今回の作戦もひときりつきました
オルガンを解体予定の建物から救出するのは何度かやっていますが、いずれも話が僕のところに
来るのは建物の解体期限ギリギリです。
前にもこんな記事がありますね。 救出作業中
無理はいかんと言いつつ4年経っても一向に進歩していないワタシ……。
今回のオルガンは日本のパイオニア、故T親方の作品です。
僕の出発点である山梨のK親方(現役)とも通じるエネルギーを感じました。
それは、出来ればすべてを自分たちで作りたいという気持ちです。
パイプオルガンというものを、自らの名のもとにすべて外注で作ることは可能です。
むしろ、その方が個々の部品の品質は安定していることもありえるのです。
モノを作りとは、現代では多くの場合「プロデュース」というべきものです。
自分の手で作るのではなく、様々な専門業者、職人を使ってアイデアを形にするというやり方。
そりゃあ、分業化がうまくいった方が効率は良いですし、品質だって安定するものです。
多くの人に利益を分配しますし、作るモノの普及には有利です。
でも、でもね。ある種の人たちはそれでは足りないのです。
出来れば全部を自分(あるいは自分たち)でやってみたいという抑え難い欲求を持っているので
す。
そのエネルギーはほとんど「呪い」や「呪縛」と言って良い。
そして僕もまたその呪いを受けている人間なのです。
このオルガンからはこの呪いの匂い、呪いを受けた人の匂いがプンプンするのです。
そして、それが僕の受けている呪いに共鳴、共振するのです。
自分の中で眠っていた何かがザワザワする感覚。
苦しいような心地良いような。
欲求や呪いや呪縛ではないと信じて元の音が出ますようにお願いいたします。
僕の家の近くからは、遠く富士山がよく見えます。
文句なしの美しさです。
富士山に訪れれば、そこには人の、車の列、ゴミの山などなど
凄まじいものがあります。
オルガンもまた、近くで見れば凄まじい色々があるものです。
それでも、人は人に出来ることを為すのです。
その原動力となる心に、信仰や正義の冠を載せられるほど、僕は
傲慢にはなれないのです。