吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

鍵盤写真

2009年10月25日 | オルガン
普通に生活出来て仕事も出来るというのは素晴らしいことです!
健康はありがたいものです。

さて、リードオルガンの鍵盤を貼り替えたのをお見せしましょう。

リードオルガンの鍵盤のナチュラル・キー(白鍵なのですが、古典楽器にも関わる身としては、黒い白鍵?も多いので、ナチュラル・キーの方が言いやすいのです)には普通プラスチックが貼ってあります。
古い楽器では象牙ということもあります。
プラスチックも古いものはセルロイドで、現在入手困難です。
楽器の保存状態、使用頻度などにより時期は様々ですがいずれ劣化します。
シャープ・キー(黒鍵)は古くは木製、新しくはやはりプラスチックですが、ナチュラル・キーよりはずっと劣化しにくいです。

鍵盤の材料には、骨、象牙、木がありますが、木の鍵盤が感触、風合いなどの点でおすすめです。それに骨や象牙より原価が安いですし。
古典楽器をご存じの方には、木の鍵盤は普通でしょうが、現代楽器の方には珍しく映るかもしれません。

古典楽器の世界では、鍵盤は実に多様です。
鍵盤には様々な飾り面がとってあったり、細密画が描かれていたりもします。

今回は、手の小さいオルガニストさんに具合が良いように、面を大き目に取りました。
面を取るというのは、尖った角やエッジを削って落とすことです。
飾り面は古典楽器ののテイストを盛り込みました。現代楽器の鍵盤はどうも無表情なので。


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プラスチックで貼りかえるのもリクエストによってアリなのですが、時間はプラスチックから奪うことしかしません。
新品の頃がベストで、あとは劣化していくのみなのです。
象牙や骨、木などの素材にも、もちろん寿命や使用限度はありますが、年月と人の手に磨かれて「味」も出て来るのです。

使い込むほどに味が出るものというのは世の中から減っています。
多くの場合、経年変化は劣化と同義です。
製品は古くなって捨てられ、買い替えられることが経済的には正しいということなのです。
電子楽器ではすでに使い捨てになってきていますが、自然発音体の楽器では、幸いにも経年変化が、成長や熟成であるものがまだまだ多くあります。

あと数回、塗っては磨きを繰り返します。
木の風合いを残したオイル系の仕上げにします。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (わたなべ)
2009-10-26 09:36:04
オイルは何、塗るの?

……。
天ぷら廃油?
それとも廃グリセリン?

どちらも今、大量にあるので、
差し上げられます(笑)。
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Unknown (ripieno)
2009-10-26 19:09:35
木の鍵盤感触いいよね。
リードオルガンにはプラスチックよりはいいと思うよ。

ところで、これは何の木?
カエデかさくらってところかな。
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大事なことかも (ひろにゃんof風琴屋)
2009-10-26 19:32:00
わたなべさん、ようこそ!

言われて気付いたのですが、僕らが塗りに使うのは乾性油です。Wikipediaにもありますのでご参照を。
酸化して固まる油ってSVOディーゼルにとっては危険ですよね。
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正解! (ひろにゃんof風琴屋)
2009-10-26 19:38:20
ripienoさん、ようこそ!

正解!カエデです。
今回はお客様のリクエストで虎斑は出しませんでした。
助かりました。あれって逆目の嵐なので、僕の機械では仕上げられないのです。
以前やった時は、良く研いだ鉋で手仕上げで、手間がかかって大変でした。
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ありがとうございました♪ (ゆきんちよ)
2018-11-20 00:11:54
ブログやっと見つけました。もっと早くわかっていたら、他の方法もあったかも知れません。ちょっと残念でしたが、吉倉さんに再会できてオルガンも喜んでいると思います。この鍵盤、私が弾いて少し色が薄くなった鍵盤ですね♪
とても手に馴染んでいました。本当にありがとうございました(^^)
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しばらくは (吉倉オルガン)
2018-12-30 22:46:55
ゆきんちょさん、ようこそ!

まったくの偶然でしたが、オルガンも僕のところに来たかったのかもしれません。

しばらくは手元に置いて調整を詰めてやろうと思います。
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