50年前の映画。
この時代の大作はテンポがのんびりしすぎて退屈することも多いので、
録画を見る直前、「見ずに消しちゃおうかな」と一瞬思ったが、見て良かった。面白かった。
最初にじっくりとミケランジェロ作品を紹介したので、ドキュメンタリー風に入れたのが良かった。
10作品くらい映してたけど、聞いたこともない作品も多かった。
ミケランジェロ作品なんて(有名作ぞろいだろうから、絵画はともかく彫刻は)
全部知ってるようなつもりでいたが、全然そうでもないらしい。
まあ40体くらいは残っているそうだからね。40タイトル挙げられるかというと全く挙げられない。
セットは他の諸作と同様に雄大。当時のハリウッド超大作。
そのわりに意外に話は小さめで、言うたらミケランジェロとユリウス2世の立場を超えた小突き合い。
ここが良かった。
ユリウス2世がラブリーでねえ。
相当に暴君なんだけど(実際は映画よりはるかに手に負えない暴君だったろうと思うけど)、
この映画では可愛げ満載。
何度も何度もこっそりシスティーナ礼拝堂に足を運んで、進捗具合を確かめてる。
通りすがりに、床と天井で双方声をたてずに、
(いつ終わるのだ?)(完成した時に)
と問答をしているのが可愛い。
死にそうなユリウス2世をミケランジェロが怒らせて元気にさせる、というのは
……死にそうなところからすぐ、立って歩いて「お前たちはわしが死ぬと思ってるのか!」と
怒鳴るところまで回復しすぎや!と思うけれども、回復して良かったですね。
でも天井画が完成した翌年に死んじゃったらしいよ。
映画でも「(霊廟が)すぐ必要になるだろう」と言ってたが、まさに。
だが、洗浄終了後のキレイな「天地創造」を見慣れていると、
完成作として全体を映された「天地創造」はだいぶ汚れてますな。
鮮やかな色彩ではない。もちろん当時はCGで修正が出来るわけではないんだし、仕方ないが。
しかしシスティーナ礼拝堂のセット、フレスコ画のセットはよく作りましたねえ。
過労と栄養失調で目が見えなくなるところなんか、あの高さから落ちたらどうするかとハラハラした。
レックス・ハリソンはやはり「マイ・フェア・レディ」。
あれが軽妙な役柄だったので「クレオパトラ」のシーザー役は違和感があった。
この人、声が微妙にしゃがれてるのが残念。
でもこのユリウス2世は良かった。
チャールトン・ヘストンは「ベン・ハー」を見た。
ミケランジェロはもっともっと偏屈なイメージがあるので、この映画でのミケランジェロは
かなり普通の人だった。外見の雰囲気は似てたと思うけど。
多分わたしが見た録画では、テッサリーナと呼ばれていたコンテシナ(伯爵夫人?)は
紅一点の女性としてはなかなかいい役でした。
この頃の映画の、しかも唯一の女性キャラだったら刺身のツマになりがちなイメージがあるけど、
ミケランジェロのこともよくわかっているし、機転もきくし、魅力的でした。
金をかけただけではない、面白い映画だった。
……ただタイトルがねえ。今さら言っても仕方ないけれども。
華麗なる激情 [ チャールトン・ヘストン ] |
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