プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 平山優「武田三代」

2023年06月16日 | ◇読んだ本の感想。
違うんだ、平山優!

「真田丸」での真田昌幸を含んだ国衆と信玄の関係性、
それと平岳大の武田勝頼の演技が心に残ったので、おそらくその頃に
武田氏関連本をさらっと漁ろうと課題図書にリストアップした。
……え?真田丸、もう7年も前ですか?早いなあ。

リストアップした後、ようやく読む順番が回って来て、今回読んでみたのだが……。
違う、違うんだ平山優!

まあこの厚さはぎりぎり良しとしよう。新書で400ページ強は書きすぎだと思うが、
何せタイトルは「武田三代」。100年近いことのはずで、まあそれは長くなるわ。
――が、こんなにずらずらと書いてはいかんのだ!

新書で読みたいのは専門的な内容ではなく、素人向けの入門書なんだからさ。
まーとにかく羅列がすごい。すごいというかヒドイ。
読み始めて永遠に「誰が・いつ・どこで・何を」が続く(それしか書いてない)のが
だんだん苦痛になっていく。

苦痛の度合いが高まって来たので、
固有名詞(人名・地名)と年月日がどのくらいの頻度で出て来るか数えてみたところ、
少ないページで30強、多いページでは50くらい、――新書の1ページで
こんなに詰め込んでは、もうそれはほんとに羅列でしかないんだ!

年表を読んでいた方がはるかにスペースの節約になるだろうと思うくらい。
年表を文章にしたところで読みやすくなるわけでは全然ないし、
エピソードではないから全く頭に入らない。

それでも武田氏についてよく知っている人なら、それなりに楽しめるかもしれないが、
武田家臣の名前を数人知っているだけのわたしでは全然。

何しろ武田の話だから、武田何とかという人がたくさん出て来るし、
小山田何とかも複数、穴山何とかも複数、その他に何とかの何とかが大量に出てくる上に、

最初の頃は武田と北条と長尾→上杉が延々と戦をしたり和睦したり
同盟したり同盟破棄したり工作したり工作されたり、各家の家臣を含めて
ひたすらなんだかんだするのを羅列しており、
さらに時代が下がるとそれに織田と徳川(と足利将軍家・管領家・浅井・朝倉)の
家中も加わって、……もうあかんやないか。

これが信玄が死ぬまで、本でいえばだいたい250ページまで続きます。
もう相当前にうんざりしており、途中で止める気満々だった。
止めなかったのは単に昼ご飯を食べていて、他に本を持って来なかった理由による。


だが――信玄が死んでから、勝頼の部分はけっこう面白かったんですよね。
羅列はあるけれどもだいぶ減じ、エピソードが描かれるようになってくる。

まあだからといってそんなに内容は頭に入ってこないわけだが。
武田氏の最大領土は勝頼の代だというのに驚いたし、信玄の死から勝頼の死まで
9年?もあったのも意外だった。信玄の死から武田氏はガタガタとあっという間に
崩れたというイメージがあったから。

平山優は武田氏が専門だと思っていたけど、この書き方ならむしろ
武田勝頼が専門なんだろうな。すごく力を入れて書いてた感じ。
実は勝頼の死の部分なんか泣いたもんね。IKEAのレストランで涙をぬぐいつつ
本を読む女。だいぶあやしい。

これならむしろ武田勝頼についてだけ書いて欲しかったよ。
まあそういうのも書いてるんだろうが。

この本がわたしの平山優の1冊目だったのは若干不幸な出会いだったんだろうなー。
今後武田氏については何冊か読んでみるつもりでいるので、平山優の著作も
いくつかピックアップしている。最初読んだあれだけはいまいちだったけど……
になることを祈る。

この人、もう60歳近いんですか!?40半ばくらいかと思っていたよ!
「英雄たちの選択」でよく見るけれども。若く見えるわ。
正直、これが今回一番びっくりした。


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