期待していた新薬がついに町の病院で処方されるぞ!とうとうやった!
2020年1月23日、アトピー性皮膚炎治療薬デルゴシチニブ(商品名コレクチム軟膏0.5%)の製造販売が承認され、この6月末頃から近くの病院で処方されるようになっています。
すごい薬が出ました!
第3相臨床試験での効果は、16歳以上の中等度または重度のアトピー性皮膚炎が優位に改善。1週間でかゆみが改善し、その効果が持続したとのことです。
コレクチム軟膏は日本たばこ産業と鳥居薬品が日本で開発したもので世界初です!
JAKという分子がアトピー性皮膚炎の悪化に関与しているため、そのJAKを阻害する薬です。
JAKとは何か?
基本的な知識を押さえておきたい。
体内で炎症反応をおこす炎症性のサイトカインという物質があり、炎症性サイトカインの中にインターロイキン(IL)という物質がある。ILの伝達に必要な酵素にヤヌスキナーゼ(JAK)がある。
言い方を変えると、
炎症反応あるいは免疫反応に関係する蛋白質(炎症性サイトカイン)を細胞内にシグナル伝達し活性化するために必要とされる酵素がJAK(ヤヌスキナーゼ)です。
免疫の異常によって炎症反応がおこる自己免疫疾患の一つであるリウマチにもJAK阻害薬は効果が認められています。
この薬は、4種類あるJAKファミリー(JAK1、JAK2、JAK3及びチロシンキナーゼ2(TYK2) )のすべてを阻害することで免疫の過剰な活性化を抑え、症状を改善すると期待されています。
私の記事の中のアトピー追及#7皮膚・体の状態 - 青空ーすべてはバランスにおいて、アトピー性皮膚炎の原因の一つに免疫細胞の暴走が考えられることを書いています。この原因に関係する新薬ができたことを本当に喜びたいと思います。
インターロイキンについて
インターロイキンは、免疫細胞の中でも司令塔的な「ヘルパーT細胞」が作り出す。
かゆみ物質の特定からアトピー性皮膚炎の原因を追究した記事はアトピー追及#8かゆみからの追求 - 青空ーすべてはバランスを参考にしてほしい。
アトピー性皮膚炎にはIL-4やIL-13といったTh2サイトカインがかかわっています。さらにIL-31が重要なカギを握っているということが分かっている。ヘルパーT細胞にGoサインを出してインターロイキン物質の産生をさせるタンパク質「EPAS1(イーパスワン) 」を阻害するのではなく、IL-31をピンポイントで阻害する薬を開発したのだ!ということが分かり、驚きとともに大きな喜びを感じています。
アトピー性皮膚炎にはIL-4やIL-13といったTh2サイトカインがかかわっています。さらにIL-31が重要なカギを握っているということが分かっている。ヘルパーT細胞にGoサインを出してインターロイキン物質の産生をさせるタンパク質「EPAS1(イーパスワン) 」を阻害するのではなく、IL-31をピンポイントで阻害する薬を開発したのだ!ということが分かり、驚きとともに大きな喜びを感じています。
*サイトカイン・・・免疫系細胞から分泌されるタンパク質(生理活性タンパク質)
私が喜んでいる理由は、私がアトピー性皮膚炎の原因を追究していき最後にたどり着いた原因を阻害する薬が誕生したためです。
つまりこの薬は、免疫の調節により免疫の暴走を抑える効果とアトピーのかゆみそのものを抑えるという二つの役割を果たしてくれるのです。
そしてステロイドではないということです。
16歳未満の小児や妊婦・授乳婦への使用に関しては主治医との相談が必要となるそうだ。4週間使っても効果が見られなかった場合は中止する。
5グラムのチューブで1本約700円。3割負担の患者さんでは約210円という計算になるそうだ。治療費の負担も軽い。
5グラムのチューブで1本約700円。3割負担の患者さんでは約210円という計算になるそうだ。治療費の負担も軽い。
適応は「アトピー性皮膚炎」。用法用量は「成人、1日2回適量を患部に塗布。1回あたりの塗布量は5gまで」となっています。
油脂性懸濁型軟膏製剤(添加物として白色ワセリン、パラフィン、スクワランを使用)であり、1 FTU(finger tip unit)※が約0.5gになるように設計された5gチューブを使用している。
※1 FTU:人差し指の先端から第1関節までチューブから絞り出した量
※1 FTU:人差し指の先端から第1関節までチューブから絞り出した量
最後にくれぐれも注意してほしいことがある。
必ず用法用量を守るということです。先生の指示をよく守ってほしい。先生によっては詳しい説明がないかもしれませんが、その場合は、転院するか薬の説明書きをよく読んで必ず守ってほしいということ。分からないまま薬をいい加減に使用せず、ちゃんと理解してから正しく使用すること。どんなによく効く薬でもいい加減な使い方はすべきではない。指示された使用方法を守らないと自分で治ったと思っていても実は効果が出ないで治っていない→悪化しているという場合がある。勝手に使用を中断したりしないでほしい。これはステロイド外用剤の場合と同じです。下記の記事の「(4)赤ちゃんは?医者は? 」の中の「良い先生を選ぶ方法」を参考にしてほしい。
くれぐれも勝手な使い方をしないように祈りたい。そしてかゆみの苦しみから解放されるよう祈りたい。
「(4)赤ちゃんは?医者は? 」 アトピー追及#9どうすればいいのか?(最終) - 青空ーすべてはバランス(ステロイド外用剤特有の場合の用語もありますが、ご容赦いただき参考にしてください。)
参考:日経メディカル等