プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 盤上の向日葵 >

2021年01月21日 | ドラマ。
千葉雄大は地元の子だし、応援はしていたが、
役者としてはカワイイ担当だとずっと思っていた。
……ずっとというか、わたしが千葉雄大を認識したのは……たった7年前なのか。
「TAKE FIVE ~俺たちは愛を盗めるか~」が初めてだから。

もう十数年前のことな気がしていた。
よく考えてみると千葉雄大、まだ31歳ですからね。

「殿、利息でござる!」はいい映画で、千葉雄大も健闘していたと思うけど、
あれは役柄と年齢が合ってなかった。もう少し年配の設定にして、
役者ももっと年上の人を使った方が良かった役柄。

「帝一の國」でも期待はしていたが、この時は顔ぶれが死ぬほど派手でしたからね。
そこまで目立ってはいなかった。

が、わたしはこの後くらいから「もしかしてこの人化けるのでは……?」と感じ始める。
それはなぜかというと、「久保みねヒャダ」でちょいちょい披露する小芝居が
意外に面白かったから。演技の反射神経もけっこう良さげで、
「こういうところドラマで活かせたらいいなー」と思った。

そしたら、最近来てるんじゃないですか?最近じゃないかもしれないけど。
まあわたしは現代に生きてないので「プリティが多すぎる」も
「おっさんずラブ ーin the skyー」も
「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」も見てませんけどね~☆

ここまで前振り。



そしてこないだようやく見たんですよ、「盤上の向日葵」を。

――これ、良かったんじゃないですか?ものすごく。
おおお、千葉雄大、やったな!と思ったよ。

役柄にぴったりはまって練り上げてきた。
静かに淡々と。暗く。危うく。狂気と正気の境、どちら側にいるのか
最終盤までちゃんとひっぱった。悟らせなかった。
ここが話の肝ですからね。ここが成功するのとしないのでは作品の質が段違い。

主人公として旨味が多いキャラクターではなかったかもしれない。
考えようによってはものすごく多かったのかもしれないけど。
終始抑えめの演技が必要とされる。
ラヴェルの「ボレロ」のように淡々とした旋律を繰り返す。
そこに時々混じる抑え込んだ狂気の爆発。

何より――こういう言い方をすると本人はがっかりするかもしれないけど、
あの竹中直人の怪演を受け切ったことが大変なお手柄だと思った。
相手が下手では、竹中直人はあんな風には出来なかったですもんね。

演技はぶつかってこそ爆発力で何倍にも膨れ上がる。
久々に等倍以上の作品を見たと思った。


この作品は千葉雄大の大きな財産になる。
心の拠り所にしていい、誇っていい作品だと思う。
代表作は、ある程度役者さんみんながあることはあると思うが、
心の拠り所になる作品(と他人に感じさせる)はそうそうないと思います。




ただ、好みからいえば、最終盤は竹中直人のやりすぎを感じたけどね。
もう少し抑えた方が味わいが深かったと思うが。

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