吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

刈払うもの

2013年06月05日 | モノ

刈払機の話。

今は伊那の仕事場ですけど、ここら辺は5月半ば頃から草が伸び始めます。
八ヶ岳はもう少し後かな。

僕は動線の邪魔にならない限り草が生えていても気にならない方なのですが、周囲の目とか、決まりなんぞがあって仕方なく、そこそこ刈っている姿勢を示します。
まあ、時々使ってやるのは機械にとっても良いことなので、イヤというほどではありません。
機械自体は好きですし。

広域掃討用キンボシ号

一度、ガバナー(定回転装置)の調整を誤って、オーバーレブ(回しすぎ)で排気バルブを突いて曲げてしまいました。
交換してその後、トラブル無く使っております。お外で完全放置半年後でもすぐに起動します。
あと10年後も壊れる気がしません。

今回の主役はこちら

汽関車印(漢字ママ)刈払機です。不明ブランドです。

不要になったというものを頂いたものです。
最大の特徴は

フロート式キャブレター

です。強調しちまったよ。
今、耳がぴっと立った人、とりあえず僕と握手だッ。
きょうび、この手の道具はすべてダイヤフラム式キャブレターです。その最大の特長は、傾けても機能するということです。
フロート式の弱点は、傾斜に弱いことです。みんな知ってるねっ。

しかしながら、ダイヤフラム式は、その動作をダイヤフラムつまり薄膜ポンプ(繊維入り耐油ゴム製)というデリケートなものに頼っている上、小さい穴が多い構造のため、ちょっと(ちょっとだってば)放置して燃料が劣化(すぐする)した場合、動作不良になり易いのです。
しかし、このフロート式はシンプルこの上ない構造で、結構放置してしまってもほとんど故障は無いっ。もし故障しても容易に復帰するのです。
しかし、傾きには弱い。
圧倒的信頼性、稼働率、だけどちょっとの欠点、てへぺろ〆☆
ここがそそるわけです。萌えるわけです。姉ヶ崎寧々です(よく知らんけど)。
ワタクシとお付き合いの長い方はおわかりですね。試験に出るよっ。

これがそのキャブレターだッ

昔のバイクのみたいでしょ。
運用時に水平になるようにちょっと傾けてみたッ。多分無意味だが思いやりだッ。

傾きに弱いと言っても、鋸歯の上下方向の動きには結構耐えます。
左右の傾きに弱いのですがそこは対策が。

エンジンに対して軸が捻れているのがお分かりいただけるだろうか。

こうすることで、エンジンを水平に保ちつつ、鋸歯を傾けることが出来るのだッ。
以前は、この機構は常時首を回すようになっていたのですが、それは言い換えるとエンジンが回ってしまうということでもあります。肩ストラップを張っておくことでエンジンの回転を防ぐ設定なのです。しかし、ストラップがたるむとエンジンが回転して止まってしまうのです。
使いにくかったので、軸とエンジンを任意に固定出来るようにしました。
そうしたところ、非常に使い勝手が良くなりました。

この蝶ネジが鍵だッ

こうして、わずかの改良で、多少運用時に注意すれば圧倒的信頼性を誇るツールとなったのです。
これも当分壊れないでしょう。


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