吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

屋外で演奏されるオルガン その1

2006年02月27日 | オルガン
昨日友達に聞かれました。
「屋外で鳴らすオルガンってあるの?」

はい,あります。ストリートオルガンというものが。

この種のオルガンの起源は,その定義の仕方ですっごく違ってきます。

狭義には19世紀末から20世紀初頭に流行した屋外で演奏される自動演奏オルガン。

とでもなりますが,これは特定のメーカー,様式のグループを指しているのであって,このワクを外して,

「屋外で演奏される自動演奏オルガン」

とすると,その起源はパイプオルガンそのものの歴史と重なります。

紀元前3世紀のエジプトはアレキサンドリアです。

古いですね。場所はエジプトではありますが,ギリシャ文化です。
このあたりの話は,横道に逸れ出すと収拾がつかないほどのおもしろワールドですので,必死,かつ強引に話を進めます。

ここでパイプオルガンの祖であるヒュドラウリスが誕生しました。
名前に,ヒュドラ(=水)が付くのは,風圧を得るために水を使っているからです。
ここまでで,すでにいくつものサイドストーリー,エピソードがあって,書きたくて仕方がないのですが,がまんです。

すでに,この頃大きな筒にピンを打った装置を使った自動演奏オルガンが存在していたらしいです。オルゴールのシリンダーのようなものですね。

さて,自動演奏オルガンの件はちょっと置いておいて,今回のタイトルであるである
「屋外で演奏されるオルガン」に話を絞ります。
(くどいですが,私は涙を飲んでいます。横道にそれたい!)

その最初のパイプオルガンであるヒュドラウリスは,残っている絵などからして,屋外使用の楽器だったようです。紀元後のローマ帝国の時代にもコロシアム(闘技場)でのファンファーレの役割を果たしていたと考えられています。
初期キリスト教徒などが,処刑されたり,猛獣の餌食になったりするときにも,オルガンが鳴り響いていたのです。

彼らはまさか,その楽器が後に自分達の神を賛美するものになるとは思わなかったでしょうね。

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