吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

インドのハルモニウム

2006年03月05日 | オルガン

機会に恵まれて,インドのハルモニウムを見ることができた。

鍵盤下にヒンジがあって,前方に転回するようにして内部を見られるようになっているのは,ミュステルなどと同じ。小さいくせにナマイキではないか。(いえ別に)
総2列のリードセットとドローン(常時鳴り続ける音)が2つ。
驚いたのは,トレモロがついていること!(トレモロ=音をゆらすからくり)
このトレモロは風の通路に弁があって,それが自然にゆれて音をゆらすものです。
カナルトレモロといわれる形式で,動作が不確実なのが欠点ですが,リードオルガンによくあるヴォックスフマーナ=ファントレモロよりは,はるかに効果的です。

リードオルガン属にカナルトレモロがついているのは初めて見ました,これはいただきです。
リードそのものの工作精度はたいしたことはなく,切れの悪いカッターのナイフマーク(刃の切り跡)ラフなやすり掛けのあとが目立ちます。
でもこれで十分なんですよね。
アメリカンオルガン及びそのコピーのリードは量産体制の中で出来ているので,寸法や,仕上がりが非常に良いので,ついその仕上がりを目指さないと良い音が出ないんじゃないかと考えてしまいがちですが,要は,ポイントがおさえられていれば,見た目の仕上がりは関係ないのですね。
そして,フリーリードはそのおさえるべきポイントがかなり少ない方なのです。

やはり,リードそのものを安定して作れるようにならねばと思いました。

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