アトピー性皮膚炎は原因が特定されていません。だから現在の治療は、対症療法でしかありません。もちろんほぼ分かってきているけど、根拠が証明されない。
もし、原因を先に人為的に作ってしまえば、原因が明確になっているから、それを治療する方法は早く明確に見つけられるはずです。
今年2019年1月、富山県の北日本新聞等が報じたニュースがあります。
「佐賀大学医学部との共同研究で新たなマウスを開発した。」と、富山大学大学院医学薬学研究部の北島勲(きたじま・いさお)教授が発表したものです。「マウスの顔の細胞にある遺伝子を欠損させることで人間のアトピー性皮膚炎と似た症状が、顔にだけ現れるマウスを開発。」とあります。
注目すべきことは、
1 アトピー性皮膚炎の患者と同様の症状が顔にだけ現れること。
2 炎症や顔をひっかく行動が、誘発剤などを使わなくても自然な形で100パーセント現れる。
3 通常のマウスと同じ2年ほど生きられるため、長期間の観察が可能。
4 発症したマウスの子どもも発症する。
5 アトピー性皮膚炎と遺伝性疾患との関連が明らかになると期待できる。
6 新たな治療薬の開発が大いに期待できる。
かゆみと遺伝の関係については、アトピー追及#8かゆみからの追求に掲載していまます。
現在の治療では、ステロイド、ヒスタミン、免疫抑制剤(T細胞の活性化制御)が主に使われ、患者によっては効果がまちまちの状態ですが、今回の発表により、より多くの患者に有効となることが期待されます。なぜなら、実験で使われる対象となるマウスは、100%自然な形で症状が現れていて、炎症の状態や顔をひっかく行動も人間の症状と似ているからです。100%完全な実験の材料がそろっているこのマウスを治療できれば、人間にもかなり有効だと思えますし、治療薬開発は早いと考えられます。大いに期待しています。
この発表は、米国の医学雑誌「ジャーナル・オブ・インベスティガティブ・ダーマトロジー」に掲載されています。佐賀大学のサイトにも詳細が掲載されています。