面白かった。見るの疲れたけど。
見るの疲れたのは、画面の切り替わりが激しかったから。
わたしとしては切り替えを2分の1くらいに減らして欲しかったが……
でも切り替えがこの映画の肝の一つだろうから、そこは変えられないところだろう。
わたしは普段企業ものは見ないが(ギスギスするのイヤですからね)、
これは予告編で見た時、コミカル要素が多そうなので見たくなった。
大泉洋が主役だし、周りの俳優もけっこう気になる。
てっきり出版社同士の争いだと思ったら出版社内の派閥争い、お家騒動の話。
いや、これはけっこうやりきれない話ですよ。出版社同士なら単純な
敵と味方でいいけれども、同じ出版社内だと外に対しては心ならずも
団結して見せなければならない部分もある。事態はより複雑。
そこでの足の引っ張り合いがねえ。面白かったし、痛ましかった。
同じ会社なんだから、もう少し協力しろよといいたくなる。
ここ数十年言われ続けている出版不況、それを会社ぐるみでのりきって
行かなきゃいけないんじゃないか。
でも一枚岩ではいかないことが現実ですよ。むしろ内部の権力争いの方が
はるかに憎悪が強いかもしれない。骨肉の争い。
もう少し、文芸側にアドバンテージが欲しかった。文芸側が相当悪役側に
描かれている気がしたから。あれでは権威主義で頑迷としか見えないけど、
文芸に対する愛はちゃんとあると思うし、そこは愛情をこめて描いて欲しかった部分。
単に赤字、売れない、というだけで断罪されるのは切ない。
あのどんでん返しは見事。あれはすっぱりとやられた。
当然ぶっちゃけるとは思ったけど、全く思っても見ないことを言われて愕然。
そうやって騙される、騙された!と思えるのは快感。
だが、あそこのどんでん返しが見事だっただけに収束部はちょっと物足りなかった。
あの人の失墜はあんな3人だけの場ではなくて、せめて役員会議くらいの
物々しさがないとバランスが取れないんじゃないかなあ。
でもまあ役員会議は何度かありましたからね。あまり出すとマンネリになるけど。
最後の大泉洋は、わたしの好みからすれば感情を出しすぎ。
ニヤリとして終わってくれた方が余韻があったと思う。
本屋さんの話は良かったですねえ。見る前日に、昔の小規模本屋について
たまたま思いを致したところだったから、共時性だったなー。
あの2人が親子だというのは、普通に考えてそうなんだけど、
どんでん返しがあるか?と構えてしまっていたから、
早い段階で「お父さん」と呼ばせておいてほしかった。念のために。
小学生は、もしあれば今でも町の本屋にたむろするだろうか。
家で任天堂switchをやるのに、あるいは習い事や塾に行くのに忙しくて、
本屋で立ち読みするひまはないのではないか。
しかし本屋を改装するお金なんてどこから出たんでしょうね?
ラストについてはわたしは全体的に納得出来ていない。
※※※※※※※※※※※※
役者が良かった。
大泉洋は何をやらせてもいい。というほどたくさんは見ていない。
でも映画はけっこう見てる方だな。あくまでも当社比だが。
今回の、つかみどころのない役柄にぴったりだった。あそこまではまる人も少ない。
いいねえ、軽さ、面白さ、腹の知れなさ。
松岡茉優。わたしはこないだの「おカネの切れ目が恋のはじまり」で初めて知ったが、
あのドラマでなかなかいいと思ったんだよね。
今回見て(脚本のキャラクター設定的には不満があるものの)、かなり良かった。
この役は出番も多いし、ここがしっかりしてなかったら全然話にもならないが、
演技的にちゃんとしていた。満足。
けっこういい女優になるかもしれない。もういい女優なのかもしれないが。
「万引き家族」(ずっと前に録画してあるがまだ見てない)と
「蜜蜂と遠雷」はいずれ見たい。
塚本晋也。……わたしは山本晋也と塚本晋也を混同していたことにたった今気づいた。
なんでこの名前で「本晋也」が被るんだ。そうはない名前でしょ。
なので、「え、これ塚本晋也?(山本晋也を思い浮かべながら)」と思っていた。
こんないい演技が出来る人には見えなかった(山本晋也を思い浮かべながら)。
メガネを取ると雰囲気が変わるんだなあ。
……そうしたら別の人でした。
いい演技でしたよ。出版社関連のドロドロとはまったく別の世界を作っていて。
ここは同じ世界のものとは思えないところが大事。
池田エライザは「名探偵で建築を」でついこないだ初めて見たが、
今回も独特の雰囲気をまとっていてワンポイントで効いていると思った。
モデルの経験が大変活きているね。空気をまとう術を知っている人。
今後もちょっと楽しみにしている。
宮沢氷魚は初。この役には合ってたね。
齋藤工は点景。好きだからもうちょっと見たかった。贅沢な使い方だったけどね。
中村倫也は……最近ずーっと似たような役柄ばかり見ているので食傷。
すごくいい役者で好きだけど、これだけ続いちゃうとなあ。
今回は特に面白い役柄ではなかった。というか、この人のこの役が
面白く描けたなら、収束部にも不満は持たなかったと思う。
名前がそれぞれわからないんだけど、トリニティの編集部員たちが面白かった。
三人三様。ここのキャスティングは上手かったね。
木村佳乃は良かった。良かったが、首の細さが気になっちゃって。
痩せすぎているから年齢を感じるなー。今回首が目立つ服ばっかり着てたけど、
映画的な必然性がないなら首を隠せる衣装を着せてあげて欲しかった。
そうすれば憐れさを感じなかったと思う。感じさせたかったのなら成功している。
小林聡美は適役。相変わらず面白くて見てて楽しい。
嫌味になりそうでならないところも絶妙。
国村隼は久々に見られて楽しかった。安定と信頼。
だが映画的には前半だけの出なので、これで最後国村隼も絡められたら厚くなった。
佐藤浩市はいつもの、でマンネリを感じる。
ここ数年、脂が落ちて面白くなったかなあと思っていたが。
※※※※※※※※※※※※
ものすごく不満、というわけではないけど、収束が弱いよなー。
Amazonと世界初の新しい提携って言ってはいるけど、全然ふわっとしていて
現実感がまるでない。いい加減な感じがする。
最大のネックは、そんな大きな提携なら社長の頭越しに決まるわけないんだよなー。
創業家の御曹司はともかく、会社組織である以上社長が全く知らないってあり得ない。
そして本屋改装費用もさー。ずいぶん急に大きくてしゃれた建物が建つじゃない?
一体どこからそんなお金が……。
そういうところだよ。しっかり話を作って欲しいのは。
しかし全体的にはかなり面白い映画でした。見て良かった。
見るの疲れたのは、画面の切り替わりが激しかったから。
わたしとしては切り替えを2分の1くらいに減らして欲しかったが……
でも切り替えがこの映画の肝の一つだろうから、そこは変えられないところだろう。
わたしは普段企業ものは見ないが(ギスギスするのイヤですからね)、
これは予告編で見た時、コミカル要素が多そうなので見たくなった。
大泉洋が主役だし、周りの俳優もけっこう気になる。
てっきり出版社同士の争いだと思ったら出版社内の派閥争い、お家騒動の話。
いや、これはけっこうやりきれない話ですよ。出版社同士なら単純な
敵と味方でいいけれども、同じ出版社内だと外に対しては心ならずも
団結して見せなければならない部分もある。事態はより複雑。
そこでの足の引っ張り合いがねえ。面白かったし、痛ましかった。
同じ会社なんだから、もう少し協力しろよといいたくなる。
ここ数十年言われ続けている出版不況、それを会社ぐるみでのりきって
行かなきゃいけないんじゃないか。
でも一枚岩ではいかないことが現実ですよ。むしろ内部の権力争いの方が
はるかに憎悪が強いかもしれない。骨肉の争い。
もう少し、文芸側にアドバンテージが欲しかった。文芸側が相当悪役側に
描かれている気がしたから。あれでは権威主義で頑迷としか見えないけど、
文芸に対する愛はちゃんとあると思うし、そこは愛情をこめて描いて欲しかった部分。
単に赤字、売れない、というだけで断罪されるのは切ない。
あのどんでん返しは見事。あれはすっぱりとやられた。
当然ぶっちゃけるとは思ったけど、全く思っても見ないことを言われて愕然。
そうやって騙される、騙された!と思えるのは快感。
だが、あそこのどんでん返しが見事だっただけに収束部はちょっと物足りなかった。
あの人の失墜はあんな3人だけの場ではなくて、せめて役員会議くらいの
物々しさがないとバランスが取れないんじゃないかなあ。
でもまあ役員会議は何度かありましたからね。あまり出すとマンネリになるけど。
最後の大泉洋は、わたしの好みからすれば感情を出しすぎ。
ニヤリとして終わってくれた方が余韻があったと思う。
本屋さんの話は良かったですねえ。見る前日に、昔の小規模本屋について
たまたま思いを致したところだったから、共時性だったなー。
あの2人が親子だというのは、普通に考えてそうなんだけど、
どんでん返しがあるか?と構えてしまっていたから、
早い段階で「お父さん」と呼ばせておいてほしかった。念のために。
小学生は、もしあれば今でも町の本屋にたむろするだろうか。
家で任天堂switchをやるのに、あるいは習い事や塾に行くのに忙しくて、
本屋で立ち読みするひまはないのではないか。
しかし本屋を改装するお金なんてどこから出たんでしょうね?
ラストについてはわたしは全体的に納得出来ていない。
※※※※※※※※※※※※
役者が良かった。
大泉洋は何をやらせてもいい。というほどたくさんは見ていない。
でも映画はけっこう見てる方だな。あくまでも当社比だが。
今回の、つかみどころのない役柄にぴったりだった。あそこまではまる人も少ない。
いいねえ、軽さ、面白さ、腹の知れなさ。
松岡茉優。わたしはこないだの「おカネの切れ目が恋のはじまり」で初めて知ったが、
あのドラマでなかなかいいと思ったんだよね。
今回見て(脚本のキャラクター設定的には不満があるものの)、かなり良かった。
この役は出番も多いし、ここがしっかりしてなかったら全然話にもならないが、
演技的にちゃんとしていた。満足。
けっこういい女優になるかもしれない。もういい女優なのかもしれないが。
「万引き家族」(ずっと前に録画してあるがまだ見てない)と
「蜜蜂と遠雷」はいずれ見たい。
塚本晋也。……わたしは山本晋也と塚本晋也を混同していたことにたった今気づいた。
なんでこの名前で「本晋也」が被るんだ。そうはない名前でしょ。
なので、「え、これ塚本晋也?(山本晋也を思い浮かべながら)」と思っていた。
こんないい演技が出来る人には見えなかった(山本晋也を思い浮かべながら)。
メガネを取ると雰囲気が変わるんだなあ。
……そうしたら別の人でした。
いい演技でしたよ。出版社関連のドロドロとはまったく別の世界を作っていて。
ここは同じ世界のものとは思えないところが大事。
池田エライザは「名探偵で建築を」でついこないだ初めて見たが、
今回も独特の雰囲気をまとっていてワンポイントで効いていると思った。
モデルの経験が大変活きているね。空気をまとう術を知っている人。
今後もちょっと楽しみにしている。
宮沢氷魚は初。この役には合ってたね。
齋藤工は点景。好きだからもうちょっと見たかった。贅沢な使い方だったけどね。
中村倫也は……最近ずーっと似たような役柄ばかり見ているので食傷。
すごくいい役者で好きだけど、これだけ続いちゃうとなあ。
今回は特に面白い役柄ではなかった。というか、この人のこの役が
面白く描けたなら、収束部にも不満は持たなかったと思う。
名前がそれぞれわからないんだけど、トリニティの編集部員たちが面白かった。
三人三様。ここのキャスティングは上手かったね。
木村佳乃は良かった。良かったが、首の細さが気になっちゃって。
痩せすぎているから年齢を感じるなー。今回首が目立つ服ばっかり着てたけど、
映画的な必然性がないなら首を隠せる衣装を着せてあげて欲しかった。
そうすれば憐れさを感じなかったと思う。感じさせたかったのなら成功している。
小林聡美は適役。相変わらず面白くて見てて楽しい。
嫌味になりそうでならないところも絶妙。
国村隼は久々に見られて楽しかった。安定と信頼。
だが映画的には前半だけの出なので、これで最後国村隼も絡められたら厚くなった。
佐藤浩市はいつもの、でマンネリを感じる。
ここ数年、脂が落ちて面白くなったかなあと思っていたが。
※※※※※※※※※※※※
ものすごく不満、というわけではないけど、収束が弱いよなー。
Amazonと世界初の新しい提携って言ってはいるけど、全然ふわっとしていて
現実感がまるでない。いい加減な感じがする。
最大のネックは、そんな大きな提携なら社長の頭越しに決まるわけないんだよなー。
創業家の御曹司はともかく、会社組織である以上社長が全く知らないってあり得ない。
そして本屋改装費用もさー。ずいぶん急に大きくてしゃれた建物が建つじゃない?
一体どこからそんなお金が……。
そういうところだよ。しっかり話を作って欲しいのは。
しかし全体的にはかなり面白い映画でした。見て良かった。
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