたのってすごくないですか?
こてんこてんにやられた敗戦後、まだ9年ですよ?
食うや食わずの時期が、少なくても数年は続いた後でしょう。
この頃に映画にこんなに力をつぎ込む……。映画界は情熱があった。

話はごくゆっくり。なかなか進まないのでテンポが悪いと思う人もいるかもしれないが。
でもこんなに丁寧に撮ってくれてるとね。
テンポが悪いではなくて、じっくり描いていると感じる。

大量のエキストラ。細かい場面割。現代だったらたとえば3シーンで表現するだろうところ、
体感では倍以上かけてセットもたっぷり作って撮っている。すごく贅沢に感じる。

序盤の荒廃した島のセットとかも作ったんでしょう?
CGでごまかせたりしない時代。CGはCGでお金かかるんだろうけど、
リアルで壊れた家や石だらけの荒廃した島の風景を作る労力たるや。
ずーっと「うわ、これも作るんだ」「ここまで撮るんだ」と感心していた。

子供だましだろうと決めつけていたゴジラも、想像よりずっときれいだった。
闇夜に浮かぶ姿に照明を当てて、チープさが出ないようにしていた。
終盤、どう見ても人型だなー、人間が入ってるなーという場面はあったけど。
あの海にかかった大きな橋を破壊するところなんかはね。
でもそもそもの予想が「ウルトラマン」あたりの特撮感だったから、だいぶ凝ってました。
すばらしい。

昭和29年の風俗も楽しめましたしね。
「お父さま」が普通に使われていた時代。女性はたおやか。
女性議員と男性議員の口喧嘩も面白く、ゴジラに襲われて死んでしまうアナウンサーの
表現も時代が感じられて面白かった。当時のアナウンサーは誇りを持っていたんだなあと。

ゴジラが東京を火の海にした場面も、あれミニチュアを燃やしたんでしょう?
けっこうな量でしたよ。想像の3倍くらいの量。美術班、本当にお手柄。
まあちゃちっぽさが出ているシーンもなきしもあらずだが、それは昭和29年だもん、
仕方ない。車や電車のクラッシュはミニカーでやるしかないでしょう。

役者の区別はあんまりつかなかったが、それは許してもらおう。
ヒーローとヒロインとその父とその許嫁がわかっていればいいでしょう。
宝田明はかなりおじいさんになってからしか見たことがないので、若い頃を見ても
全然わからなかった。


いや、いいもん見せてもらいました。頭が下がる。
この初号機があって、後世の数々のゴジラに繋がっているんだなあ。
それを知っていて見るのと知らずに見るのとでは見方がだいぶ変わりそうだ。

だからといってつまらない映画が面白くなったりはしないが(「シン・ゴジラ」とかね)
でもあれだって子供向けと思っていたからこそ、作りが疑問だったが、
初号機からの流れを汲めば、肩書をやたらと並べる大人向けである必然性はあるし。

まあとにかく驚いた。当時の映画人の情熱と志を感じた作品でした。

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