吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

虫の話ふたつ

2012年11月04日 | 思うこと

タイトル通り。写真があります、大したことはない写真ですが苦手な人は注意。

伊那の仕事場は八ヶ岳の自宅より標高が低いのですが、日照時間が短いせいか寒く感じます。
霜の降りた朝、あまり見ない虫を発見。

 
ツチハンミョウ(ヒメツチハンミョウでしょうか?)

これは久しく見ていません。
ツチハンミョウWikipedia 

ハンミョウというと山歩きをしているときなんかに、前をちょろちょろ走る虫です、ミチオシエとも言
われますが、アレとは違う種です。
どうも本来のハンミョウはこのツチハンミョウを指すはずだったらしい。漢方の書物を日本に持って
きたときに取り違えが起きたようです。

その筋の人たち(ヨーロッパ史好きとかですよ)の間では有名な毒、カンタリスの元です。
必殺の毒として、またごく微量で使えば媚薬として女性を狂わせることができると信じられたもの
です。
まあ、猛毒なのは確かですが、媚薬というのは?、というのが実際のところだそうです。 
人の欲望の暗黒面が交錯する場面にこの虫の存在があったのです。

それはさておき、Wikiにもありますが、この虫の生活史は非常に困難に満ちていて興味深いもの
です。

倉庫のシャッターのところにバッタがいました。

ここらではよく見かけるフキバッタです。
Wikipediaフキバッタ

周囲は凍っていたので、まだかろうじて生きてはいますが早晩死ぬでしょう。
見ての通り、跳ね足を失っています。
もともと羽根のないバッタでしかも跳ねる能力も失って、よく生き延びたものです。
すでに季節は彼らにとっての終着点。天寿を全うしたと言ってよいでしょう。 

フキバッタというのも不思議といえば不思議です。
飛べない分、地面に潜るだとか、代わりに別の能力があるわけでもない、毒もない。ただの飛べ
ないイナゴみたいなものです。 

自然というのは本当に人の計り知れないものです。
生き物の生き方にとんでもない「縛り」を与えていますね。特に小さな生き物の世界では。
ハナバチに掴まらないと成長出来ないツチハンミョウ、特殊な環境にいるわけでもないのに羽根が
無いフキバッタ。
もっと厳しい「縛り」を受けているヤツらなんかも、結構生きているというのはすごいことだと思いま
す。

自然というシステムの偉大さからすると、人の考えることは何と単純で浅いことかと感じます。


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