吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

僕はここに

2006年03月01日 | 自分のこと

流れ者というのか,ひとつところに落ち着いて住むという気持ちになかなかなれなかった。

結婚してからも,いろいろ移った。下の子はアメリカで生まれた。
そのアメリカでトラブルがあって引き上げたあと,家内のセッティングでひとりで半年間,チェコに行くことになった。

日常のことは普通にこなせたし,不本意な日常にもたいして苦痛は感じなかった。
今思えば,その頃辛くなかったのではなく,辛さを感じる能力が低下していたようだ。

八ヶ岳に舞い戻って来たのは,自分自身に対する違和感と向き合うために,かつて住んだ地で原点を確認するためだったのかも知れない。

キャリブレーション

更正すること。物差しそのものを確認すること。僕らの仕事では,調律の時に基準音を設定すること。

長坂に1年,大泉に来て3年目。去年の暮れころから急速に,視界が開けてくるような,時間軸が見えてくるような感じがしてきている。
周りの景色が見えて来てはじめて自分が同じところを回っていたことに気がついたような感じ。

自分のまわりにひとたちがいることがうれしく思えてきて,そのひとたちのために何かをしようと思う。

僕は,ここにいるかもしれない。

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