古い木工機械では今でも使われているモーター。
最近の新しい機械ではあまり見られなくなったクソ重いモーター。
反発始動型誘導電動機。
何か良いねえ。
大ワザの名前みたいで。
反発始動型誘導電動機というのはつまり、定速領域で効率が良いが始動時(極低回転時)に力が無い誘導電流モーターの始動時にブラシモーターという低回転での力の強いモーターを一体化したようなものです。
で、その始動モーター部分が故障すると始動しなくなります。
手で勢いを付けてやって始動出来ることもあるのですが危険です。
モーターからはVベルトで出力されることが多いのですが、あれ、挟まれると超痛いです。骨折の可能性もあります。
割と簡単に直るのでちゃんと直しましょう。
手で始動している人、怒らないから手を挙げて!
どかーん!
さて。
久しぶりにバンドソーを使おうと思ったら始動しなかったのだった。
だが原因はわかっているのだ。
さっそく直しましょう。
これが反発始動型誘導電動機だッ。
単相100V の誘導電動機です。古い木工機械、農機ではよく使われています。
クソ重いです。
向かって右側が反発始動のキモです。
まずカーボンブラシを外します。
90度の位相で2つあります。
それからモーターの後部を外します。
これの場合ネジ3つです。
緑の矢印のところ、隙間があることに注意、隙間の左側が整流子で右側が整流子ショートリング。
ショートは電気の短絡のことね。
整流子ショートリングの右側に並んでいる小さいやつらは錘です。
モーターが始動すると整流子ショートリング錘が遠心力で緑の小矢印方向に開き、てこの原理でショートリングは赤い矢印方向へ移動して緑の大矢印の隙間が無くなります。
これで整流子が通電されてブラシモーター機能が終了し、誘導電流モーターに引き継がれます。
スイッチを切って回転が落ちると錘は元の位置に戻らなければなりません。
輪っか状のバネか何かで錘を締めるわけですが、このモーターは最初開けた時、黒いベトベトしか残っていなかったので、恐らく輪ゴム的なものだったと思われます。
前回設置したゴムの輪っかが劣化していたので新しいゴム紐で輪っかを作ります。
ピアノ線とかで作っても良いと思うのですが、壊れた時、金属の破片が悪さをするとイヤなので、寿命は短いが害の無さそうなゴム紐で作ることにします。
ショートリングと整流子との間にちゃんと隙間が出来るように。
ただ、ゴムの締め付けが強すぎるとブラシモーターから誘導電流モーターへの切り替わりがうまく行かなくなります。
場合によっては何度か始動テストをして程よい力に調整します。
停止時にショートリングが整流子から離れることを確認。
ショートリングを整流子側に押し付けて手を離すとちゃんと戻るように。
この隙間にブラシのカスとかが挟まったりすると中途半端に通電して、始動したりしなかったりという中途半端な症状が出たりします。
また輪ゴムが劣化するとやはり中途半端な症状が出ます。
これで組み立てて完成。
あまりデリケートな部分は無いので、屋外放置されていたモーターでも結構復活出来ます。
整流子は英語でコミュテーター commutator です。コミュはコミュニティとかコミュニケーションのコミュです。
昔は「コンミテーター」と言ったものです。
どうやら「コミュ」の発音が当時の人には難しかったようです。
僕の車はハイゼットですが、アルファベット表記では HIJET 普通に読めばハイジェットです。
「ジェ」の発音が一般的では無かったからのようです。じぇじぇじぇ!
確かにアナウンサーでさえ古い人は「コミュニケーション」を「コミニケーション」とごまかしていたりします。
そんなに難しいのかね?
さて、始動性の悪い反発始動型誘導電動機所有者諸氏よ、どうかそのモーターを直して使っていただきたい。
自己責任でな!
うちにも古いモーターがいくつかあります。
戦前のアメリカものもあったかと。
でも長期間放置で復活の可能性は低いです。
んで直したらゆっーくりと回り出しました!(昔の反発始動はみんなそう)なんか修理するとすっきりしますよね!
最近は電子部品が高電圧大電流に耐える様になって来て、従来の「弱電」「強電」の境界が消えてきているようです。
弱電系の人はどちらかと言えばソフトウエア屋の発想で、強電はハードウエア屋的な行動原理があったように思います。
電子部品を使った高電圧大電流制御には両方の資質が必要だと思われるので、境界をまたぐ新しい人たちに期待です。
知りませんでした。ブラシ付いてれば、みな直巻きモーター位の認識でした。
職場では起動に関しては「スターデルタ」の切り替えなんていうのも聞いたことがありましたが、電気工学概論劣等生の私は、電気を通せば回る「ユニット」と認識して、ブラックボックスでした。