私はポンコツといわれる車が好きです。
初めて買った車がポンコツジープだったし,その後も解体屋行きの車を乗り継いだりしていました。
2サイクルエンジンの車は特に好きです。
かつて,昭和48年式のフェローマックスの4ドアに乗っていたのですが,手に入れてすぐ,夜の高速を走っていた時にふと気が付くと,ルームミラーに赤い点が次々と跳ねるのが写っていたのです。
そう,マフラーから火の粉が出ていたのでした。前オーナーが大人しい走りをしていたため,マフラーにカーボンが堆積していたのが,高速走行で焼き切れたのです。
この後,エンジンの具合はぐっとよくなったのでした。
渋滞は大の苦手で,だんだんアイドリングがバラついてきて,排気の煙が増えてきて,時々空ぶかしをしてやらないとついにはカブってエンジンが止まってしまうのです。
このせいでJAFに入る羽目にもなってしまいました。
一応,カーステレオが付いていたのですが,それを使えるのは交通量の少ない,調子よく走れる場面だけで,ゴー&ストップが増えてくると,エンジンの音に注意するため,カーステはオフとなったのです。
2サイクルの,アイドリング時の不安定さが実は結構好きで,何かこう生物的な感じがするんですよね。
ポンコツなのをいいことに,河川敷のオフロードコースに乗り入れたりもしました。
軽量のFF車のオフロード性能は意外に高く,泥濘地,砂地以外ではかなりの走りを見せました。土手だって登れたんですよ!
小心者なので,新しい車では,こんなことは出来ません。
その後もポンコツ乗り継ぎ癖は治っておりません。
お金を掛けるのがいやでメンテも自分でやるのが当たり前でしたので,自然と機械に対する感覚のようなものが身についてきました。
なにより,失敗という貴重な経験をたいした痛み(つまりは出費)もなく重ねられたのは良かったと思っています。
それと,もうひとつ,新しい車では味わえないことがあります。
緊張感です。
つねに,故障する不安感とそれを予知しようと研ぎ澄まされる感覚。
故障を現場的な知恵で応急処置できたときの達成感!
新しい故障しない車に乗ると,足りない,物足りないのです。寂しさにも似た感覚でしょうか。美人だが面白くない女性と一緒にいるような感じです。
故障が発生して,「やっばー」といってる時の私の顔は明らかに喜んでいる時のそれであるといいます。
スバルサンバーのECVTが我が家のハイテクカーですが,幸いなことにたいした故障は経験しないで来ております。
もし,なにかあったらアウトです。手も足もでないでしょう。
異音のする電子制御の車を騙し騙し走らすのは,便意の波(大)に耐えながらトイレを目指すときの感じに似ている気がします。
考えただけで青くなって脂汗がでそうですね。