自分の中の常識書き換え。
エブリイワゴンD64Wミレニアム・ファルケン号はあらゆる点で僕の他のマシーンに勝るコンディションでした。
が、どうも暖機が遅い気がしたのでした、暖機後もヒーターがヌルい気が。
忙しかったので、まずはネットで情報収集。
で、集まった情報。
- この車はエンジンの水温を管理するサーモスタットの故障例が多いらしい。
- オーバーヒートよりもオーバークール例が多い模様。
だがしかし、僕の常識では、
- サーモスタットはそうそう壊れるものではない。
- 壊れる時はほぼ100%弁が開かなくなるので、オーバーヒート方向。
今回は番号付きリスト多用だ。
部品を発注するとともに、サーモスタットについてネットで調べる。
どうやら、今日びのサーモスタットは壊れると開いた状態になる安全機構があるらしいけれど、具体的な構造は不明。
メーカーのサービスセンターに問い合わせるという手段もあるのだろうけれど、一応技術関係の人間であるというささやかな自負があるので、ここは自力で調査だッ。
まずはサーモスタットを縦に真っ二つ!
サニッブー! (ソニックブームって言ってるのよ) スパッ!
金鋸でゴリゴリ切ったんですけどね。
外側のケース部分はペレットというらしい。で、中にゴムの筒に入った金属棒。
ペレット内にはワックス(ロウソクのロウみたいなの)が封入されていて、これが熱で溶けると体積が膨張してゴムの筒を潰す、そうすると金属棒が押し出されて、その力で弁が開く、というのが作動原理。
ペレットの下に出してあるのがワックス。
故障は何らかの原因でワックスが漏れるというパターン一択で、その場合弁は閉じたままになります。
昔ァそうだった。
ストーブに乗っけたらワックスは溶けて液体になりました。
ペレットの断面を改めて見るにワックスではないグレーの何やらが。
ストーブに乗っけたペレットからはワックスが流れた後、グレーのヤツが泡立ちました。
ふむ、納得。
さて、情報を整理してみよう。
ちょっと謎解きをする探偵気分よ。
サーモスタットが壊れる時、弁は開いたままのほうが良い。閉じたままだとオーバーヒート。
早めに気付かなければ、エンジンは一発でオシャカ。
逆にオーバークールだとすぐには致命的な破壊にはならない。
そこで、ペレット内にワックスの融点よりも高い温度で溶けて体積が増えてしかも収縮しないブツを仕込むのだな。
そうすれば、異常高温になった時、弁は開いたままで止まる。
これが安全機構のカラクリか?
熱の籠もりやすいケツ下エンジンでは特に、高負荷運転直後にエンジンを止めると、冷却水の循環が止まって、サーモスタット周辺の水温がかなり上昇する、そうするとその安全機構が想定外の作動をしてしまうことがあるのかも知れない。
それで、かつては寿命10年10万キロとも言われたサーモスタットが開いたまま短命で死亡するのだ。
どうです、奥様。私の推理は?
横溝正史ならここで奥様、毒飲んで自殺!
結論
- 今日びのサーモスタットは割と壊れる。
- その場合、オーバークールになる可能性が高い。
- なんかヒーターが暖まらないとか感じたらサーモスタットを疑え。
ヤフー知恵袋とか見ても「気のせい」というアドバイスが多いけど、今日びの車の暖機はすごく早いぞ。
おっさんは情報を書き換えとけよ?
私も常識を更新してしまいました。これも、合成ゴムという素材の進歩あってのものなのでしょうね。
このワックスの膨張を利用した水冷エンジンのサーモスタットは1934年の発明だそうですからかなり古いものです。
昔のものは違う形式らしいですが、現在のものと互換性はあるらしいです。
英語版のウィキペディアには結構詳しく書いてありました。
現在のものは「スクイーズ プッシュ式」というようです。
ダイヤフラム式(温水暖房用にはあるようです)よりも作動精度は低いけれどストロークが長いという特徴があるそうです。